メタにメタを重ねたらメタメタ(スーパーヒーロー戦記感想)

もうこの手のやつはネタバレ回避で初日初回に行くしかないんです。
その日のうちに公式も情報解禁しちゃうから。

ということで本日公開ですがネタバレ感想。ていうか書かないと忘れそうなんだもの要素多すぎて。なので覚書です。
楽しみにしている方、そんなに楽しみにはしてないけど観にいく予定の方も、前情報なしで観たほうがいいタイプの映画だとは思います。

……定型文は出したので好き勝手語る。


「いつもの」大戦映画

まあね……全部じゃないけどそこそこ観てるからね……ライダーやら戦隊やらをわさわさ集めて雑な世界観で戦わせるやつ……
今回は「ライダー全員そろえる」「レッドを全員そろえる」が主眼だったので、戦闘シーンがわりとわやわやな感じだったんですけど。富永さんのクウガとか気にしてる余裕なかったよ。
ただ、「ヒーロー同士が戦わない」内容なのはよかった。いつも理不尽な対立を見せられてきたし、まあ今もセイバーで見せられているけれども。
とにかくヒーローの敵が悪役なだけでプラス評価してもいいんじゃないかな!!

メタっぽいのも通常運転……というには、今回はメタだったなあ。
まさか東映のヒーロー映画で「二次創作」という言葉を聞くとは思わなかったし、「物語に一次も二次もない!」というセリフには勇気をもらい……いや、そんな話ではなかった。特撮二次と非公認戦隊が許される話ではなかった。じゃあなんの話だったかというと答えられないけど。

なんかこう、大戦映画って作り手目線のメタなのよね。笑いきれないというか、ギャグとしてもシリアスとしても「?」ってなることが多くて。Over Quartzerのときも同じこと言ってたけど。
「ネタ切れ」や「オワコン」発言に笑っていいのか泣いていいのかわからなくなるので、そこんとこもうちょっとなんとかうまくまとめてほしいです。

まあ、パンフにクレジット載せてくれただけでもよしとしますか。開くまでけっこうドキドキしてた。なんだその不安。

飛羽真の「現実」について

セイバーの世界から放り出された飛羽真の「現実」については、ちょっと何言ってるかわからないです、というのが大人の正解かなと思うんですが。あのくだりで劇場の子供がぐずり出すのもおなじみの光景ですな。

マジメな話をすると、飛羽真にとっての「争いのない世界」=「剣士のいない世界」=「賢人とルナと3人でずっと仲良く暮らしてる世界」ていうのが、まあまあ薄ら寒い。あの飛羽真、たぶん小説家じゃないし。
しかしコレはあくまで「正しくない物語」なのであって、この薄ら寒さ・ままごとっぽさはわざとなんだよ、と思った瞬間に賢人パパですよ。
えっ、「現実」の幼なじみたちって家族ぐるみのおつき合いなの、ていうかパパなんでフツーに若者3人に交じってお茶してんの、ご近所に尾上さんもいるの? と3人以外のシーンが入ったとたん、へんな現実感が出ちゃって一気におもしろくなっちゃって。尾上さんはともかく、賢人パパはいらなかった笑
賢人役の青木くんによると、アレは「金持ちなパパの会社で働いてる賢人」という俺設定なんだそうで(パンフで言ってた)、待ってそのパパもはや富加宮隼人じゃないよね、ていうかじゃあ飛羽真もルナも普通の会社員とかやってるわけ? じゃあ出てこない倫太郎や蓮たちはそもそも存在してないの?? などと、考えるほどにおもしろくなってしまいます。その現実世界、現実でなくてつくづくよかったな!?
倫太郎は師匠ごと花屋やってそうだし、賢人パパの会社はデザイン事務所だと思う。

「ヒーローがいない世界」を描くなら、章太郎の話だけでよかったのでは……というのは野暮なんでしょうね! 田崎監督がんばった!! でもこれっきりでいい!! メタはもうゼンカイにまかせて!!

