トットてれび!

トットちゃんの本は読んだことないんだけど、徹子さんが語った昔話の中で「昔のテレビは全部生放送だったからスタジオに『終』の札が落ちてて収拾つかなくなると誰かがそれを掲げてむりやり終わらせてた」というエピソードがやたら印象に残っていて、その再現が見られたってだけでも満足なドラマでした。
普通の感想ですみません、と最初に謝っておく。


いや、おもしろかった!! いろんな意味で民放にはできないずるい。権力の正しい使い方。
前半はとにかくトットちゃんがおかしくておもしろくて、ひたすら笑ってた。セット倒れてくるのとか本気で笑った。
とにかくトットちゃんがすごい、ホントに若いころの彼女を見てるみたい。大女優見て「生きてらっしゃる!」っていうセリフがすごくツボった。ちなみに素敵な買い物ブギね、と思ったらエゴラッピンでした。
「伊集院ディレクター」も絶妙なリアル感とコント感。他の人たちもだんだんあの名優に見えてくるし、何もかもが「すごい、ずるい」としか言いようがないです。
後半はもう、置いていかれる徹子さんが切なくて……徹子さんだけ老けメイクしてないんだけど、つまり彼女はなにも変わってないってことなんですよ。他の人たちが歳とって大人になって(そして死んで)いくのに、徹子さんだけはずーっとトットちゃんのままってこと。仲間が死んでも泣かないトットちゃんは、人の気持ちや空気は読めないのかもしれないけど、そんな彼女だからみんなが愛したってことなのね。
本物というか今の徹子さんが出てきたとき、改めて満島徹子の完成度の高さに感じ入る仕掛け。徹子さんの、80歳で老けメイクして100歳を演じるってのもなかなかだと思いましたけれども。徹子の部屋と、ザ・ベストテンのセットはさすがに感動しました。これだけテレビと併走してきたら、全世代で黒柳徹子知らない日本人はいないわ。
テレビジョンを語るには、出演者や作家やディレクターも大事だけど、視聴者がいないと始まらないんだ、ていうのが王さんの存在だったのね。最初は単に場の提供なんだと思ってた。
時代が下ってお店もなくなって彼らとはブラウン管のこっちとあっちに完全に分かれてしまったけども、王さんにとってはテレビの中のみんなは仲間っていう感覚だっただろうし、テレビもただの家電じゃなく共に生きてきた「テレビジョン」だったんだよね。それがわかるのが最終回という構成の妙。
王さんの日本語がだんだん巧くなっていくのも、細かすぎて回想入るまで気づかなかった(笑)。
濃厚で疾走感もあるのに、実は放映時間は30分。やっぱりドラマって30分でいいんじゃないかしら。CM込み1時間もあるから冗長になるんじゃないかしら。
まあ、毎週45分で1年間って暴挙を何十年も続けてる局もありますけどね。だからこういうステキなドラマを作れるんでしょうね。
テレビ?まだ見てるの?って話になることもあるし、受信料払ってるって言うとバカにされることもありますが、私はネットよりはテレビで映像を見たいし、いちばん長い時間見てるテレビはやっぱりNHKなので、今後もお世話になります。
あ、受信料払ってると、ご意見ご感想メールとかが出せるよ(プライミーバル再放送希望しか出したことないけど)。あと見たい番組の放送時間をメールで教えてくれたりする……(笑)