ガッチャマン愛。
だらだらと感想書いてたらすっごい長くなって、出すのやめようかと何度も思いました(笑)。
もう自分が気持ち悪い……(通常運転です)
ええと……もうあんまりやってないかもしれませんが。
ネタとして観ようか迷ってる人は、クソ映画ウケる!ていう感じの盛り上がりはないのでやめたほうがいいです。単純に時間のムダです。
役者ファンなら熱意にもよりますが、まあその人だけ見るつもりでいけばだいじょうぶです。
映画は観ずに巷の評判だけで「ああコケたよね」って思ってる人も、そのままの認識でぜんぜんかまいません。興行的にも映像作品としても失敗作なのは事実です。むしろそういう作品があったこと自体を忘れてあげてください。
私は真剣に観に行ったので、真剣に感想を書きます。
実際に観てゴミだと思われた方はあえて読まなくてもいいです。不愉快なものをわざわざ追いつづけるのってバカバカしいと思うんですよね。さっさと忘れて次にいくほうが建設的です。
つまり私にとっては、見たこと自体を忘れたい映画ではなかったということです。
7割文句言っても残りの3割は好き!と言いたい、そんな映画です。
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以下、概略。
◎金じゃない、愛だ
◎愛のない特撮
◎愛のない世界
◎愛のないキャスティング
◎「科学忍者隊」という可能性、ただし不発
◎オリジナルへのアンチテーゼとしてのドラマ、ただし失敗
◎健/ジョー萌え(半笑い)
◎あとは俺たちにまかせろ
……テキスト量は通常SSの2~3倍くらいあります。バカバカしいのはおまえだ。
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最初にまとめてしまうと、「ヒーローモノとしてかっこよく撮れてればなんの問題もなかった映画」です。話なんかなくても絵面だけで充分なのがヒーロー実写化ですから。逆にいえば、そこを外して成立する題材ではないので、結果的に失敗としか言えないんですよね。
その他がそこまで劇的に悪かったわけでもないのに、実写化の目的が達成されてないから、全部まとめて酷評されるのでしょう。
たとえば私がうーんって思った邦画でいうと(笑)。
キャシャーンは絵面は最高だった。あの映画は「美しくかっこいい画面を見せる」ということに特化してた。テルマエは出オチ感いっぱいのビジュアルとギャグパートは完璧だった。ヤマトはとにかく宇宙戦艦の迫力勝ちで、成功してるかはともかくコレをやりたい!っていう愛にあふれてた。
ガッチャに思ったのは、暑苦しいくらいの「オレこれがやりたいんだよね! あとは正直どうでもいいわ!」みたいな振り切りがどこにもなかったことです。
たつのこ50周年なんでガッチャマン実写化しまーす、人気の俳優さん連れてきまーす、アクションは面倒だからCGでいいよ、ドラマはちょっと込み入った感じにしときゃいいんじゃない?的な、最初の段階から当たり障りのない企画だった感じがするのです。
メディアミックスでも同人でも、揺るがない愛さえ感じれば、どんな低予算でもヘボでも曲解でも許す!というのが私のスタンスなのですが……
今回は予算がなかったわけでも、実力のある俳優が呼べなかったわけでも、技術スタッフが集まらなかったわけでもない。でもただ一点、これがオレのガッチャマンだ!という意気込みが画面から伝わってこなかった。その時点で、成功する映画ではなかったんだろうと思います。
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仮にもし、この監督がガッチャマン好きで自分からやりたいですって言ってたとしたら(いちおうインタビューでは大好きって言ってるけど)、もう完全に向いてなかったとしか言えないです。
あのね、マンガに例えるとコマわりが違うの。
少年マンガだったら、戦闘シーンでは見開きで「ドン!!」ってかまえてるじゃない。でもこの監督ってたぶん少女マンガ家で、そもそもコマを四角く割らないの。健が敵と戦ってジョーを助けに来たシーンを1ページでさくさく済ませたあとで、見開きはジョーのアップで「健……!」って点描付きでやっちゃうタイプなの。
ガッチャマンは劇画なんですよ。現代に持ってきたらバトルモノであるべきなんですよ。ジャンルのちがいを無視したのがいちばんの敗因ではないかと。
そういう監督に任せたプロデュース側も、ガッチャマンに対する愛がなかったんだと思います。というか実写化にハナっから期待してなかったのかもしれません。じゃあやるなよ
だから、タツノコオマージュ的な場面も微妙な感じで……できないならムリしなくてもよかったんじゃないかなという感じでした。リスペクトやオマージュというには「とりあえず」感が出てしまっていて、ちょっとなあ……ドクロベエさまもわざわざクレジットするほどじゃない。
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特撮として。
日々ライダーやら戦隊やらを見慣れすぎた我々が悪いというのか、否!!(笑)
最初、盛り上がらない理由がわからなくてじりじりしてたんです。スーツを着た5人はかっこいい、タートルキングもよくできてる。なのに、テンションが上がらない。
徹底的に必要なモノが抜けていました。スピード感、迫力、インパクト、ケレン味、見栄切り……特撮番組見てたらフツーにあるはずのモノがなくて、アクションもドラマもメリハリがなく進んでいくんです。
アルカリがちょっと音について触れてましたが、たしかに印象がまるでないんですよ。緊迫したところで驚かされる感じとか、盛り上がるぞ……キター!!みたいな音の記憶がありません。サウンドって大事だよ! 思い知ったよ!!
