ジブリ信仰
先週はポニョで、今日はルパン。
二週連続で金曜ロードショー見てしまった……来週はナウシカって……罠か!(笑)
ルパンはアレですな、OPアクションがかっこよくてルパンととっつぁんが愛し合っていればあとはなんでも許せるんですが、つまり全ての話を許せるんですが、ポリツァイ×風魔という組み合わせを拙宅以外で見るとは思わなくてちょっと動揺しました(笑)。
あと、今回作ってる人の中にやたら次元萌えの人いたよね? なんか次元ボロボロになった上にちょーかっこよかったよね? ぐっじょぶ!(ルパン×次元も好きです)
で、ポニョ。映画館で見たんで二度目なんですけど。
◎リカかっこいい。 <「リサ」でしたすみません(笑)
◎ポニョが友だちにすごい似てるの。女の子状態より、カエルのときのほうが。
◎フジモトの声がアレでなければすごいヘタレ「受け」オヤジだったと思う。
◎実はエンドロールがいちばん好きです。
けっこう「あれー?」って思うことがあってもやもやしたのですが、この一週間で何人かのお友だちが「どうなのよ」と言ってくれてるのを読んで、ああそういうことかってわりと納得できたんで、そのへんも加えつつ自分なりにポニョについて考えてみました。
めんどくさい話だから格納。個人的な好みの部分も含んでる気がするんで、ポニョに文句をつけたくない方はスルー推奨です。
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映画で見たジブリはポニョが初めてで、まあそんなにジブリ信者でもないと思ってたんですけど。いやいや、ジブリ信仰は私の中にも根づいてたんだと気づかされました。
がばっとまとめると、「まさかハヤオがそんなことを」って思ってた妄信っぷりと、大々的な宣伝広告に惑わされてないつもりでしっかり罠にハマってた迂闊さに、ようやく気づいて悔しい!ていう感じです。
個人的な話で恐縮ですが、当時いろんな事情で鬱状態の子をあずかってて、私も引きずられて鬱になりかけの時期で、その子の気晴らしにってポニョを見に行ったんですよ。そんで見て二人で泣いちゃったわけです。
泣けるほどいい映画なんだとそのときは思ったけど、ずっと後になって別の友人に「え、なにがよかった?」って訊かれて全く答えられなかったんですよね。その人の感性を私はすごく信用しているので、あれれ?ってすごく不安になりました(笑)。
で、今回テレビで、当時よりは健康的な状態で見てわかったこと。
私が泣いてしまったのは、ソウスケとポニョの船が大人たちの大漁旗に出会う場面で、もう感動ポイントでもなんでもない(笑)。なんでかって考えると、リサがいなくてすごく不安だったところにたくさんの大人がやってきてもう安心、っていう私自身の安心感だったんでしょうね。自分が助けを求められない場所にいたからね。
今回見てちょっと泣きそうになったのは、波が車を追っかけてくるところ。だって怖いもん。いや、もうそれだけ。意味もなにもない。
つまり、幼児レベルの原始的な感覚に訴えかける映画なんだなと理解しました。私にとってはですけど。だからちゃんとした大人は単純にアクションとしておもしろいと思う。リサが子どもたちを守って家に帰る、そのドキドキを楽しめばいいんだね、と思ったから前半はフツーにおもしろかったです。怖かったけど(笑)。
で、大人に訴えかけるのは後半なんですが。
話をよく覚えてなかったから、フジモトが動きはじめたあたりから「あれあれあれ」ってヘンな感じになってきて、ポニョのお母さんが出てきたところで「ああそうなのか、でもまさかねえ」と思いながら、エンドロールで「ま、コレがかわいいからいっか☆」みたいな気分で終わりました(笑)。
あのスタッフ一覧、作った人へのねぎらいって感じがして微笑ましくて好きだなあ。監督もプロデューサーも下っ端もごっちゃですよ。ジブリにしかできない暴挙(笑)ですよね。
それはともかく。
フジモトが一人で騒いで結局お母さんの言いなりになるのとか、リサはずっと話の中にいるのにコウイチが最後まで蚊帳の外とか、違和感がぼちぼち重なってたんだけど。
これ、人魚姫どころか赤ずきんだったんだねえ。
母親と結託してベッドに引きずり込んだ男に父親を撃ち殺させる、赤ずきんですよ。
父親の世界を破壊して逃げ出し自立しようとするポニョ、それを助けようとする妹たち、ついでにおばあちゃんたち、男の知らないところでなにかの取引をする母親たち、っていう女たちの動きがなんか不気味だった。今までのハヤオ作品に出てくる「強い女たち」となんか雰囲気がちがう。
深読みしすぎの穿った見方ならいいんだけど、なんかあちこちに意図的なものを感じてちょっとぞっとしました。ハムが好きっていうのも、微笑ましく見せておいてわざと肉食を強調してる気がした。
いや、べつにそういう物語でも悪くはないんだけどね。そんなつまらないことをね、天下のハヤオが直球でやるとは思わなかったんだよね。
千と千尋のは、あざといくらいわかりやすかったから、こっちも最初から意図を汲もうとしてたけど、ポニョは「童話!」「原点回帰!」的な雰囲気出してたから穿って見ようとも思わなかった。「純粋」「無垢」「素朴」っていう宣伝に完全に踊らされてたんだよ。
もののけ姫以降の宣伝販促は物語の本質を見失わせるのばっかりだなー……と思ってたくせに、自分が引っかかるとは思ってなかったこと自体が恥ずかしい(笑)。
ポニョとソウスケの愛の話にするんなら、親は4人とも出てきちゃいけなかったと思う。5歳の男の子が不思議な冒険をしました、世界を救ったけどみんなには秘密です、っていう感じでよかったと思うな。
親子愛の話にするんなら、父親不在の状況で果敢に子どもを守る母親、っていうラインにすればよかったと思う。リサvsポニョのお母さんでもいいからさ。そっちのほうがよっぽどハヤオらしくて安心して見られる。
予定調和の物語で安心したいのか、って感じだけど、やっぱり安心したいんだと思うよ。
ジブリならなにやっても安心、みたいなところが神頼み的な信仰としてあるわけで、私みたいにその先入観で見てなにも考えず「よかった!」って帰ってきちゃう人もたぶん少なくないわけで、そういう意味ですごく危険。個人的にはすごく反省(笑)。
今年は「床下の小人たち」を映画化するようですね。
原作つきでしかも世界的名作ファンタジーということで、ゲドの悪夢がよみがえります。ゲド戦記ほどに政治色は強くないのでだいじょうぶだとは思いますが、マジでがんばってほしいです。余計な脚色しなきゃハズレはないと……思いたい……