リュウソウジャー総括感想[2020.3.1]

※2022年追記:
VSとかいろいろあったのに出しそびれまくってました。本まで出したのにちゃんと総括してなかった。本当に2020年当時のテキストです。ういちゃんのことも、当時の気持ちです。


ソウルをひとつに。

キラメイジャーちゃんと観てます。
ゴーオンみというかダイレンジャーみを感じて期待しかない……

でもまあ、まだお別れしてないんでね。
今年はいろいろあってお別れのタイミング逃しちゃった感があるけど、いちおうこの感想で一段落としましょうか。あ、SSは思いついたら書いていくと思うけど。

一年間ありがとう~。


根に持ちますけど、キョウリュウジャーの最終回がものすごく納得いかなくて。
チートレベルに最強のレッドがいきなりヒロインになったピンクを嫁にして、他のメンバーが背景になってしまってめでたしめでたし、っていう終わらせ方に、それでいいの!?って混乱した。
「俺たちは戦隊だ!」が決めゼリフだったのに、ぜんぜん戦隊じゃないじゃん、ってかなりがっかりしました。

で、同モチーフのリュウソウジャー。
色もおんなじだし、コンセプトもちょっとふわっとしてるし、人気からいったら大ヒットしたキョウリュウジャーにも前年のルパパトにも絶対勝てないし、大丈夫かなって正直思ってたんですけど。

すごくよかった、すごく戦隊だった。
全員が完璧じゃなくて弱いところがあって、それぞれが大切なものを失いながらもお互い助け合いながら成長していって、3+2+1のままでがっちり6人の戦隊になっていって、最後にそれぞれの未来に向かって別々に歩きはじめる。でもちゃんとまた集まることもできるっていう、清々しくて爽やかな、まさにハッピーエンド。

こういう戦隊が見たかったんだ、って思いました。


コウ。
209歳児。
最初は単に無邪気なだけなのかなって思ってたけど、
メルトみたいに初めから優しかったわけでも、アスナみたいに天性の能力を持っているわけでも、トワみたいに資質を認められてたわけでもない。ただの乱暴な男の子でしかなかった。
これは衝撃だった。

わたし基本的にレッドは全員好きなんだけど、最初からチート的に強いとか(キョウリュウレッド)根拠のない漠然とした光属性とか(シシレッド)はあんまり飲み込めなくて。少女マンガでも乙女ゲーでもBLでも、立ってるだけで総愛されな主人公はダメなのね。
レッドが特別なのは大前提として、チームの中でセンターである明確な理由がほしいのね。あと血筋による裏づけもずるいなって思うタイプ。

コウはそのへん「え、同じ性分の人が書いてるのかな?」ってくらい、私の好みでした。
彼がリュウソウ族の中で本来どんな立ち位置だったのか、1話で村も師も失ってしまってわからないままスタートし、彼をセンターに置くことでどうしても綻びが出てくる。それを本人含めたみんなで解決していくっていうのはなるほどなーと。
まあパワーアップが急すぎたり、新商品ありきの展開についていけなかったりしてるとこはあったけども……
「後天的に善性を身につけた」っていう過去からあのふんわり無邪気キャラに持っていったのはすごいと思います。さらにそこから何度も「成長」させる。最終回まで、もしかしたら最終回後まで。

あと、喪失の描き方がけっこうきっちりしてたというか。マスターレッドにしろナダにしろ、決して生き返らないというのは重要なメッセージだったんじゃないかな。
コウは自分を許すことはないんだろうし、なによりコウがピンチになったときの説得力が違う。子供番組ではごまかされがちなこのへんが、すごくちゃんとしてた。

この先はSSで書くよ……語り尽くせぬ……


メルト。
だれがなんと言おうと、正統派ブルー。
知性派で、作戦指揮ができて、レッドに誰よりも近い片腕で。
コウ&アスナと幼馴染ってとこで、変に距離が離れずがっちりと強い関係ができててよかった。
ティラミーゴもコウとだけの関係じゃなく、メルトを巻き込むことでみんなのマスコットになれた気がする。