だいたい、掴みのアクションがモーションキャプチャーってどうなの。生身の人間でもちゃんとできるんだよ、知らないの?(笑) ガッチャマンなんだから、スーツで身軽に飛びまわってるのが見せ場なのに。SHTに慣れた身としては手抜きにしか思えなかったです。
CGじゃない戦闘シーンも、なんかぴりっとしない、締まらない絵面で……なんか、同じ日本人が作ったとは思えない間延び感でした。いや、私と同じ日本人って、特撮作法は教養として当然身につけてますっていう人種なんですけどね!(笑)
つーか役者は全員アクション(orダンス)経験者なんだから、みんなきちんと動けるはず。スタントっていうか演出っていうか撮り方の問題ですよね……
ただアクションは好みもあるので、ライダー&戦隊ファン的には楽しめませんでした、というくらいにしておきますが。
タートルキングが鎌首持ち上げる部分も、「へー」って感じでさらっと流してしまって、「あれ、今のところもしかして見せ場だった!?」ってあとから気づいたくらいで。
たしかに精巧なんだけど、迫力がまるでない。音なのか画面なのか……しかも驚いたことに白組なんだぜ……?(エンドロールで知った) 白組を使ってるのにコレってどういうことなの。どういう発注をしたらこうなるの?
ゴッドフェニックスも……テスト抜きの初飛行って設定はよかったんだけどなー。生身の役者が5人乗るという構図を考えたとき、もっとあったと思うんですよ、つーか戦隊見ろよ!
あ、最後の「火の鳥」はよかった。クライマックスの展開とも合ってて素直に盛り上がった。やればできるじゃーん、って思ったけど、でもあの効果を提案したのはたつのこサイドなんだって……(パンフより) 実写側は絵面盛り上げるために結局なんもしてないのか……orz
最大のミスは、変身しなかったことです。
バードゴーしないガッチャマンて!!
いや、百歩譲ってリアリティを出すために装着型にしたかったのかもしれないけど、アイアンマンやタイバニみたいにスーツ着用の場面があるだけで盛り上がりがぜんぜん違うんだよバカ! なんもわかってねえ!!(地団駄)
スーツがかっこよかっただけに、彼らが「バードゴー!」と叫ぶシーンか、もしくはメカニックに装備をまとっていく姿が見たかったです……そのへんにスーツ置いてあるのとかいらないから!
