メサイア。

完全にキャスト目当てでチケ取ってから、長いシリーズだってことを思い出して「話についていけるかな……」って不安になりつつ。
先週「メサイア―鋼ノ章―」観てまいりました。
前から2ブロック目のセンターだったんでかなり見やすかった! ありがとうみつぅ先行!!(笑)
Gロッソだったんで、こちらも最初からヒーローショーとしての目線ができてて、その方向だとすごくおもしろかったです。
キャストもアンサンブルも、芝居と殺陣の両輪で飽きることなく全員が魅せてくれました。
手加減なしのアクションは文句なしだし(JAE!)、映像多用の演出がハマってた。
あの人数でバックボーンも厚いだろうからかなり混戦状態の状況を、初見の人にもわかるように説明しながら物語もきちんと前に進めてて、展開もおもしろかった。
しょっぱいのは原作なんですね
以下、ネタバレを含む感想など。初見ゆえの言いたい放題なんでご注意ください。
あとキャラ名難しくて覚えられないので役者名で失礼します。


とにかくアクションのキレがすごかった。
アンサンブルも、休みなしなんじゃないのっていうくらい何度も衣装替えて出てきて、飛ぶし回るしもう大変。常識だけど、やられる側のほうが活動量多くて動きも大きいのよね……
メインキャストもハイキックで脚がきれいに上がるのはあたりまえで、動ける子ほど難しくて速い動きがどんどん出てくるから目が離せない。
デフォルトの身体能力もあるけど、男子がみんな「ガンアクションかっこいい! 殴り合いかっこいい!」っていうノリでやってくれたから、こっちも心からかっこよさを堪能できました。キャラの葛藤や愛憎を抱えながらの対決にはその感情も込められてて、役者が生身でアクションやる意義ってここだよねと思いました。
今まではどうだったか知らないけど、Gロッソでやるべき公演ですよねコレは。
あの落差のあるステージはアクションあってこそだから。1回だけ上からロープで下りてくるのもあったし客席から登場もあったし、あと映像かっこよかった。
オープニングとエンディングがドラマか映画みたい!っていう狙いがちゃんと成功してた。Gロッソってどんなに映像使っても不自然にならないし、音響もそういう方向に合わせてるんだと思う。生芝居と映像って失敗すると蛇足でかっこ悪かったりするんだけどそんなこともなく。
やっぱりこういう大風呂敷系の作品は舞台が向きますね。
MXでやってたドラマをいちおう予習代わりに見てて、まあわりとがんばって画面作りはしてたと思うんですけど、やっぱり低予算ゆえの甘さとかはどうしても出てきちゃって、映像はそういう細部の作り込みで説得力を出していくものだから難しいんですよね。アクションも、生のほうが迫力あるし緊張感がちがう。
舞台だと、映像演出でもセリフで終わらせても、あとはこっちがいくらでも脳内補正していけるから、話をどれだけ大きくしてもいいっていうのもあります。
次は映画だそうで……まあすでに2本やってるから心配はいらないのかなあ。
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むらた&いわなが。
すみません正直いってメサイアを観にいく日が来るなんて思ってなかったんですけど。
この二人が出ると聞いて、迷わず飛びつきました。
もうね……すごいですよ。人間離れした体型の二人が同じ場所に並んで立ってるの。あまつさえ会話までしてるの! それだけで大興奮!!(落ちつけ)
みつぅは安定の人外フォルムで。
びろびろの服着てて体のラインが見えないんだけど、その中どうなってるの? ホントはボディなんて存在しないんじゃないの? といつも疑ってしまいます(笑)。クリーチャーとか人間離れした悪魔的な雰囲気が、特殊メイクもなしで立ってるだけで出せるからね! クールでマッドなテロリストの非情さは彼ならではです。
いわながさんは、人間として完璧すぎて逆に人間に見えないパターンね。
みつぅが悪魔的だとすると、こっちは戦う大天使かな!(寝言) どんな役でも同じカッコしてる印象だけど(笑)、日本人とは思えないほどアーミースタイルがハマるのでみんなアレ着せたくなっちゃうんだと思う。あとランニングから肌色チラリもやりたくなるんだと思う。同じクールでもこちらは信念を持って動いてる気がして、バックボーンを勝手に想像してしまいます。
二人並んだら、地上に降り立った天使と悪魔ですよ! 世界滅ぼせそう!!
