瓜がない

先週帰省したついでに寄った地元の市で、まさかの昌幸さまを発見しました。リアルに二度見した。
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妙に手慣れた段ボール丸絵に手書きハッシュタグまでついてすばらしいのですが、ご自分でSNSには上げてらっしゃらないのでしょうか。インスタかフェイスブックなのかな。撮影自由だったし軽い気持ちでツイッタの表アカにシェアしたら一晩で1000RTとか叩き出してくれたんですけど(今は1400RT)、そのとき思ったのは「(日常アカの認知度が高まっても得しないから)創作サークルアカで呟けばよかった……」でした。発想がさもしい。平野長泰と呼んでください。
そんな感じで、友達に「真田丸、ここの感想だけ読んで見た気になってるよ!」といわれたので、ちょっとマジメに書いたほうがいいだろうかとか思った週末でありました。だって5分も出てない大谷さんの話しかしてなかったり、特段萌えもない出浦さまになぜか毎度つっこんでたり、そのわりに主役の話あんまりしてなかったり、無責任なことこの上ないもの。ていうか見てもらえないのは私のレコメン能力が足りてないのですよね……
反省したわけじゃありませんが、上杉家も伊達家も徳川家も出ないので、ちょっとマジメに語る27話。


きりちゃんのウザかわいさがとどまるところを知りません。
乙女モードで直球ぶん投げられたときの源次郎の「なにを言ってるんだこいつは」って顔がすごく好きです。ダメだこの人ホントに気づいてない。今後も気づかない。
障子開けたとこから廊下の角曲がるまでセリフないのに、「乱暴に引き止め抱き寄せて愛を叫び権力者から私を奪い返してくれるかっこいい源次郎さま」をきりちゃんがずっと期待してるのが手に取るようにわかる演出ホントすごい。恋愛ドラマなら胸キュンシーンになるとこで、それを長澤まさみを使ってやるという贅沢なパロディ感。
三番目や四番目の妻がすでに登場してるのに、二番目の妻とまだくっつかないって斬新すぎる。もしかして一気に全員まとめて面倒見ます的なことになるんだろうか。まあそれでもいいですおもしろいから。
そのきりちゃんのポジティブさをもってしても救えない、秀次さま……
一瞬こぼれた訛りが、この人の本質を物語っておりました。世が世なら、村娘たちにきゃーきゃー言われるイケメン百姓で平穏に人生を終えられたかもしれないのにね。
弟たちの貧弱さも相まって、追い詰められ方が痛々しいです。最初の印象は「ちょっと頭足りないぼんぼん」くらいだったのに、なまじ教養や人柄がクローズアップされてきただけに、今の状況は彼が望んだ地位じゃないのを視聴者みんなが知ってるし、そこを踏まえてむりやり手に余る責務を抱え込もうとしてるのも暴かれてる。娘が無表情に「うちのパパの側室になるのやめたほうがいいです」って言うほどの不安定さが、今ここで一気に噴き出してるんだね。
でさ、やっぱりにーろさんって明るい表情に影が差すときがいちばん凄みがあるんだよ。笑顔より絶望が美しいんだよ。だから次回、怖いし見るの嫌だけどどこか期待してもいるのです。大河史上最も美しく切ない豊臣秀次を。
でもここに来て秀吉が好きになってきてるんだよなあ……
最初のほうでは信繁たち頭脳派がこの成り上がり秀吉のために戦う理由はあるのか、って少し思ってたけど、頭いい人ほど秀吉から離れられなくなるのかもしれない。
この秀吉ってすごく計算高くて冷静で残忍で、でもすごく家族思い。たぶんここがポイント。秀吉の衝動性というか残虐性が暴走するのって、全部身内に関わることなんですよね。茶々を侮辱されたとか、息子の死を思い出すとか。それ以外は侵略とかも計算づくで、犠牲や被害も頭で理解はしてる。どうでもいいとは思ってるだろうけど。
余談ながら秀吉のそういうアンバランスなとこを突いて戦をけしかけた利休ってすさまじい策士だと思うんですよ。自身が商人と茶人の狭間にいるからできたのかな。
