バクアゲでブンブン(ブンブンジャー1~20話感想)

※20話放映時点での感想です。まとめたのに出しそこねてました……
21話以降と映画はまた別記事で。


気がついたらもう20話。折り返しも夏映画もすぐそこですよ。

爆上戦隊ブンブンジャー、初回から毎週めちゃくちゃ楽しく観てます。
こういう「戦隊フォーマットに沿ったスーパー戦隊」って、キラメイジャー以来かな……と考えると、こっちもしばらく戦隊観てなかったから見方忘れちゃったよ!って感じになってます。

20話一気には難しいけど、現状総括。

車というか乗り物全般にさほど興味がないのですが、人生で「車のホイールに目がいく」ようになる日が来るとは思ってませんでした。まだまだ知らない世界の扉が山ほどある。

実家の味

初回放送後「実家の味」で検索するとブンブンジャーの感想が出てくるという事態になっていて、それだけみんな求めていたんだと思いますよ、この「慣れ親しんだ味」を。
でもよくよく考えると、毎年どっか何かパターンを外してきているので、「王道の戦隊」って存在しないんだけど……最大公約数的な「何か」を毎回どこかに感じるのがブンブンジャーです。

今回は意識的に「ホビーアニメ」路線のようです。
要は「男児向け玩具販促番組」ってことですね。ホビーものって遊戯王とかベイブレードとか?商品を主体とした物語で売っていく作品っていう認識なんですが。女児向けはなぜかない。
ただ何年も前にバンダイは「男児/女児」という言い方をやめてて、建前上は女の子が戦隊ブレスつけても男の子がプリキュアパクト開いてもよくなってはいます。
まあ「なりきり玩具」の戦隊ライダープリキュアはホビー枠じゃないわけですが。対象が同じだから作りも同じで昔は同じ人たちが書いてたよね……っていう流れが戻ってきた感じ。

現実離れした金持ちキャラ、空から降ってきた宇宙人、元スパイ、なんかミステリアスなお兄さん、失踪後に著しく成長して戻ってきた少年、なんか元気な一般女子。
実写をアニメっぽいキャラ造形にすると、俳優の個性が置いていかれたり実写の意味が薄れる展開になりがちなんですが(去年を振り返りつつ)、今年はこれだけ盛りだくさんでもまだ浮いてない気がする。
一年間合成背景を見つづけて、普通の関東近郊でのロケに安心感を求めているのかもしれない。やはり実家の味がいちばんということか……

どことなく治安が悪い問題

トラファルガー・ローには「Excel屋」と呼ばれたいニッケルです。まあ、海賊とかが使う呼び方なのよ。

届け屋:「運び屋」だとなんか良くない荷物のイメージがあるからね
情報屋:全く合法な感じがしないけど、新聞屋じゃないだけいいのかな
運転屋:「走り屋」は敵だとしても、新しい単語を作るんじゃない
調達屋:絶対合法じゃないブツを合法じゃない手段で持ってきてるね
警察屋:それはもう取り締まられる側からの視線でしかないのでは
始末屋:もう自分で「町場のケンカから~」って言っちゃってるし!

Pの趣味というか方針だと思うんですけど、どうも「漠然とした大人っぽさ」をキーとしてるんですよね。「○○屋」って言い方、アウトローの大人っぽくてかっこいいよね、的な。
「バクアゲ戦隊」なのに。「ブンブンジャー」なのに。ホビーアニメのテンションなのに。制作開始時キャストに未成年2人もいたのに。もうちょっと素材との相性を考えなかったのか。

でもよく考えると、近年の「子供を置きざりにしている大人びたリアリティ」よりも「子供が考えたような漠然とした大人っぽさ」のほうが、本来の枠としては正しい姿勢なんじゃないかね。
穿ちすぎた裏読みとか小難しい考察とかしがちなジャンルにいると、まっすぐ対象に向き合うことの重要性をひしひしと感じます。

まあそのおかげで、初回からヤクザの一家が登場してもいいことになっているのかもしれない。同時にやってるのが「高校生目線の青春ドラマ」だけど「野生の犯罪者が跋扈している」ガッチャードだから、変な親和性が出ちゃってるのかもしれない。