予算がなくて仕方なく、とかじゃない。むしろ金かけて作ってるのはわかる。でも、ヒーローモノになんの思い入れも知識もない人が作ったという印象です。
例えば雨宮慶太の、ストーリーとかないし特殊効果もやりすぎだけど、いや俺はモーションキャプチャーやりたいんだよ、CG使いたいんだよ、見づらくてもナイターかっこいいだろ!っていう、視聴者そっちのけな意気込みを見習わせてやりたいマジで。
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ビジュアル。
なんか……ダサいんだかスタイリッシュなんだか中途半端な感じが、結局ダサかった……
SFなのかファンタジーなのか曖昧で、べつに曖昧でもいいんだけど、そのSFっぽさが妙に古くさい絵面で、リアルな新宿の町とか難民避難の廃墟とかと一致しなくて、要するに「世界観が統一されていない」ってことなんですよね。
真っ白い部屋とか廊下とか、確かにかっこいいし近未来でSFっぽいんだけど、多用すると単に画作りの手抜きにしか見えなくなってきてしまって、俳優陣の熱演とちぐはぐな感じになってしまっていたのが残念でした。
リアルじゃないのはいいんだよ、こっちもそんなん見慣れてるんだよ(笑)。場面ごとで分断した画作りをしてるから、リアルも嘘も成立してないんだよ。
そういう「世界観をゼロから構築する」のが苦手な監督なんでしょうね。トータルの画作りだから、美術スタッフとかではどうしようもできない感じ。
作りたい世界のビジョンが定まってないって、映像作品としてありなのかと思いますが……
あとタートルキングの中、なんですかアレ。昭和の悪の組織ですか。今どき仮面ライダーの敵だってもうちょっとオシャレなとこ住んでるよ。白組渾身のメカの中に、あんなレトロすぎる空間が広がってるなんてがっかりにもほどがあるよ。
感想大会中、キャシャーンのキリヤを呼べ!と何度叫んだか。どんなに中身すっかすかでも、リアルをすっ飛ばした「現代のギャラクターが支配しつつある美しくも残酷な世界」「そこにかっこよく舞い降りる5人の戦士」ていう完成された世界が見られたはずだから!!(笑)
しつっこく言うけど、愛だと思うんですよ。
ガッチャマンのスーツを、ジュンが「醜い」って言ったとき、素で「え!?」って思いました。
本気でかっこいいガッチャマン撮ろうとしてる人なら、メインビジュアルをそんなかたちで唐突に否定はしないと思う。戦うことを否定するなら、もっと言い方があったと思う。言わせるなら、そこに至るまでのドラマを少しでも垣間見せてほしかった。冒頭で「一般女性としてのセンスが欠落しているジュン」というキャラを出しておいて、このセリフで受けるというのはわからない。
そもそもマジレスすると(笑)、ジュンのスーツはかっこ悪くないんです。メンバーの中でも女性戦士とわかるセクシーさで(笑いの要素しかないパンチラミニスカじゃなくてね)、濃い紫もいいアレンジだと思った。
というか、スーツはちゃんとかっこよかった。元のイメージを残しつつ、強そうなアーマーになってたから期待もできたんです。でもそのスーツのかっこよさを感じさせる場面がほとんどなかった。
マントだってさ、あの構造ならもっと装甲みたいな羽根がしゃきーんと出るのだってべつによかったのに。「鳥のように」ってとこを失念してたとしか思えない。これはガッチャマンであってスーパーマンじゃないのよ。
ベルクカッツェさまは悪くはなかったですが、やはり男性体メインでやってほしかったです。女性体だと、結局ドロンジョさまになっちゃうんで。そーするとやっぱフカキョンはよかったよねえって話になっちゃうんで。
カッツェみたいな出オチキャラで、俳優としての力量ってのは、まあ当然必要だけど、やっぱビジュアルだと思うんですよ。おっぱいばーんとか。おっぱいの説得力なめんなよコラ(本気)。エリコさんが悪いとは言わないんですけど顔立ちも体つきも地味めだったかなと……
だったらシドウにルージュ塗ってほしかったわー。そういうクィアさを、オリジナルの魅力とは受け取らなかったのね、ていうのも個人的に残念ではあります。ま、これは好みだけど。
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俳優陣。
