やおい小説論。
ぢごくの季節がやってきた。じっとしてても汗が出る。
今年こそは扇風機(目標)。
そんな暑さをまぎらわすために暑い部屋の中で読書なんかしちまいました。
やおい小説論―女性のためのエロス表現
友人が、「ゼミの先輩が書いたの」と言って貸してくれた本。
おもしろかった。ていうか、こういう方向からの研究は私が知るかぎり今までなかったような気がしますよ。画期的です。
ここでいう「やおい小説」っていうのは、商業ベースで出ているオリジナル作品のことで、私のイメージだと一般に「ボーイズラブ」と呼ばれている作品群のことです。その呼称にはこの人なりの理由があるみたいだからそこはいいや。
その「やおい小説」のテキストそのものを分析した研究。この表現がどうだとか、キャラクター設定がこうだとかを読み解いていくのね。
やおいって、どうしても書く人や読む人のほうに関心がいっちゃうし、テキストとしては未熟で稚拙だっていう意識もあるから、テキスト自体を詳細に分析しようとはなかなか思わないんですよね。そういう意味でこの人はすごい。
あと、商業誌に絞ったのもうまい。同人誌だとパロディとかアマチュアとかいろんな要素が入るから、実際は焦点を絞りにくいんですよね。テキスト分析の対象としてはノイズが多すぎるかも。商業フィルターがかかって画一化されてるほうが、テキストの本質をつかみやすそうだと思いました。
池袋だのなんだのと「腐女子」がクローズアップされてきて、いろんな本(主にカタギへのヤワな解説書?)が出てる中、これはちゃんとした研究者の人が書いてるだけあって、安心して読めます。
まあ、私が商業「やおい小説」に関する知識がほとんどないから、つっこめる隙がないっていうのもあるかもしれませんが(笑)。
なにより、23社361冊のデータ表は圧巻!(笑)
ただ惜しむらくは、データが1996年のものであること。もちろん96年を対象にした理由はあるんだけど、10年前ですからねえ。私が「ボーイズラブ」に持ってるイメージがほぼそのままトレースされちゃう。でも10年でまったく変わってないってことはないと思うし、むしろその変化こそ追っていただきたい。今後の研究に大期待です(笑)。
私が知りたいのはやっぱり自分自身のことだから、自分のテキストが「やおい的」であるかどうかを知りたい。
この本を読むかぎり、私と1996年の「やおい小説」とは少しちがうような印象を受けるのですが、それはあくまで世代的な問題なのか。同人と商業のちがいなのか。
(攻めの93%は受けより背が高い、99%のカップルが受け攻め固定、攻めの年齢上限は40歳で受けは36歳、受けの肉体描写・快楽描写に行を割く……etc)
でも自分が異端だとは実は思ってないんですよね(笑)。ただちょっとコアなだけで。音楽でいえばメジャーとインディーズのような関係じゃないのかな。
そのへんの差異とかをくどくど説明したい気持ちもあるのですが、暑くてパソコンの前に座ってるのもつらくなってきたので今日はこのくらいでかんべんしてやらあ(何)。
あ、この本はオススメです。専門書だから高いけど。