とにかく全員かわいいです

まずミラだよミラ。みらいって読んじゃうからカタカナで表記。
元気印! かわいい!! 3年ほどいなかったタイプなので、逆に新鮮っていうか……でも見た目がアスナ(リュウソウジャー)すぎない??とは思った。もうちょっと、過去にいない髪型にしてもよかったんじゃないかな……
メンバーの中で唯一「なんでもない一般人」。彼女目線で物語が始まるのは、感情移入誘導の技巧ですよね。
不本意な結婚を強制されている状況から救い出され、奪ってくれた相手と恋に落ちるのはもう古い。だってこの番組は男児も女児もみんなが見ているから。解放された彼女は、過去と決別して自分の手で新しい世界を掴み取る……強烈なメッセージ性です。第1話でここまで明確にやるかってくらいの。
ミラをさらったヤクザは後で再登場するだろうな~と思っていたら、なんと元カレのほうが来ちゃった。男性目線だとちょっと道を踏み外したけどミラの魅力をよくわかってる男、女性目線だと独占欲も思い込みも強い別れて正解のモラハラ男、っていう感想の差がおもしろくもありました。確かに成人女性から見ると、ノリオは地味で努力家で金も地位もあるっぽいけど「ないわ~」感が強い。
おそらく男性のプロデューサー&脚本家陣(今回は女性だったけど)が、「ミラのハンドルを握る資格がない」として描いたのがノリオだというのは、この作品の方向性なのかもしれない。

一昔前なら、最終回で大也とミラが結婚して初回との対比を描いたんだろうけど、その展開はないなと誰もが思える安心感。
でもなんか政略結婚させられそうになってる大也をミラが助けにくる最終回はいいと思うよ。

あとシャーシロ。
クールキャラとスタイリッシュな外見を前提とした超絶高度なギャグキャラですよね。
本当に顔とスタイルがよくてスーツも似合ってるから、なんでそんなおもしろいことになってるの??って全話思ってます。ええ、20話通して。
青は赤といちばん絡むし、青は赤のことをいちばん好きな立ち位置であれ……という気持ちは事実なのだが、いきなり第1話で「この青はこの赤のこと大好きですからねえ!!」ってテンションで来られたのはちょっと記憶にない……
そういうのって、回を追ってじわじわと小出しにしていくもんじゃないの。まずさりげない馴れ合いやアイコンタクトから見せていくもんじゃないの。私たちがムリヤリこじつけで見いだすもんじゃないの。毎回「シャーシロは!大也のことが!大好きですからねえ!!」って念押しされつづけるの、ちょっと本当に見たことないパターンかもしれない、怖い。
ていうか毎回シャーシロのネタ設定だけが淡々と増えていくの、なんで? 水族館とかサウナとか、スパイなのに情報がいちばん洩れてる。怖い。
いちばん怖いのは、シャーシロ役の葉山くんが最初から完全に「理解」した状態で「大也大好きないつも様子がおかしいクールキャラ」を演じていることです。
今思えば、押切時雨だってもうちょっと助走期間あったわよ。あと時雨さんの愛情は自分に向いてたから害が少なかったわよ。

見たことないといえば、初期メンバーには珍しいオレンジ。
玄蕃は初回から戦隊勢を揺さぶってきてますよね。未だに揺れてる。
なんだかえっちな口調と声、エイチナオト着用、なんでも出てくる四次元ポケット、一人称は「私」というわけわかんないキャラ造形で、もうずっとお困りですよ。
「ブーン…orange」の言い方も聞いたことないやつ。怖い。
えっちはえっちなんだけど、べつに誰に向いてるとかじゃなく、「概念としてのえっちなお兄さん」っていうのが、シャーシロと紙一重のお笑い枠っぽさもあって……ほら、無意味にセクシーな巨乳のお姉さんって、そういう文脈じゃない作品だと、そこにいるだけでちょっとおもしろくなっちゃうじゃないですか。玄蕃ってそういうポジション。
なんか他メンバーに対して深く食い込んでくるわけでもなく、メイン回で弱みを見せるわけでもなく、ただただ有能。ただただえっち。
大也の誘いを断ってた理由とか、調達屋の仕事の中身とか、未だになんにもわからない。ただひたすら謎の男で20話まで引っぱってる。
ここまでずっと期待を持って見てきましたがとくに何もなかったので、更なる今後に期待したいと思います。

そういえばオレンジって一般的には「元気いっぱい!ビタミンカラー!」って感じなのに、戦隊はサソリオレンジといいトッキュウ6号といいブンオレンジといい、なんか「悪い意味で個性的」みたいなキャラなのはどうしてでしょうね。
たまには女子で見てみたいオレンジ戦士。

大也は、バクアゲ戦隊のリーダーなのにめちゃくちゃテンション低いな……それこそキラメイジャーくらいまで遡らないと先輩レッドのテンションについていけないんじゃないかな……
演出なのか芝居なのか天然なのか、全ての欲を置いてきた菩薩みたいな佇まいで、センターにいるわけですよ。
でも真っ赤なロックスターに乗ってるし服はエイチナオトだしブラックカードすぐ出すし結婚式場みたいな豪邸に住んでるし、体裁は金持ち。資産家。菩薩なのに。
元ネタはアイアンマンのトニー・スタークだよね、わかるわかる。
地下のガレージに趣味の車をズラッと並べてさ。自分の発明でヒーローになって戦うっていう。外向けには華やかな面を見せてるけど、完全に心を開いてる相手はたぶんいなくて、ロボとだけ話しながら機械いじりに熱中してる時がいちばん楽しいっていう。
トニーのポジティブな遊び人気質が、ニチアサコンプラを通した結果「生きてるだけで褒めてくれる、たまにノリのいい菩薩」みたいな不思議な仕上がりになったんですよね。何もわからないけどわかる。
わかる、純真系も俺様系も熱血系も近年の赤とかぶるから、あえて避けたのはわかる……おかげで赤好きの私でさえ、あんまり食べたことのない味になっています。美味しいけど怖い。