CGやなんかもそうだけど、個々のスタッフは悪くないのだよ。それぞれに自分の仕事をがんばってる。タートルキングだって、ゴッドフェニックスだってかっこよかったさ。
俳優さんたちも、それぞれが与えられた役をきっちりこなしていたと思います。
ただ、「このキャラクターはこの俳優にやらせたい」っていう意気込みは、やっぱり感じられませんでした。そもそもキャラづけが定まってなくて、でもオリジナルを踏襲する気もさほどなくて、とりあえず旬の人を連れてきましたって感じにしか見えない。とーり・ごーりきはとくに。
「健・ジョー・ジュン・甚平・竜というキャラクターを三次元変換する」じゃなくて「頭数をそろえる」ことが優先されてるから、その役者を好きか嫌いかで全てが決まる感じ。
とーりくんは、私らだけかもしれないけど、やっぱセンターに立ってると説得力が出るなと思いました(笑)。責任感が強いっていうのを現代的に焼きなおすと殿になるのかー、みたいな。
あやのさんはさすがに存在感が段違い。オリジナルのジョーはひとまず忘れてこのジョーでいきます、OK!っていう気分になる。前髪ジャマだけどね(笑)。
すずきさんは、変態仮面見てないの申し訳ないんですけど(笑)、ストレートにかっこいい竜で、逆にいいの!?ってなりました。言葉遣いも試行錯誤したってパンフで言ってて、実はいちばん難しい役どころだったんじゃないかと思います。
たつおみくんは、たしかに今これくらいの歳のメインキャラを任せられるのは彼くらいだねという印象。なんだかんだで甚平がいちばん好感度高いキャラだったのは、ストーリーに絡めてもらえなかったのもあるけど(笑)、彼の安定感のおかげだと思います。いちばん賢そうだった。あとリアルにいちばん大人だった……
ごーりきは……ごーりきでした。
良くも悪くもごーりき本人で、「白鳥のジュンというキャラクター」ではありませんでした。でもそういうジュンを作ったのは制作側です。ごーりきさんはいつもどおり、お人形さんのように与えられた役割をこなしていただけです。
私は彼女のビジュアルは好みではないし、役者としての彼女を必要だと感じたことはないけど、この映画に関してはどう考えても彼女に罪はない。
6割は彼女のせいとか言ってる批評家もいるけど、あの子6割も出てなかったよ。もしヒロインだったら彼女の責任は大きかったかもしれないけど、ストーリーにおいては堂々脇役だった。評価が上がることはないけれど、下げる理由もとくにない。
ていうか、ジュンに関しては制作側にも悪意を感じるんだよね……そもそも彼女は物語の主軸である恋愛に少しも関わらせてもらってない。メイン女子のはずなのに、ヒロインのライバルにもなれない三番手以降の憎まれ役って感じで……いいかげん彼女がかわいそうになってきます。
パンフのキャラ紹介に「石の作用で情緒不安定」とか取って付けたような設定が書いてあったけど後付けにしか思えない(笑)。パンフで言い訳するよりまともなキャラを作ってくれ……
キャラクターモノなのに、役者自身がキャラを作り込めるかどうかに依存してるという時点でまちがってるのだが……もしそれがリアルな演技を引き出すとか思ってるとしたら、方法論の段階で畑違いです。そして呼ぶべきはごーりきではなかった。オトナの事情ってイヤですね。
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科学忍者隊。
もしかしたら……「21世紀の科学忍者隊」をやりたかったのかなって、ちょっと思いました。
パーティに潜入するために5人が役割分担して動くっていうくだりが、唯一熱が入ってた部分だったかも。そういうミッションインポッシブル的な要素を「科学忍者隊」として捉えたのはまちがってなかったとは思います。
冒頭の「変装して一般社会に潜伏」っていうのも、なかなか期待させる絵面だったし(肩透かしだったけど)。
甚平がハッキングのプロっていうのはうまい。まあおかげで、甚平以外が特殊技能も持ってなくて生身じゃ役に立たない感は出てしまいましたが(笑)、潜入のために変装して、高度なハッキングで作戦を遂行する、ていうのは悪くなかった。現代でリメイクするならたしかにそれくらいやらないとね、ていう感じ。
だったらアクション減らしてでも、「科学忍者隊」的要素を入れ込んでいけばよかったのにと思う。それならそれで、別のおもしろさが出たはず。キャストのコスプレも満載で、サービス感いっぱいの映画になったのにね!
