お試し良モモ

や……みんな食いつきすぎだから!!(笑)
失敗したなー。いきなりこっそり出せばよかった。そのほうがスルーしてもらえたかも。
ヘンに期待を持たせてしまったかもしれませんすみません。
きっとご覧になりたいモノとはかなりかけ離れていると思うので、流してください。
だって私が読みたいのはこんな良モモじゃないもの……!!


なんとなく衝動的に。
良×モモをやろうとしてたんだけど、なんか方向性がずれた……
ていうか18禁サイト的には良太郎(17歳!)の存在自体がアウトなんじゃないのか。
悪いコトしちゃったウラに怒るモモ。キンはまだいません。
別の意味でR指定っぽいです。真墨で美少年に慣れたのかしら(笑)。
「R師弟」って出た。どの師弟だ。あの師弟か。
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良太郎は目を開けた。
なにも見えないのは布団をかぶっているからだと気づいて、やたら軽いその布団を押しのけ起き上がった。妙に身体が重く、あちこちが痛む。しかしそんなことを気にしている状況ではなさそうだ。
「え……ここ……どこ?」
見たこともない部屋の大きなベッドの上で、良太郎は細い身体を震わせた。
「あれ……」
なんだか肌寒いと思ったら、服を着ていない。シャツも、ジーンズも、下着も……
「えええ!?」
「なによ、うるさいわねえ……」
覚えのない声にぎょっとしてふり向くと、これまた見覚えのない女性が、気怠げに頭を上げている。自分と同じく服を着ていない彼女と目が合った瞬間、記憶が断片的にフラッシュバックした。
「ええええ~っ!!」
だん、と長く美しい脚が、テーブルを踏み鳴らす。
目の前の脚をちらりと見て、ウラタロスはふっとため息をついた。
「あんた……自分がなにをしたか、わかってるんでしょうね!?」
デンライナーの食堂車で、ウラタロスを囲んでの事情聴取は、最初からクライマックスのテンションだ。
目つきで相手を攻撃できるものならウラタロスを数回は砂にしているであろうハナと、また眠らされて抜け駆けされたことに腹を立てているモモタロスが、この重大な罪を犯した犯人をどうしてくれようかといきり立っている。当事者の良太郎はなんとなく胸元を押さえながら、居たたまれない気分を抱えて座っていた。
「良太郎はね、まだ純粋無垢な17歳なのよ! その青春を、あんたは自分の欲望のために汚したのよ!?」
その言葉は今回の犯人にもう一度ため息をつかせただけで、実際にダメージを受けたのは被害者のほうだった。良太郎は身をすくめながらハナの剣幕を押さえようとする。
「ハナさん、もういいから……」
「よくない! 良太郎の純潔の問題なのよ!!」
いっそこの場から消えてしまいたい、と良太郎は半泣きで思った。
自分の意志ではないとはいえ、自分の身体が恥ずかしいことをして、しかもそれがこんな美人によって話題にされている。向こうではナオミが好奇心に目を輝かせているし、黙ってオムライスを食べているオーナーにだって、ぜんぶ聞こえているにちがいない。
それでなくても、ウラタロスがこの身体でなにをしたか、いくらか覚えているのだ。思い出すたび恥ずかしさに消えたくなる。故意にそうされたのかはわからないが、ウラタロスと感覚を共有している時間さえあった。色事どころか淡い恋すら無縁の人生を送ってきた少年にとって、それはあまりにも刺激が強すぎて……
「コレ! 見なさいよ!!」
「うわ……っ」
ハナにいきなり襟をつかまれ、良太郎はよろけた。これではまるで、良太郎が怒られているようだ。
全員の目に、細い首筋が晒される。そこには赤く艶めかしい吸い痕が、点々とついていた。
「や、やめてハナさん……」
しかし正義の憤りに燃える彼女に、被害者の小さな声など届かない。良太郎の願いとは裏腹にハナの声はさらに高くなった。
「こんな痕まで残して! どうすんのよ!!」
「は、そんなもの……すぐ消えるんでしょう? ちょっとした記念だと思えばいい」
無責任なウラタロスの言葉に立ち上がったのは、モモタロスだった。
「てめ……」
そのままウラタロスにつかみかかり、二人は正面から睨み合う。
「良太郎の身体をなんだと思ってやがる!」
「なにってそりゃ……」
ウラタロスがまたも挑発的な言葉を吐こうとした瞬間、畳みかけるようにモモタロスが叫んだ。
「なにすりゃあんな傷がつくんだよ!! 相手はどんな凶暴なヤツなんだ!? 良太郎を守れもしねえくせに勝手に身体使ってんじゃねえ!!」
「え……」
客車に一瞬の沈黙が流れた。
「センパイ……知らないの?」
「なにをだ!!」
ナオミも、ハナですら驚いてモモタロスを凝視している。その場の空気に耐えられず、良太郎が二人のあいだに割って入った。
「やめてよ、ぼくだって今朝まで知らなかったんだから!! イマジンのモモタロスが知ってるわけないじゃない!!」
もう縮こまってはいられない。これ以上恥ずかしいことになる前に、自分でなんとか解決しなくては。
「相手の人に迷惑はかけなかったみたいだから、もうこの話は終わりにしよう。ぼくはモモと外に出てくる」
良太郎はモモタロスの腕を抱きかかえて、ウラタロスから引き剥がした。
「でも良太郎……」
ハナとモモタロスが異口同音に言うのを遮って、良太郎はウラタロスに少し厳しい口調で言いわたす。
「ウラ、しばらくきみは呼ばないよ」
「良太郎……っ」