映画のラストで戻ってきたコウを最初に見つけるのはメルト、本編の最後でコウを抱きかかえるのもメルト、コウの剣を代わりに握るのもメルト、コウが暴走してもまず押さえ込みにいくのがメルト、乱暴者のコウを時間かけて優しいコウに変えたのもメルト。
もう理想の赤青関係ですよ。絆の強さでいったら歴代でも五指に入りますよ。

カップリング的興味がないぶん笑、いちばんフラットに受け入れられました。オトちゃんとも仲良くしてね。


アスナ。
最強ヒーロー。
去年のつかさ先輩とお別れするとき、もうこんなピンクとは会えないんだな~ずっとつかさ先輩と比べちゃうんだろうな~と思ってたんですけど。
アスナは本当にすごかった。パワー系のヒロインは今までもいたんですよ。でもアスナはそこで終わらなかった。

かっこいいセリフ、だいたいアスナが持っていくんですよね。
「都合よく現れるのが仲間」とか、「夢の中に仲間はいなかった」とか、コウじゃなくてアスナが言うんだよ。コウには迷いがあるから。
心臓やばかったときも、迷うコウを叱咤してさ。完全ヒーローじゃん。
プリキュアでやればいいってことじゃなく、男の子に女の子が混じった時にこそ同じ役割を与えられるべきだと思うのよ。
そういう制作側の意思を明確に感じた。

だからって、完全に男あつかいっていうわけじゃなく、アスナは女の子としてずっとちゃんとかわいかった。
ヒーローショーとかで、女の子がピンクの装備を持ってたりすると、昔はちょっと複雑な気持ちだったんだけど、今はそうだよねピンクは憧れだよねっておばさんも素直に思える。

重要なのは、ゲストともメンバーとも恋愛イベントが発生しなかったということ。コウを姫抱っこしても笑、メルトと抱き合っても、全然いやらしい感じがしなかった。兄妹でもない、幼馴染で仲間というスタンスを貫いてくれたから。
ラスト、カナロがちょっとふわっとしたけど、アスナ側は気にも留めてなかったのもいいなって。
最終的にカナロが押し切って(というか泣き落として)くっついてもいいと思うんですよ。でもそれはリュウソウ族の繁栄のためではないし、すでに子供たちを育ててるアスナが自分の子供をほしいと思うかは別の話だと思う。


トワ。
希望の光。
なんかこの子、キャラも顔も苦手だなーって思いながら見てたら、いつのまにかすごく好きになってた。
生意気なだけかと思ったら、意固地な兄さんと3人組のあいだをナチュラルに取り持つ感じで、要領のよさと性格のよさがどんどん前に出てくる、魅力的な存在でした。
弟キャラだからちょっと下に見られがちっていうの、女だからのアスナとおんなじなんですけど。その二人が最後にみんなを引っぱって立ち上がるっていうのがよかった。

コウよりも資質を見出されてた面もあったみたいだし、影のレッドみたいなもんだったのかなと。トワ主体の話がもっとあってもよかったなあ。
というかマスターブラックがもうちょっと早く出てきて、マスターグリーンとナダとトワをつなぐ話が長めにあっても、喜んでおつき合いしたのになあと思います。

ちょっとキャラ設定か消化不良気味だったのが残念。もっとトワのエピソードあってもよかったよー。


バンバ。
セクシー兄さん。
逆にこの人は、どんどん弱くなっていくのが魅力だったのかも。
ナダやマスターといろいろあったせいで、誰も信じないと決めて弟だけを相棒に生きてきて、コウたちとぶつかって、ぐだぐだと仲良くなっていく……
わりと「いつのまにか」デレてたので、そこんとこもうちょっとしっかり描写してほしかった。

ナダとの絡みは逆にディープすぎて、えっもっと他のことやったほうがよくない!?ってなったくらいでしたが。どういうことなの。兄さんがエロいのが悪いの。ナダがチャラいのが悪いの。

まあね、マスターブラックもうちょっと早く出てきてもよかったけどね! ひっぱりすぎてバンバがツンだったことも忘れかけてたからね!!
最後にトワを見送ったあと、すかさずマスター出てくるの最高だった。前に進むしかない若い子らと違って、そこそこ生きてきた彼だけは、失われた時間を「やり直す」選択肢を残してもらったんだよ。
この、年長者も年長者なりに救済してもらえるっていう流れがすごいグッときた。若者とは別の方向性が必要だものね。