そういえば、衣装替えはそこそこあったはずなのに、ビジュアル的なサービスをしようという心意気もあんまり感じられなかったな……見た目のキャラづけというか。売りは役者本人です!的な投げやりっぽさがありました。
いや、たしかにとーりくんはかっこいいけど、とーりくんのままじゃダメなんだよ、健というキャラの位置づけを絵的に説明する必要はやっぱりあるんだよ。
そこが役者依存だから、ジョー(あやの)とジュン(ごーりき)にキャラクターとして説得力の差が出るのは当然なわけで。
だから、一人だけオリジナルに忠実なビジュアルの南部博士が逆に浮くわけで……(笑)
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ドラマとして。
褒められたもんじゃない雑さなのは承知の上で、あえて掘り下げてみる……
結果的に成功はしてなかったけど、私は「オリジナルへのアンチテーゼ」を含んでいたと思うんですよね。もしこれがうまくハマっていたら、かなりの名作になっていた……わけはないか、特撮ダメだし(笑)。
オリジナルの健(というか作品そのもの)は、「少数を犠牲にしても多数を救う」というスタンスを守りつづけていました。
この映画の予告で「おっ」と思ったのは、とーりくんの健が真逆のことを言ってたから。単純に時代だからと言ってしまえばそれまでなんだけど。
やっぱ今の感覚で見てると、ヒーローサイドが「苦渋の選択」をして他人の犠牲の上に事態解決しましたーっていう展開は「えっ、待って待って」と思うわけで、彼らを現代人として持ってきたとき、まず「正義のための犠牲を正当化しない」という立ち位置はよかったと思います。
セリフ回しが洗練されてなくてムダが多かったせいでそのへん伝わってませんでしたが、彼らは南部博士に逆らってまで「世界も仲間も救う」ことを選択したわけで。これはオリジナルからしてみるとありえない行為で、だからこそ溜飲が下がる……はずだったんですよ、成功してたら(笑)。
「ラストスーサイド」ていうキーワードも、そのへんに絡めたのかなという気がしました。
人類もギャラクターもそれぞれの登場人物も常に、自分を殺すというシチュエーションを突きつけられて、それに飲み込まれたり抗ったりして、それなりに一貫したテーマになってました。オリジナルでも、自己犠牲・自棄・玉砕・自滅という「自殺」はけっこう多かった印象があるので。
ギャラクターに対抗するという大義名分のために人生狂わされた少年少女たちが、それでも自分たちの存在意義をむりやり見つけて自ら戦う、というストーリーは、今リメイクしたからこそ生きると思うんだけど。
「自殺」を強要するカッツェや南部博士に抵抗してミッションを成功させることこそが、現代のガッチャマンという位置づけはありだよね、と思うんだけど。
まあ、最終的に納得というよりは思考放棄に近い感じだものねえ……(とくにジュン)
とにかくまとまりのない脚本ではありましたが、オリジナルと対比させたとき、単純に「自分のことしか考えられないゆとり世代の話かよ」とは言えないんじゃないの、ということだけは言っておきたいです。
ただまあ、ひどいことは認めるよ。ジュンなんか言動に一貫性がないもの。元の話はもっと長くて、適当にカットされたんじゃないかって勘ぐりたくなるくらい。
特撮部分にやる気がないなら、もうドラマメインでもよかったと思うんですけどね。徹底的にオリジナルのマッドな部分を掘り下げて、バットマン並みに暗~い鬱話にすれば、コアな支持は得たかもしれないのに。各種問題を丸投げのまま大団円の雰囲気だけ作ってるのが痛々しい。
二兎を追う者は一兎をも得ずの好例です。
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健/ジョー萌え。
ま、いろいろと言いたいことはあるんですけれども。
収穫はなかったかといえば、むしろありがとうございますと頭を下げたい気分です(笑)。
ストーリー上も露骨に「健とジョー」&「その他3人」ていう組分けだったので、どこまでいっても健とジョー! ジョー、健のこと気にしすぎ! 健、ジョーのことかまいすぎ! なーんだ、そのカップリング推しだったのね!ていう感じで。
正直、後半は「ぽかーん」でした(笑)。
5人が戦うの戦わないのってどうでもよくなるくらい。ジュンの世迷い言なんか覚えてないよ。
途中からジョーが主役になって、むしろヒロインになって、クライマックスは完全に健とナオミがジョーを取り合ってるみたいになって、おいおいなんだよコレどういう三角関係なんだよって思ってるうちに、健とジョーがくっついて終わった、みたいな……
おまえらナオミはどうでもいいだろ……そりゃナオミも「プロポーズしてくれたほうと結婚する」って感じになるし、片方ダメだったらもう片方にいくよ。いや、どっちでもよかったのはナオミのほうか。どっちか決めてれば悲劇は起きなかったのか。いやいや。
どう考えてもあまり健全とはいえないこの三角関係を、(パンフとか読むかぎり)作り手は「仲のいい三人」として美しく捉えていることが気になりましたが。久しぶりに、ホモソーシャリティの教科書的な例を見ました。いっそすがすがしい。
私がナオミなら、ジョーが健に抱きついた時点で婚約指輪投げ捨ててる(笑)。
いや、もはや三角関係ですらどうでもいいんです。
やっぱり雰囲気のある俳優さんがやるといかんね! それだけで説得力が出ちゃうね!