錠はさ、末っ子キャラなのにあんなキリッとした顔でスタイルもいいの、ズルいでしょ。警官の制服似合いすぎてるでしょ。
メイン回が警察として人間としての真摯さを示すシリアス回だったの、末っ子キャラにあるまじき方向性でしょ。キー太郎の話、ほのぼのかと思ったら作中屈指のビターエンド回なんですけど。
私服がオーバーオールなのは、どうやっても何やっても大人組を追い抜く勢いで爆イケになってしまうからだと思います、絶対。大也が負ける。
わんぱくキャラかと思いきや、交番勤務も継続しているので実はいちばんまともに働いてるし、いざというときに警察官目線ですごくフラットな判断をするので、実は常識人枠かもしれないと思っているところ。大也・先斗は論外で、シャーシロ・玄蕃も真顔でボケてくるし、ミラもぶっ飛んではいるからね。
とにかくスタイルがいい。タキシードも良かったのでもっとコスプレしてほしい。

先斗は、悪いお兄さんかと思ったら意外と子供っぽい……っていうか子供?
5人が基本的に意地悪なこと言わないタイプなので、あんまり悪ぶっても好感度あげづらいよな……と思っていたら、「10歳の貧しい孤児」がずっと根底にあるっていう……そんなの好きになるしかないじゃん……
単に「見た目は大人、中身は子供」っていうんじゃなく、始末屋の仲間に育てられて汚れ仕事も場数をこなしてる風なので、地球人としては10歳だけどみんなより大人ではある。子供の時に海外に渡って戻ってきたせいで今の日本の常識には疎い、くらいの感じ。
この追加戦士特有の「見た目と実年齢・精神年齢が一致しない枠」、いつも絶妙な設定で唸ります。まだ引き出しがあるのか。
視聴者からはお子さま扱いされてるようだけど、地球の常識がないだけでおそらく錠やミラよりは世慣れしてると思う。

いや、でも錠は警察官だし、ミラはあらゆる職種経験してるし、大也は悟りを開いてる風だし、玄蕃とシャーシロは裏社会知ってる風だし……全員実年齢よりも人生経験豊富だったりするのか?

調さんは、個人的には正直ピンとこないなあと思いながらここまで来てしまいました。
ルパパトの課長みたいな……とりあえず置いとく的な……
ブンちゃん周りがもうしっかり混み入っててめんどくさい感じなので、メイン回とかはとくにいいです。警察のお仲間でウイカさん出してくれたら嬉しいです(今年すごく忙しい平安貴族!)

ブンちゃんは、松本梨香だしさっぱりした熱血キャラなんだろうなあと勝手に思っていたんですが……えらいネガティブで後ろ暗い過去持ちじゃない……? 梨香声の前向きダッシュで振り向かない!ってイメージの真逆じゃない……? でも梨香はいつもの梨香だから混乱する。
それに対してビュンディーが、ひねくれてたりオラついてたりしてなくて、ブンちゃんも先斗も損得抜きで面倒見て世話してまっすぐ愛してくれるっていう無敵キャラで、えっスパダリ?ってなりました。
ここの二人……キャスト逆じゃなかった? ビュンディーがお兄さんでブンちゃんが血気盛んな若者って雰囲気なんですけど。
あと松本先生のアドリブがうるさすぎて、「若気の至りでやらかした過去を悔やんでいる青年」にはどうしても思えないんだよね。オヤジギャグ大好きな、酸いも甘いも噛み分けたオッサンなのよ。少年担当の女性声優は全員オッサンになるのよ。
戦隊はこの「あのベテラン声優を一年間拘束できました!キャラに合うかはともかくみんな大好きなので!」みたいなパターン多い気がする。玄田ゴリ崎とか。

あ、花江さんの個人的なイメージは、スキップガエル先生です。最近のアニメよく知らないもので……

ハシリヤンはみんな好きでしょ、サンシーターなんか倒せないでしょ。
こういうかわいげのある(ツッコミどころしかない)悪役も久しぶりな気がする。
ヒーロー番組を大人っぽくしようと思ったら、まず悪役を極悪非道にするか善悪の定義を複雑にするのが定番なので。
サンシーター、悪さには欠けるけど絶妙に「価値観が違うので和解することはない」路線を突いてきてておもしろい。あと島本デザインが素直にかわいい。