さらにメタい話をすると、ライダー映画にはちょいちょい唐橋おじさんがモブやらゲストやらで出てくるという伝統がありまして、コレもその一環なのかなと自分を納得させようとしています。特撮に呼べば来る筆頭、唐橋充と谷口賢志。どっちも出てるのはセイバーだけ。

細けぇことはいいんだよ

ま、お祭りなんでね。楽しめるとこだけ楽しんだらいいんですよ。

冒頭いきなり「小説家向いてないかもしれない」とスランプの物書きにありがちなことを言い出す飛羽真の言い分が、それ毛利さんがキュウレンジャー書いてるときにツイートしてたわ……と思って出だしから腹を決めました。
闇作家ほど登場人物を苦しめたくないとか言いがち。じゃあ、神山先生……?

そういえば「登場人物が全く苦しんでない」作品としてゼンカイジャーが出されたことに笑ったけど、そのあと賢人くんがカーレンジャーの本を手に取ったので「あっ今回そっち方向に行くのか!?」と本気で思いましたよね。登場人物を苦しめるのは矛盾している→苦しんでない物語もあるから問題ないよ?的な。
冷静に考えたら賢人くん、カーレンジャーの世界に飛ばされたわけで、よく最終決戦に真顔で戻ってきたなと思いました。確実に裏で大事故起きてるよ(激走戦隊カーレンジャーはあの浦沢義雄が書いた全編悪ノリ戦隊だチュン!)

今回よし行こう、ってなったきっかけは、チャイナ魔王とサムライ社長でした。あとタイムスリップしてきたシンケングリーン。12年経ってんのに。シンケンメンバーってあんまり「歳とった」人いないよね。そのまま「育った」って感じ。
我が魔王はホントに……出番はともかく、ホントに貫禄がすばらしくて……チャイナ&長髪最高でした……NHKのガンディーンいちおう観てたんですけど、ダメですアレ。彼に巻き込まれ型ヒーローは絶対向かない。初回変身の貫禄がありすぎる。今回の魔王もよかったです。ありがとうございました。
或人社長もあいかわらずで……なんだろう、あの色味が「或人っぽさ」なんだろうか。和装なのにすごく違和感がなくて。蛍光グリーンの鼻緒、効いてました。あと私やっぱり或人くんの顔が好き笑
そして、おとなしくゲストとして自分の仕事を果たしている千明に対して(毛利さんに呼ばれたという生々しさ笑)、或人くん・時雨さんの「短い出番で爪痕を残してやるぞ」感……うんうん、そういうの好きよ。社長、イズがいなくて大丈夫かなって思ってたけどぜんぜん独り立ちできてた。二人ともまたおいで。
人選ランダムすぎるな?と思ったけど、いちおう「剣」つながりだったんですね。8人揃ったところで気づいた。

西遊記のほうは、さすが東映なんでも衣装持ってんなあ……って。老舗映画会社のそういう厚みは信頼しきってます。
我が魔王は言うまでもなく、介人くんのチャイナコスが予想以上によかった。けっこうしっかり作り込んでた。そこそこ似合う倫太郎が霞むレベル。先日の女装もだったけど、介人くんなんでも着こなすポテンシャルあるな。ゼンカイメンバーが出てる場面はひたすら安心して観られました。
そういえば「ヒーロー不在の世界」がセイバー側でだけ話進むの、ゼンカイジャーはギャグに振り切ってますんで、ここはおまかせしますね!っていう潔さがあってよかったです。

アキバレンジャーはちゃんと観たことないけど、東映的にはもうほぼ公式ですよね?
セッちゃんのセリフ(死亡フラグチュン!)で思ったんですが、ゼンカイジャーと相性がいい、というかゼンカイのノリってアキバなんだな、と。大戦系企画が作り手目線のメタなら、ゼンカイは視聴者(特ヲタ)目線のメタって感じがする。たまに「こっち寄りすぎでは?」と思う部分も含め。

ところで本棚に入ってた「禁書」ですが、スーパー戦隊がきっちりシリーズものになってるのに対してライダーが厚さも装丁もバラバラ……なのはともかく、普通あんな本の入れ方する!? 左から並べていってその段に入りきらなかったシリーズを右側に詰めて入れる!?とどうでもいいとこに引っかかってました笑
電王が厚くてJがちょっといい映画のパンフみたいだったから、ZOや真は同人誌みたいなのかな。表紙だけじゃなくて全部実物を見たいな。ライダーダイナーとかに並べておいてほしい。