戦隊のころから「アンニュイを伝染させる男」とーりくんだもの。あやのさんなんかもう常に涙目だもの。立ってるだけで、視線が交わるだけでもただならぬ空気になっちゃうのに。キャラ作りを役者任せでビジュアル的作り込みをほぼしなかったのが徒になったね!
なんかもう健とジョーである必然性はなにもなくて、とーり&あやのに萌えただけといえばそれまでなんですが(笑)。健がわりと変わらないのに、ジョーが無邪気とニヒルのあいだを往復するのでこちらの動揺も激しくてですね……
途中までは、ジョーが死んじゃうのかと思ってドキドキしてました。それなら丸く収まる展開でもあったし、まあそこは踏襲してもいいかなと。
ただその点は「一人の尊い犠牲によって世界を救う」っていう作品テーマでもあるので、ジョーが死んだらここまで否定してきたオリジナルの精神を肯定することになっちゃうんじゃないの、どうするの、という意味もあってのドキドキでした。
最後の最後まで「健を追い払って一人で死んでいくジョー」を覚悟していたのですが……まさかの「あいつのぶんまでいっしょに生きよう」からの、双方合意で帰還とは! 感動っていうか笑っちゃった(笑)。
和解への流れも「バカバカバカ!健なんて大嫌い!///」「はいはいオレはバカですよ(ちゅっ)」みたいな恥ずかしいやりとりで、感動できる余韻とかぜんぜんなくてなー。
そこでくっつくなら最初からゆってよ! ナオミ殺られ損、ジュン憎まれ損……
最後にジュンが懲りずに健にアピールしてましたが、健の意識にはもう完全にジョーしかなかったんで……ジュンはいいかげんライバルがナオミじゃなくジョーだと気づいたらいいと思う。
どういうルートでも健がナオミと結ばれないのはわかってるんだから、ジュンをくっつけようとか少しでも考えた人はいなかったんだろうか……カップリング的にはありがたいけど、残酷すぎて胸が痛む仕打ちではあります。
いえ、死別萌えの方には申しわけありませんが、健とジョーが手に手を取り合ってともに生きていくことを約束するなんて、ステキなルートを用意してくれてありがとう!!
これはこれで! 美味しくいただきます!!
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ラストにちょこっと引きのシーンが入ってて失笑してしまったのですが。
やる気もないくせに続編狙いかよ。かのハリウッド版ドラゴンボール以来の脱力感でした……
ジョーが死ななかったのもこのためなんだろうけどさ。
まあどう考えても続編なんかできるわけがないので、つーかそんな気はだれにもないと思うので、アレは我々に対するバトンだと思うことにします! たしかに受け取りました、ジョーは責任持って健とくっつけますので! 我々が幸せにしますので安心してください!!
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……っていう映画でした。
感じ方には個人差がありますが、身を裂かれる悔しさと萌えが伝われば……(笑)
ほとぼりが醒めたら、たつぷろ60周年か70周年くらいになったら、ガッチャ50周年でもいいから、今度は心の底からガッチャ萌え!な映画監督が現れてくれることを願います。
まーその時点でリアルタイム世代ではないでしょうけど……私だってリアルタイムは生まれてないけどガッチャ好きだし、いいと思うんですよね。
とりあえず健とジョーについては、も少し書いていきたいと思っていたりします。
エロとか、エロとか……