それからモモタロスの手を引き、客車を飛び出した。視界の端で、後を追ってこようとしたウラタロスがハナの華麗なひざ蹴りを腹に食らったような気がしたが、さすがに助けてやる気にはなれなかった。
「なんか、腰が重いな……」
春の日差しが暖かな公園で、良太郎の身体に入ったモモタロスはベンチに座り込んだ。身体を明け渡した良太郎は、意識だけをモモタロスのそばにそっと座らせる。この身体から離れることはできないし、モモタロスが見ているもの、聞いていること以上は知覚できない。自分の身体なのに、勝手に動くのをただ感じているだけ……何度経験しても慣れない感覚だ。
『モモ、だいじょうぶ?』
「あのカメ公……オレの良太郎にひでえことしやがる。なにしたか知らねえけど、痛かっただろ、なあ?」
ほんとうにモモタロスは、ウラタロスのしたことを知らないのだ。良太郎だって昨日の夜まではほとんど同じ知識レベルだったが、さすがにあれだけの実地経験の後では、なにも知らなかったことにはできない。
よみがえる感覚に、気持ちがざわつくのを感じて一人で焦る。
『ううん……痛くはなかったよ。でも、そのマフラーは外さないでね』
「マフラー、ジャマくさくてヤなんだよな……まあ、おまえがそうしろって言うんなら仕方ねえけどよ。こんな怪我、かっこ悪ぃもんな」
久々に表へ出たモモタロスは、身体に残る違和感のせいか、それとも良太郎への気遣いなのか、暴れたいと騒ぐこともせずおとなしくしていた。ただ「ヒマだー」とか「つまんねー」などと愚痴りながら、ベンチの上に寝そべったり雲を数えたりしている。
そんな彼と穏やかな時間を過ごしているうち、良太郎はふと、こみ上げる笑いを抑えきれなくなった。
『なんか……頭冷えてきたかも』
くすくす笑いながらそう言えば、話しかけられるのを待っていたかのようにモモタロスが跳ね起きる。
「ぁん? 熱するヒマもなかったじゃねえか、おめえは」
『うん……これでもけっこう怒ってたんだけどね』
でも、怒りは長くつづかない。相手の女性に土下座して謝り、ハナの暴走を止めようとし、モモタロスをフォローしているうちに、自分の身に起こったことを冷静に受け止められるようになっていた。今は、当の加害者さえ気遣うことができる。
『ウラはさみしかったんだよ。泣くほどさみしかったんだ』
「どうせ嘘泣きだろ?」
『そうかもね。でも……』
相手の女性にすがりついて、ウラタロスがあの最中にずっと言いつづけた言葉……「ずっと一人だった」「いつ消えるかわからない」……それは、女性を「釣る」ための甘い文句にすぎないのかもしれない。それでも、ときどき同調する彼の感覚から、良太郎は絶望にも近い不安を感じ取っていた。言葉では嘘をつけても、感覚までは偽れない。
ウラタロスは、それを良太郎に知られたことを気づいていないだろう。
『だから、もういいんだ』
不本意ながら相手はとても満足してくれたようだし、ポケットにねじ込まれた数枚の万札も置いて帰ってきたし、携帯電話に新しい名前も増えていなかったし、なにも問題はない。と思おう。
「しっかしカメ野郎、あの顔ったらなかったぜ。今度こそ、良太郎はオレのもんだって思い知ったにちがいねえ。がっくりきたままハナクソ女に殴られてるころかもな!」
去り際、モモタロスはしっかりとウラタロスの顔を見ていたらしい。
良太郎の意志でモモタロスを連れ出したことは、結果的にウラタロスへの罰になったようだ。ウラタロスとともに外へ出ることはほとんどないから。
『ちょっと……かわいそうだったかな』
「んなわけあるか、どんだけお人好しだてめえは!! おまえが止めなかったら、オレがあいつをボコボコにしてたっつーの!!」
『はは、やっぱり……』
あの場では、なんとなく二人を引き離さなくては、と思ったのだが、考えてみればウラタロスを連れ出して話をつけてもよかったのだ。
それでも自然にモモタロスを引っぱり出したということは。
『ぼくは……モモと二人きりになりたかっただけだよ』
それを聞くと、さっきまで勝ち誇ったようにはしゃいでいたモモタロスは、なぜか黙りこんで居心地悪そうに座りなおした。
「良太郎……身体、返すか?」
いつになく殊勝なモモタロスに対して、心がふわっとあたたかくなる。
いつもならそのあたたかさに気持ちよく浸っているのだが、今日はどういうわけか勝手がちがった。心に広がったぬくもりは熱に変わり、ふしぎな昂揚を生む。
この感覚は、つい昨日知ったばかりの……
『ううん、ダメだよ』
「ダメぇ?」
『え、いや……しばらく、モモがあずかってて……』
今、こんな気分で生身の肉体にもどったら、身体のほうにどんな変化が起きるかわからない。なにも知らないモモタロスが入っていたほうが安心だ。
『モモは……いい子だよね』
ぽつりと呟いた良太郎に、モモタロスはなんの含みも疑いもなく答える。
「おうよ! あんな不良ガメとはちがうぜ!」
そして、この欲望に弱い不自由な身体を持った人間ともちがう。良太郎はそっとため息をついた。
『ホントにいい子だよ、モモは……』
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良太郎受けを書く気はミジンコの毛先ほどもありませんでした。
こんな「17歳~性の目ざめ~」みたいな話にするつもりは……!!
チーフみたいに「みんな大好き!」な良ちゃんを書くつもりだったのに、なんかウラが当て馬っぽいぞ……? うああああ、精進します!(するな)

特撮

Posted by nickel