あとオシャレ番長・神山先生が一回白シャツになった反動か、全力で「ライダーカラー」のコーディネートしてきて、作る人もすごいけど着こなすほうもなかなかおかしいな……ってしみじみ思ってました。ホントいつも戦いの前にどういう気持ちでクローゼット開けてんの飛羽真くん。

石ノ森章太郎のこと

原作者リスペクトはわからなくもないんだけど、没後20年ちょっとでご本人を「使用して」もいいのか?というのは少しだけ引っかかりました。でもちゃんと各方面に許可はとってるんだろうし、『章太郎』のストーリーもご本人の作品が元になってるというし、問題がなければいいのです。個人的にファーストインプレッションで「そんな勝手に『章太郎』に語らせていいのかな?」と思ってしまっただけです。
仮面ライダーの映画に登場できるなんて光栄だよ、と石ノ森先生がおっしゃるのなら、本郷猛との対話も意味があったのだと思います。
もしかしたら、最初からここへ持ってくるつもりで飛羽真くんを小説家にしたのかもしれないし(そんなことはないだろうけど)

ちなみに私は仮面ライダーよりも年下ですが、小学生のころ児童館に置いてあった古い「仮面ライダー」を読んだことがありまして。本郷猛がライダー軍団に倒され、軍団の一人だった一文字隼人がその遺志を継ぐまでの話。
テレビ放映はもちろん観てないので、今でも「初代・仮面ライダー」というとあのイメージが残っている部分があります。
あと宮城にいる今、思ったよりも「石ノ森章太郎」の名前に触れることが多いんですよね。特撮好きの一人として、いつか石ノ森萬画館にも行ってみたいです。石巻は行ったことがあるんだけど(町中は009のほうが印象強い)、萬画館はまだ行けてないので。

同時上映:仮面ライダーリバイス

要素の多さに、完全に次のライダーのこと忘れてて、出てきたときに「そうだよね夏映画だから次のお披露目あるよね」とは思ったんですよ。
でもまさかエンドロール流れたあとに、丸一話ぶんリバイスをやるとは予想してなかった。完全に「同時上映:リバイス0話」。
サプライズはわかるけど、やること自体は事前に言ってくれてもよかったのでは?と正直思います。こちら側の配分としても、エンドロールでもう気持ちは終わってるから。そのあとに顔見せ2,3分じゃなく20分以上未知の物語を鑑賞するっていうのは、別の心構えが必要だからさ。
なんか混乱しながらだったので、本放映で好印象が持てるか不安……

へ~スモーキーピンクなんだ~と思ってて、パンフ見たらベビーピンクみたいな色で、これは媒体によって印象がかなり変わってしまうのではと勝手に危惧しています。どっちにしろあんまり好きな色味じゃないんだごめん……
内容的には、思ったより「揺り戻し」が早かったな、と。昨今だとビルドがいちばん「原点回帰」っぽくて、しばらくはその方向には持っていかないだろうと思ってた。でも「50周年」を背負ってるんだもんね。過去ライダーの力も使えるってことでいいのかな?
スーアクは縄田&永徳。脚本は特撮初挑戦のベテランさん。会話のテンポがよかったので(ここ2年テンポはイマイチだったので)一話ずつの楽しさは期待してもいいかも。
とりあえず、東映が木村昴を一年間確保したんだなというのと、東映vsバンダイの新しい戦いが今年も始まったな、と凪いだ気持ちで見届けましたが。どんなに原点回帰したくても、玩具サイドからの要素盛り盛りムチャ振りは避けられないものね……

そんな要請が今どきなさそうな「シン・仮面ライダー」も気になってはいます。
2023年公開だけどね! 52周年になっちゃうけどね!! 東映が言い張ればまだ平成だし、まだ50周年なんだよ。ムチャ言うチュン。

エヴァンゲリオンの映画がどうとか言うけど(シン観ました)、数年おきに小出しでヒーロー大戦映画ぶつけられてる我々もなかなか過酷なほうだと思うよ。