これだけでごちそうさまですって感じです。ありがたやありがたや。
潜入とかでうっかりサクラのお衣装なんか着ちゃったら、えらいことになってたと思います。似合うなんてレベルじゃない、ボーイズが打ちひしがれるよ。
この二人の前に立つと、長身イケメンたちが軒並みかわいく見える……いざわが普通の男の子っぽいし、龍くんが小柄に見えちゃうし、玉ちゃんなんか迷子のイリオモテヤマネコでしたよ。
総括すると、変身しないで勝てる気がしませんでした。この二人がデフォルトでガワっぽいため、ヒーローショー感がアップしたともいえます。
ラストで明らかになったコードネームも、ラスボス感というか怪人っぽさ出てたなあ。
完全悪役のテロリストなんで、キャラ的にもどシリアスかと思ったら、みつぅがすかさずボケぶっ込んできて、結局いわながさんが止める側ていうのがなんかオイシイなって思いました。そうね、なんか常識人が不思議ッ子のお世話してやってる感じするよね。
次の映画にも出てくださるみたいで、行くしかないのかコレは……と覚悟を決めつつあります。
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龍くん&玉ちゃん。+しゅーと。
キャラ付けなのか龍くん玉ちゃんがデフォルト巻き舌でイタリア人かと(笑)
サクラ側がシリアス一直線だったから、息抜きの軽いアドリブはこっちの担当でしたね。
前までの展開はよくわかんないんだけど、少なくともこの話では龍くんが一番主役(ヒーロー)っぽかったし、相棒関係でいっても離ればなれになってる玉ちゃんとの信頼が一番強かった気がする。玉ちゃんのドラマパートもぐっときた。
その二人のあいだに入り込めない、おそらく「凡人」という立ち位置のしゅーとくんが、じたばたと騒いで悪あがきして、そこまでしても龍くんと同じ目線になれないっていう切なさがよかった。弱ペダや薄桜鬼でも思ったけど、彼はすごい舞台映えする子だよね。ドラマ版では最初モブかと思ったくらい薄かったもの(笑)。
玉ちゃんはもう存在そのものがズルイ。あの美貌にあのダミ声に、でも中身はわりとノーマルで、結果として苦悩キャラでしょ。ズルイ(二度目)。モブを倒すときにナイフ何度も突き立てちゃう衝動的な感じがすごくよかった。
その玉ちゃんにものすごく頼られてて、しゅーとくんの気持ちもたぶんわかってて、「俺は俺だ」って自分の正義を貫こうとする龍くんはマジでヒーローだった。彼はもう見たまんま、誰よりも圧倒的に強いのね。もう主人公でいいじゃん!(笑)
シリーズ中、彼らサイドの話もあったんですよね。それは観てみたいかも。
余談ですが、パンフで龍くんが暴露してた酔っぱらい玉ちゃん。あの美貌が抱きついてきて泣いても過ち犯さない龍くんすげえ……ってアルカリが呟いてました(笑)。さすが、数多の共演者を籠絡してきた人タラシなだけのことはある……龍くんはみんなのアニキです。誰のモノでもない! むしろ全員が俺のモノって思ってる!(笑)
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ヒラノ。
彼は見るたび「ちくしょう! なんて存在感だ! 好き!」って思う……(笑)
なんだろうね、紙一重でステレオタイプの薄っぺらいアニメキャラになりそうなところを、独特の間合いで唯一無二の「実在する人間」にしちゃうんだよね彼は。玉ちゃんとのやりとりでの、静と動の対比が美しかった。顔は地味なのに(笑)。
あと隙あらばアドリブぶっ込んでくるの心臓に悪い……クレイジーな思想犯で殺される役なのに、同じテンションで淡々と笑いを取ろうとするから相手がかわいそう(笑)。
物語の中では絶対的な敵でまちがいなく悪役なんだけど、個人的にはけっこう好きかも。でもヒラノが演ってるからだろうな。
おおたのもっくんもすぎえも、出番のわりに見せ場多かったし。
おーすみさん&やまかわさんの安定した芝居でがっちり支える感じも、安心感があってよかった。
とにかくミスキャストや力不足がいないのがすごいと思いました。どのキャラクターもそれぞれに確立されてて好きだわこの人ーって感じ。
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サクラ候補生4人組。
ええと、こいつらがウザいのは候補生だからなの? サクラがそういう生き物なの?