現状の課題

先述したけど、素材に似合わないアダルト感を求めすぎてる気もする……
結果として「昔の映画とかドラマのこういうシーンかっこよかったよな」的な画や台詞が、深い意味もなく要所要所で挟み込まれていくことに。
いや、好きだけど。大好物だけど。その奥行きのなさが戦隊の醍醐味でもあるけど。ここ3年で深読み先読み考察に毒されきった特撮オタクたちを、片っ端から轢き飛ばしてくれて痛快だけど。

おかげで全体のテンションが複雑なことになっちゃってるのよ。
シャーシロはおもしろいのに重たい男だし、大也はバクアゲといいながら感情の起伏が乏しいし、玄蕃はおもしろいのかえっちなのかまだわかんないし。
元気なんだか湿っぽいんだか、ドライな関係なのかズブズブの絆なのか。
いやまあ、それが戦隊の醍醐味ではある(2回目)

先斗が来て、やっと物語が動きはじめるんだなという手応えがありました。
開示されてない情報が多いから、「その話はもっと後のほうでね!」っていう感じで、ずーっとお預けくらってた感じ。
でもそれって、ここ3年のせいかもなあ……私たちがあの目まぐるしいスピード感に慣れてしまって、正しい週間視聴のペースが戻ってないだけなのかもしれない。
次回、やっと……やーっと、大也のコアに迫る話のようです。レッドパワーアップ回までとくに触れないとは思わなかった。

作劇としては、ミラが便利すぎるみたいなんですよね。女子が1人しかいなくて大人(っぽい)キャラが3人もいるので、なんとなく全員にミラをぶつけて話を回してる感じがある。
それに対して錠の持て余し感。彼だけ「本職」があるためガレージでワイワイする機会も少なめで、絡ませにくそうな印象があります。
あとシャーシロは制作陣に気に入られすぎだろ。すごい贔屓されてる笑
設定的に「お預け」のまま引いた状態にいるのが、大也と玄蕃かな。来週以降、ガンガン開示されていくのかな。

でも昨今の「暗くて激重な話が優勝」「張った伏線は全部回収する法律ができた」みたいな風潮に対するカウンターであってほしい気持ちもちょっとある。

順列組み合わせについて

毎年考えてるメンズ攻めソート。
ブンと先斗は不意にショタみ出してくるので、うちでは対象外になりそう。
攻め


先斗
シャーシロ
大也
ブン
玄蕃
ビュン

受け

繰り返しますが、今20話です。
なのにまだカップリング決まらない……なんてことある?(わりとある)
始まる前は、赤と青・黒とオレンジで固定かな~と安易に考えていたのに。
いや、みんな好き。みんなポテンシャルはある。でも決定打がない。

最初から公式設定に「大也が大好き」と組み込まれているシャーシロが、クールキャラを極めれば極めるほどおもしろになり、もはや大也が好きということ自体がネタになってきているので、一周回って健全キャラでは?ってなりつつある。
あまりにおもしろ担当すぎて、今さら大也とシリアスなことさせても余計におもしろくなっちゃうだけだな?という気分になりはじめています。
平成ラブコメみたいなのだったらいくらでも思いつくけど、私はエロ字書きなんだ……

装備が同じため当初コンビだろうと思われていた錠と玄蕃が、思った以上に絡まないのはびっくりした。不満とかじゃなく、びっくり。好対照として設定したはずの二人を絡ませないんだ??っていう。
20話時点で「まだ玄蕃が錠の名前を呼んでいない」のが界隈で話題になっているわけですが。単に編集でカットされてるだけだろうと思うけど、それくらい絡んでないんだよねあの二人。
ていうか錠がピカピカの健全ノンケキャラすぎてもはやここまで来たら手を出しづらいという気持ちもある。私はエロ字書きなんだ……

大也がまずスタンドアローンなんですよね。
なんかすぐ「惚れた」とか言うし、すごく歓迎してくれるし、誰に対しても思わせぶりだけど、自分からいくわけじゃない。「受け入れてくれる」タイプ。同時に「釣った魚に餌をやらない」タイプっぽくもある。
誰とどうなってもいいけど、じゃあ特定の誰かとどうにかなるのもおかしくないか?って考えると踏み出せない。

強いていうなら大也とブンブンか……
と思ってたら、ブンはビュンに湿っぽいクソ重感情があったようで、そのせいで人生踏み外してたみたいで、いや関係性が無駄に複雑! ミラと錠以外が絡み合いすぎてる!!

とりあえず個人的には、ブンよりもつきあいが長いらしい大也と玄蕃で、ちょっとずつ書き進めているところです。どうなるかねえ。