月島/東峰

2020_ハイキュー!!,[!],[R18]

ハイキュー!!:月島蛍/東峰旭

※原作完結前で設定ぜんぜん違います


宮城在住のミドルブロッカー大学生と元ウイングスパイカーの社会人でBL、という体で。


再会

先輩とか押しつけられるのも押しつけるのもウザいし。
卒業したら関係なくなるし。
同学年なら、山口とかは今でも連絡とってるけど。
先輩って、なんか遠い。
それでいい存在。だった。

なのに、なんでこの人ここにいるんだろう。
床の上で丸くなって、でも元がでかいからやっぱりジャマで。
こっちもチューハイの空き缶とかツマミの袋とかゴミを片づけながら、なんでこの人の寝顔見てるんだろう。
「寝るならベッドで寝てくださいよ、貸しますから」
「えー……悪いよぉ……」
悪いというなら人の部屋で寝てる時点でアウトだ。
どうしてこうなったのか。昼まで遡って思い出してみる。
大学のバレー部で社会人と練習試合やることになって、それが地元のほうで。向こうのチームに東峰さんがいた。それだけ。
チーム名聞いた時点でわかってたし、べつに驚きもしなかった。なのに向こうは偶然の再会にホント驚いたらしくて、「大きくなったなあ」なんて親戚のおじさんみたいに目を細めてたりして。背、高校の時点で伸びきってましたけど。
どっちも卒業してるのに同じ高校って見られるのがなんか変な気分っていうか落ちつかなくて、できるだけ近くに寄らないようにしてた。向こうも、こっちを気にしながらもあんまり積極的に絡んでくる感じじゃなくて、ちょっと安心。他の先輩だとこうはいかない。
試合後の懇親会の、そのあとになってやっと、東峰さんが「二人で飲もう」って声かけてきた。
店探すの面倒だったし断る理由なんかいくらでも思いついたはずなのに、そこそこ酔ってたせいか「ぼくん家、ここから近いんで」とか言ってる自分がいて、そのままコンビニで適当に買い込んでうちに来た。
「おー、なんか緊張すんなー」
とか言ってたくせに。ぼくのつまんない大学生活の話をいろいろ聞き出して、うれしそうにうなずいてて。で、気がついたら床の上で落ちてた。
こういうのって、高校の時は絶対なかったシチュエーションだよね、と彼を見下ろしながら思う。べつに特別目をかけてもらってたわけでもないし、お互い、違う学年に自分から絡んでいく性格でもないし。
「後輩に再会するのって、そんなにうれしいものですか」
ふと沸いた疑問をそのまま口にしたら、東峰さんはこっちを見上げてへらりと笑った。
「そりゃあ……とくに月島って、あんま話す機会もなかったからさ……」
地元の訛りが強い。仕事で年上の人ばっか相手にしてるとこうなる。うちの兄も正月とか帰ってきてすぐは完全に仙台訛りになってる。
顔を覗き込んだ。
べつに、どうってことない普通のお兄さん。特別モテそうでもないし、嫌われそうにもない。気弱そうなところは高校時代とあんまり変わらない。
「月島って遠くから見るとフツーにかっこいいけど、間近で見ると本気でかっこいいよなあ……」
接続詞おかしい。
っていうのも含めてどう返事していいかわからなくて、いきなり妙なことを言い出した唇を眺めていたら、長い腕が伸びてきた。
「なんですか……」
大きな手がぼくの後頭部に当てられて、軽く押される。
「……!!」
唇が重なった。
「へへへぇ……奪ってやった……」
「ちょっ……ちょっと! なに寝ぼけてるんですか……」
ずれた眼鏡をあわてて直してるあいだに、東峰さんはくすくす笑いながら床の上で寝返りを打つ。
「俺、今たぶん山口や影山より、月島と近くなったな……」
「……っ」
山口はともかく影山が近い? なに言ってるんだこの人。っていうか、今なにしたんだ!? こういう冗談を仕掛けてくる人じゃないはずなのに……
「月島の驚いてる顔、昔から好きなんだよね、レアで」
顔に血が上る。心拍が跳ね上がる。
きっとこれは怒りだ。気弱で頼りなくて年下にも言い負かされてる先輩から、からかわれて言い返せないでいる状況に。やられっぱなしで我慢してやり過ごすなんてのは好きじゃない。
「……………」
眼鏡を外した。今度は自分から身をかがめる。
「ん……?」
さっき悪戯を仕掛けてきた唇に、今度は自分から触れる。それでもまだ相手は笑っていて、余計にムカついた。
唇で唇を押し開ける。酒くさい息が混じった。
「……っ!?」
長い髪を掴んで、床に肩を押さえつけて、彼の口をふさいだ。お互いの息が続かなくなるまで、意地でも離してやらなかった。
「っ、月島……っ」
彼は濡れた口元を拭いながら、後ろのベッドに縋るようにして起き上がる。
「奪い返しちゃいました」
唇を舐めて、眼鏡をかけなおす。酔いの醒めた顔がこっちを見ていたけど、ぼくのほうは頭の芯まで酔いが回ってしまったみたいになっていた。

先輩ってなんか遠い。
遠いほうがいいって思ってた。

でも、今は。

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