信繁が官位を辞退するくだりがよかった。秀次が「それは自分の仕事!」って割って入ることで場が冷えかけるんだけど、秀吉本人は秀次がちゃんとその場をまとめるのを見届けて喜ぶっていうのがね。すごくいいシーン。あそこで終われば……
秀吉は秀次の能力を疑ったことなんかないんだね。秀吉は身内のことならなんでも知ってると思ってるし、実際本人の言葉を聞かなくてもよくわかってる。でもその認識共有を相手にも求めるから、秀次たちが追い詰められていくんだと思う。言わなくてもわかるだろう、っていう頭のいい人特有の落とし穴にハマってて、それが敵なら冷静に相手の動きが読めるのに、家族のことだから感情的に癇癪を起こす方向にいっちゃうんだよね。
秀吉だけが極悪アウトレイジなわけじゃない。秀次たちだって最初から反感持ってたわけじゃない。誰もなんにも悪くないのに、どんどん悪いほうに転がっていくやり口がぞくぞくします(褒めてる)。
すれちがいによる悲劇って実はその状況を設定するのがとても難しくて、たいていは全員話聞かないバカになっちゃうんですよね。わかりやすい例だと、仮面ライダー大戦はほぼそのパターン(笑)。コメディならそれでいいし、実際きりと源次郎はそこを狙って描かれてる気がする。でもシリアスなほうは、ちゃんとすれちがう理由を明らかにしてるから、バカにならない。
タイトルの「不信」っていうのが、(一般的イメージの)秀吉が他人を信じられなくなる話と思わせておいて、甥っ子たちの秀吉に対する不信だった、というのが巧いよねえ。
すれちがいといえば、信繁と信幸もでした。
いや、お兄ちゃんはわかってるんだ。弟が自分のためを思ってくれてることは。でもショックはショックだし、さすがにキレざるをえない。賢しい源次郎だけでなく、もらっとけの父上や、飲み込めない自分への怒りもあったはず。普段あちこちからないがしろにされてるぶん、源次郎くらいは自分のプライドを傷つけないって思ってたんだよね!
源次郎も頭はいいけど肝心なとこでなんか片手落ちというか、彼なりにがんばってるのはよくわかるんだけど、あんまりうまくいかないよね……だから彼は最後の大勝負で負ける、という布石なんだろうか。今のところは大谷さんちで愚痴ったらよろしい。頭よくて話聞いてくれるの大谷さんくらいだから。
秀吉がその話をぺろっとしちゃったとき、三成が止めたのは兄上に気を遣ったのかと思ったけど、たぶん「話が逸れる」って思っただけなんだろうな……三成は有能だし彼なりの正義も優しさもありますが、そういう細やかな気遣いはできない男だと思います。ただ秀吉の「意図」を読み取る能力は誰よりも秀でているわけで、三成だけが得た認識を他人にもきちんと伝えられてたら、もしかして独裁状態にはならなかったのかもなどと考えてしまいます。
そういえば、叔父上が徳川を離れたようで。しかもぶらり諸国漫遊したいとか言ってます。ミレディ改めスナフキン叔父上。22年後ってもう仙人みたくなってんじゃないだろうか。わたし叔父上ってわかるだろうか。
叔父上がいなくなった徳川さんちでは、今ごろ家康さまが正信のひざにすがってくすんくすん泣いてるんじゃないかと心配になってしまいました。叔父上に「今べつに仕事ないですし」って理詰めで論破されたんでしょうね。好きだからいてほしいって言っても通じなかったんでしょうね。たまには家康さまんとこにも寄ってあげてください叔父上。今行くなら伊達です、ショー感覚でおもてなししてもらえます。その上の南部も今ごたごたしてるんでついでに調略してってください。
あ、わたくし叔父上×家康派です(どうでもいい)。
昌幸パパは息子の兄弟げんかとかどうでもよくて、伏見城建設押しつけられたことがめんどくさくて仕方ないようです。隠し扉3つくらいつけていいって言ったらやる気になるんじゃないか。そのへんは大谷さんの手落ちじゃないか(言いがかり)。