そんなことも忘れがちになるくらい、セクシー担当だったよね!!
無駄に濡れたり脱いだり、女性との絡みも多かったし、ピンクじゃなくてブラックをお色気担当にする気だな……とスーパー戦隊の心意気をひしひしと感じました。
なんかもう、だれとでもいい……とにかく兄さんにエロいことをしてくれ……ってずっと思ってました。


カナロ。
残念王子。
女好きとかナンパ男というのがコンプライアンス的にアウトになってきたのか、とはいえ「婚活」って……しかもその理由が「子孫繁栄」って……まあね、絶滅危惧種だと思えば、パンダみたいなもんだと思えば、結婚と子作り前提の交際というのは必死にならざるをえないですよね、と視聴者にしぶしぶ認めさせる作戦か。

いや全部許せる雰囲気だったけども。そこが存在意義というのは、男でも女でもしんどいものだよなあと、しみじみ思いました。
実家住まいの独身アラサー特ヲタあたりには、けっこうキツかったんじゃないかと思うけどどうなんだろう。
ただ、どうも子作りが海のリュウソウ族のあいだでもすでにあきらめられてるっぽいのは、出奔して自分の人生を選んだ元婚約者もそうだし、オトちゃんの自由っぷりも示唆ではあるような気がする。
カナロだけが「種族復興」に固執しているからこそ、彼の「婚活キャラ」がネタで済んでるのかもしれない。

でも家庭か戦いかを迫られたときに、仲間の誰もそれをじゃましなかったのに戦いを選んだカナロは、ヒーローとしては当然のこととはいえ、やっぱり自分のレーゾンデートルが繁殖から移ってきてるんだろうなと思った。
アスナへの気持ちについては、見た直後はすごく納得してた。完全に心が折れたときに、自分を罵るんじゃなく自分の心を折った相手に啖呵切ってくれるのは、男女問わず惹かれておかしくない状況だから。
ただ、くっつくかどうかはわかんないなあとしばらく考えた今は思います。

一年後のVSでも、カナロにはステキなお姉さんにビリっと運命感じててほしい気もする。むしろそれがなくなったらただの無個性イケメンだから……


オトちゃん。
妹概念。
個人的に妹キャラってあんまり好きじゃないし、彼女自体が妹萌え集合体みたいなとこあるんで、まあどうなのかなって思った部分もあるんですけど、そこは好みの問題なので目をつぶって。
海と陸を繋いだのは結局彼女なのかも。カナロだけでは、あそこまで距離を縮められなかった気もする。

というより、オトちゃんはカナロの救済なのかも。
彼女が種族繁栄の「犠牲」になるということではなく、彼女の意志でメルトを見初めて近づいていくっていうのが。
メルトとは百年後くらいに正式なおつき合いを始めるかもしれないし、その結果として子供ができるかもしれないけど、それはオトちゃんの「使命」ではない、というところがカナロとの違いだと思う。


ういちゃん。
わー美人!ていうのが第一印象。好きな顔。
友だちがいなくて、承認欲求ばっかり大きくて、でも家族には愛されてて、なんかすごく切ないキャラでした。

昔ならこのポジションって、無意味に場を引っかき回すちょっとウザめの立ち位置だったんだけど、リュウソウ族がそこそこツッコミ待ちだったからね。
お父さん共々ボケツッコミ両刀使いって感じで画面の賑やかしとしても好感度高かった。私が大人になったんだろうか……

途中で役者さんが病気療養で出なくなってしまって、すごく残念ではあったんだけど。Twitterでも毎週観てねって告知してくれてたし、本人が一番つらかったと思う。
最終回、がんばって出てくれてありがとう。VSキラメイジャーの時には元気に参加してほしいなと思います。


ドルイドンもリュウソウ族の皆さんもインパクトある人たちばっかりで、語り尽くせないけどまずはこのへんで。
誰にでも勧められる傑作かというと難しいところはあるけど、私の中ではとても好きな戦隊になりました。特撮初挑戦のメインライター山岡潤平さん、本当にステキなセリフの数々、ありがとうございました。