主役だけどドラマパートではヤンデレ論理を4通り聞かされただけでしたよ。
この国の未来を真剣に考えてる龍くんやヒラノに対して、こいつらクラスの中の人間関係だけでいっぱいいっぱいだったよ。
そんな感じの不安定な役を、しっかりばっちり演じきっていた4人って実はものすごいのかもしれない……ていうかこの4人を持ってきたキャスティングの人がおかしいのかもしれない……
私の好みとは真逆だけど、俳優陣は素直にすごいと思いました。
ひろせとそめやは、もしかしたら今後こういうネガティブな役しか来ないんじゃないだろうかと不安になるレベルで。どんなセリフでもイライラさせるってすごい(笑)。
ドラマ版の、SひろせとMそめやを組ませるっていう、ごーもとさんの趣味としか思えないようなシャッフルもなかなかイライラできる感じでした。情緒不安定すぎてまともに任務なんかできる感じしないひろせと、いじめてくださいって顔に書いてあるそめやを、同じ部屋にぶっ込むとか……もう事故起こしたいとしか思えない(笑)。
でも今回の、ドMがぐるっと回ってドS化したそめやも、Sが暴走して結局打たれ弱さを晒したひろせも、鬼気迫ってました。ひろせは前見たときは自分の芝居に酔ってるというか実力が気持ちに追いついていってない感があったんだけど、少なくともこの役はすごいハマってた。そめやは顔のせいなのかな……演技を超えた不幸オーラがヤバイです。いや芝居は好きなんだけども。
彼らにもっと健康的なお仕事が来ますように(笑)。
あかざわは……赤澤なのに白崎ってどっちだよ!って思いつつ(物語関係ない)。
ひろせのダイレクトヤンデレっぷりに引かないのすごいな、ものすごい天然なのかな、と思ってたらわりとストレートにマッドだったんで、ああ類友ね……って納得しました。けっこう苦悩してたのに、思考放棄してからの開きなおりであっさり人殺せるメンタルすごい。
彼だけ実年齢が下なのかな? あのベビーフェイスと屈託のない優しそうな感じが逆にすごく怖かった。今回参戦?の杉江くらいソリッドな部分があったらここまでヤバイ感じは出なかったと思う。
いざわはよかった。
もうなんか、大きくなったなあ……って親戚のおじさんみたいな気持ちで見てた(笑)。るひまでは弟キャラだったけど、年齢的にもこういうお兄さんっぽいポジションが似合うようになってきたよね。クールでかっこよかったです。
サクラ候補生の中で一人だけ言ってることが理屈通ってて、動機→行動→心境の変化がムリなく描かれてました。逆にいえばいざわだけなんだよな。他は途中で狂気によって論理を飛躍させてるから(笑)。
でもその気持ちの向く先がそめやだったことによって、結果的に不健全な執着になってしまったのが、やっぱりおまえもそっち側か……っていう感じで。
拷問っていうのが、おーすみさんがアゴじょりじょりしつづけるとかだったらどうしようって顔近づいたとき本気で思いました。地味にダメージ蓄積しそう。
たぶん、ここまでのシリーズでサクラたちのドラマにどっぷり浸かって感情移入できてるという前提がないと、メサイアという物語には入り込めないんだと思う。正直、サクラ周辺に関してはなにが楽しいのかさっぱりわかりませんでした。
こいつらの前はラブラブいちゃいちゃのメサイアだったのかなあ。それはそれでイラッとする(笑)。
ていうかアレだ、その時々のメサイアの組み合わせに萌えられなかったらダメなんだわきっと。過去のチラシ見て萌えられそうな組み合わせなかったもの私。
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そもそもで申し訳ないんですけど……
メサイアってシステムの意義が全くわからなかった!(笑)
現実問題としても、作劇上の盛り上げとしても。
全てを疑わなきゃいけないスパイに「絶対的無条件で信頼すべき相手」を強制的にあてがって、しかもその中に平気で他組織のスパイが混じる可能性があるっていうのが、セキュリティ会社なのにファイヤーウォール入れてませんみたいな本末転倒感。
