文フリ東京。

最近「文フリ出たよ」「どうだった?」っていうやりとりが多かったので、自分のためにもまとめてみましたが、今後参加する方の参考に……はならないと思うたぶん。
あくまでニッケルの個人的な印象です。よろしければ。


やっぱり、見てるだけと実際にやってみるのとでは大違いなわけで。
一般参加とサークル参加では感じることもぜんぜん違うんだなあと実感したしだいです。
全体的に、普通の同人誌即売会となんか違う。むしろ、同人誌即売会以外のイベントに近いと感じました。
値段交渉がない以外はたしかにわりとフリマ感あるかも。すごいじっくり品定め(立ち読み)していくし。サークル側も売り込みというか作品の説明を積極的にしてくれる。小さめのアートフェスとかはああいう感じだよね。
まず6時間っていう長丁場ね。
一般参加のときはゆっくり歩きまわっても2時間もいないから、開始から座ってみるとその長さを実感します。うーんとね、正直終盤は飽きる(笑)。
それもあってか、出足がゆっくりです。
中~大規模の同人誌即売会だと、朝イチで並んで開場とともにお目当ての大手さんや企業ブースに人がなだれ込み、最初の1~2時間は混雑してるけど時間が経つほどに買い手も売り手も帰ってしまって人が少なくなる……みたいなイメージですが。
時間が後になればなるほど人が増えていく感じ。最初の1時間は、サークル側のお買い物タイムかってくらい。スペース内でごはん食べてたりする(笑)。
そもそも「大手」を見かけなかった。列ができる大手といえば、カレー屋さんですかね……(笑) ところによって人がたまったりはするけど、人気っていうよりは立ち止まり方がフリマ感覚なせいだと思う。
でもアート系のフェスやイベントって、「夕方は混むから早めに行こう」とか考えるくらいなので、普通のお店と同じで出足が遅いのがデフォルトですよね。文フリってそっち側なんだなあと、一日いて気づかされました。
でも、少し前まで同人誌即売会もそんな感じだった気がするけどなあ……私はけっこう午後から遊びにいってたし。13時過ぎに行ったらサークル半分くらい引き上げててガラガラ、ってことは昔はなかったと思うんだけど。今は脇目も振らず企業ブースとお目当てのサークルで買い物してすぐ帰る、って感じですよね。良くも悪くも能率的で商業化されてるというか。
まあフリマ感覚は楽しいんだけど、ちょっと苦手なのは、歩いてるだけで声かけられたりチラシを渡されたりすること。ブースに客を呼び込むことは、あまり強引でなければ禁止されていないため。でもそれもお祭りとしてすべてを楽しむまではまだできない……こっちも創作イベントで街頭勧誘スルーモードを発動したくはないわけですよ。興味あったら自分から話しかけるから!
運営もちょっとわやわやな部分はあるんだけど、それはまあ非営利イベントという感じでそんなに気にはならない。もともと反コミケ的なスタンスでやってるらしいので、素人っぽさも味なんじゃないかな、という程度。
pixiv勢力圏内ではないというのもわりと好感が持てる……今の同人界ってpixivアカウント持たざるは人にあらず的な感覚あるじゃない?(笑)
15年くらい?やってるにも関わらず、慣習とか暗黙の了解とか内輪のルールがほとんど見られなかったのは意外でした。
いや細かく突っ込んでいけばそりゃ多少はあるだろうけど、ジャンルによっては根深くあるかもだけど、初参加者が知らなくても不快や不利益を被らない。あ、カレー屋が16時から半額セールやるよって情報くらいかな(笑)。いい意味で「ジャンル俺」の参加者が多くて、入れ替わりの代謝もいいんだと思う。
コミケなんか一般人を遠ざける慣習と不文律で防御してる面があるし。J庭はジャンル限定ゆえの内輪感覚が強くて、正直未だについていけない部分もある。これでも毎回必死に乗っていこうとしてるんですよ(笑)。
そういう、一般的な同人誌即売会の「外から見るとなんとなくいけ好かない排他性」が薄い気がしました。全部ではないけど、トータルの印象として。
もちろん最初は戸惑いました。こっちは同人イベントのノリで向かったから。人によっては落ちつかないかもしれないけど、切り替えがうまくいけばなかなか新鮮な気持ちで楽しめます。ただ、売り手としてそっちにチャンネル合わせるまではいかなかったのが反省点。
見本誌コーナーはコミティアより重要かも。ティアは、ビッグサイトの広い会場を全部めぐるのたいへんだっていう理由で活用してる(笑)。
なにしろ全部が文章だから、スペース前でざっと見て判断するの難しいんですよ。目につく見本誌をまず読んで、それからスペースに行ってその場の雰囲気とかで決めます。