だいたいまともに機能してませんでしたがメサイア。
今わたしの目の前に2組(テレビ版のシャッフル入れれば4組)いて、お試し段階でほぼ崩壊してますけど! 未熟な候補生だからにしても、カップル成約率低すぎる。ドラマで見た卒業組?の松田と小野も幼児性が残ってるのか同じベッドで寝てたりして距離感おかしいし。
唯一ちゃんと仕事してるのがスタンドアローンのもっくんだけだったよ。相方いないほうが自由に楽しくやってる感じだよ。ラストで杉江が「俺メサイアいらない」って言ってたけど、あの4人見てたら誰だってそう思うわ。
ていうか、学生時代にたまたま同室になった相手と一生添い遂げるって……自分で選べればまだしも、「はーい今日からこの子と仲良くしてねー命預けてねー」って!(笑)
ドラマ的にも「信じてはいけない相手を自分の意志で信じ抜く」のほうが、まちがいなく盛り上がるし、萌えまでの前提条件が少なくて済むはず。
龍くんと玉ちゃんがそうだったじゃん。それぞれが自分の信条で動いた結果として敵同士になっても、互いを信じて思い合ってる二人のほうが、ヤンデレ四人衆よりドラマティックだったし説得力もあった。
サクラの連中が置かれてる「極限状態」って、概ねシステムか個人的事情のせいなんで、どうも納得いかないというか共感しづらいというか。
この世界の矛盾を暴いてやるって話してたけど、サクラ自体が矛盾の塊ですし……
こういう極端な設定って思考実験としては有効かもしれないけど、そこまでもいってなかった。オメガバースみたいなピンポイント過ぎる萌えを、「このカップリングは公式でこの設定だから!」ってムリヤリ押しつけられてるだけで、反感しか覚えませんでした(笑)。
……みたいなことを大まじめに突っ込んでるこっちがバカみたい、って話なんですけどね。
あとはまあ、どんなにしっかり話作り込んでも、核兵器って出した瞬間に物語全体が陳腐になるってフィクション作ってる人はいいかげん気づいたほうがいいと思います。ハリウッドでも小劇場でもさ。危機感盛り上げるためだけの核にメッセージ性なんかないから。
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突然ですが、昨今乱用されている「中二病」という言葉が好きじゃないのです。
大上段に厨二という言葉を使えば自分は厨二ではなく世の中をニヒルに客観視できると思い込んでるのがそもそも無教養晒してるし、厨二という言葉を自分の力不足の言い訳に使って開きなおるのが大人の対応だと思ってるのも思考停止甚だしいと思う。
そこんとこを踏まえて、大本を作った人はまさしく中二病だと思いました。
知識と思慮が浅い、そのために視野が狭い設定で、そこに全部を乗っけてるからいちいち説得力がない。脚本家がどれだけ感動的なストーリーを作っても、俳優陣が全霊込めて熱演しても、初期設定の厨二くささはどうにもできないんですよね。
原作ではなくメディアミックス前提で「原案」というかたちで参加してるらしいのですが、プロの小説家だそうで……せめてビジュアル重視で売ってるマンガ家であってほしかった。マンガなら設定浅くても絵面で許せる(場合もある)。普段は学園BLとか書いてる人なのかなー。ちょっと自分の中二心を解放してみました☆みたいな感じなのかなー。
そういうしょーもない話だったからこそ、「Gロッソでのヒーローショー」がすごくハマったんだと思います。戦隊モノだってテレビのストーリー展開はそれとして、面倒なとこ抜いて楽しいアクションだけを見せますよ~というのがヒーローショーなわけでさ。バックボーン以外は素直におもしろいってそういうことだよね。
また舞台でやるなら、たぶん行きます。ヒーローショー観に。

演劇・舞台

Posted by nickel