提出側としては、配置エリアごとにジャンルも順番も関係なく早い者勝ちで置かれるので(自分で置きにいくんです)、できるだけ早めに、目を惹く本を、手前側に置く、というワザは求められると思った……手にとってほしいならね。そうでない人もいるだろうし、見た目にだまされない人も多いだろうし、一概には言えないけど、私目線では。
まあ場所はともかく、たくさん平置きしてる中で目を惹くというのはとても大事ですね。うすらぼんやりした表紙の本は埋もれるよ……(自分ちの本を眺めながら)
スペースの中にいる人もなんか独特でおもしろい。
これは、こちらが興味を惹かれる作品がそういう傾向という気もする。ティアや庭よりも母数が多いというだけ。なんとなく、芸大卒っぽい人や職業デザイナーらしき人が多い(笑)。私個人がどちらかといえば、文学をストレートに愛する人より、アート表現のひとつとして文章や本を選んだ人の作品をおもしろいと感じるようです。
そういう人って、創作に対する姿勢がきっぱり決まってて、しかも文章(※小説投稿サイトの住人よりよっぽどまともなテキスト)を操れるくらいだからそのスタンスをきちんと明文化してる。だから語る内容が明確で、力強いんですね。理解・共感ができるかはさておいて、言葉がよどみないから聞き入ってしまいます。
相手にもよりますが、作品についてあれこれ聞いたり話したりするのは嫌いじゃないです。良し悪しとか好みのジャッジはその場で発動しないから、とにかく相手の熱意を浴びるのが楽しくてあちこちでじっくり聞いちゃう。
翻って、自分はそこまで熱く真剣に語れることがないなあと思いました。
どうも「へへへ、こんなんですけどよかったらどうぞ」って卑屈な感じになってしまって、堂々と自分の創作スタンスを語る人々の前ではかっこ悪い。
BLっていうのもあるでしょう。まあいくらでも理屈を立ててかっこよくは言えるけど、自分自身が「所詮BL」って思ってるから(笑)、ガチなアートやら文学やらの前ではどうも背中が丸くなってしまうというか。なんかうまく言えないんだけど、BL特有の「低俗さ」に甘んじてきたというか浸ってきたので、今さら「男同士の純愛が……」とか思ってもないことは言えないです(笑)。
文フリにもいちおうBLカテゴリがあるんですが(今回は「ファンタジー」で申込)、「文学としてのBL」ってなんか鼻につく感じがして(笑)やっぱり背中が丸くなるっていうか、気恥ずかしさが先行するというか……サブカルとしても中途半端な位置づけだと思うんだよね……
そういう感じで、テキストで表現している内容にプライドや自信がないから、言葉も弱くなちゃうんですね。堂々とポジティブに語れるのが結局いちばんかっこいいです。
あ、この場合の自信っていうのは、所属しているジャンルというか、しょってる看板みたいなものに対してであって、実力や技能のことじゃないです。
アマチュア活動で「実力」って意味ないんじゃないかなって年々強く思うようになってきたので。卑屈な開きなおりとかではなくて、技術を軽んじてるわけでもなくて、うまくいえないけどそこは重要じゃない気がする。もちろん、最低限の実力は前提として、という意識もあるんだろうけど(笑)。
そういえば、久々にイベント会場でナンパしました。
ティアとかで何回か顔を合わせたことがあって、こちらも数冊買ってもらってる程度の方。すごいファンというわけじゃないんだけど(笑)、その人の書く小説が気になっていたので、いろいろ聞きたかったのです。がっつり創作の話をするのはお互いに初めてで、まあ探り探りだったんですが、そういう話をすること自体が新鮮でした。仲間内だと趣味とかも全部わかってるから改めて聞かないような話とかもあるし。
もう何年も新しい出会いがなかった上に歳もとっちゃってるから、ナンパの仕方も話の盛り上げ方もわかんなくて、もっと外出たほうがいいなって反省しました。そろそろ創作ジャンルにコミュニティを持ちたい。
そのためにも、自分の創作論というかスタンスは語れるくらいは用意しておかないと、単純にみっともないのもあるけど相手から話を引き出す資格もない気がしました。一方的に褒めたたえるだけならコミュニケーションにはならないものねえ。
いつもどおりテンションで6000円くらい使っちゃったけど、そのあと読むことを考えてなかった……見た目八割くらいで買うから純文系もけっこうあって、開いてから後悔するんだ(笑)。
詩歌は素養がないので楽しみ方がまだよくわかってないです。
やっぱり文学はハードルが高いです(結論)。

一次創作

Posted by nickel