リバイス文まとめ。

ジョー次郎。
愛も情もない事後、優次郎の部屋にお泊まりするジョージ。服着てないのでR18です。

 *

洗面台の前に立ち、首筋につけられた紅い痕に触れた。
「くそっ……」
吸われたという認識はあったが、思っていたより上だった。
両腕にぐるりと残る拘束の痕跡は袖でどうにでもなるが、これは襟で隠れるかわからない。
不意に真横のドアが開く。
「おっと失礼」
そう言いながらも覗いた頭は引っ込むこともなく、狭苦しいバスルームに乗り込んでくる。互いに下着しか身につけていなくて、清潔な白を映す鏡は一気に肉色で埋めつくされた。
場を譲って出ていこうとする若林を、狩崎は引き止めるように背後から抱きすくめる。つまり、否が応でも鏡の中の彼と目を合わせるはめになる。
トレードマークのサングラスもヘアピンもないが、外すタイミングを逸したらしいネックレスだけが鎖骨の上に乗っていた。
「ベッドを返す気になったか」
「夜明けのコーヒーを一緒に飲むまでは帰れないよ」
日付は変わってしまったとはいえ、朝までにはまだ時間がある。狩崎が自室に戻れば少しは眠れるという算段だった。しかし彼は服を着る気配すらなく、若林のベッドに転がってゲームをしていた。
今も、後ろから回した腕で若林の体をまさぐっては肩に唇を押し当ててくる。肌に当たる息は最中と変わらず熱っぽい。
「気は済んだと思っていたが?」
「そうだね、なかなかいい仕上がりだとは思うけど」
鏡越しに意地の悪い笑みを浮かべ、彼は硬い胸に食い込ませた指を首元へと移動させた。
若林の肌に残っているのは、首筋の一点ばかりではない。胸から脇腹に至るまで、小さな鬱血が散らばっていた。自分で確かめる気もしないが、腿の内側にもいくつかあるだろう。今夜の狩崎が夢中になった遊びだ。阻止されないように、若林の両腕を縛めてまで。
「気になるのかい、優次郎」
指先で、その点を繋ぐように辿りながら、狩崎は若林の耳を甘く噛んで囁いた。
「それなら成功だ」
鏡の中から見つめてくる視線は決して逸らさずに。
「……っ」
わずかに身をすくめたことを気づかれただろうか。
首元までしっかりと制服で覆い隠しても、その下の肌に情事の痕跡が残っていることを、若林と狩崎だけは知っている。隊員たちの前で訓示を垂れようが檄を飛ばそうが、狩崎は視線だけで若林をこの夜に引き戻すことができる。
対等な取引であるはずの関係はいつも不均衡で、狩崎にだけ有利だ。鏡に映っているのは恋人に抱きしめられている男ではなく、捕食者から逃れられない獲物なのだろう。
キスマークを辿っていた指が、不意打ちのように胸の突起をぐるりと撫でた。
「!」
「ここ……感度が上がってるから、シャツに擦れておかしくならないか心配だよ。毎朝絆創膏を貼ってあげようか」
そこを執拗に舐め上げる舌の感触を思い出し、震えそうになって無遠慮な手を掴む。
「それで、なにをしにきたんだ?」
「……Oops!」
彼はやっと若林を開放し、すぐ横にあるトイレの便座を上げた。

逃げるようにバスルームを出て、そのままベッドに倒れ込む。冷たいシーツを期待していたのに、狩崎の体温が残っていて気持ちが悪い。
さらに居心地が悪いことには、触れられた体が妙に熱を持っている。疲れているのに眠いどころか、目も体も冴えてしまって落ちつかない。あの男がこの部屋から出ていけば、少しは気も休まるだろうか。
用を足して戻ってきた狩崎が、迷わず毛布の下へ潜り込もうとするのを肘で追いやった。
「もう帰れ」
だがそれであきらめる相手ではない。
「さっきのは『前半戦』じゃないか」
肩を引かれたかと思うと、仰向けに押さえつけられていた。若林の動きを封じるように腰の上に跨がった狩崎が、下着越しに尻をすり寄せてくる。今度はポジションを逆転して「後半戦」を始めようという腹らしい。
「優次郎も、欲しいだろう?」
肯定も否定も相手を楽しませるだけだとわかっていたから、ただ深々と息を吐き出すしかなかった。
不均衡で不利な立場は変わらないが、食われっぱなしもおもしろくない。反撃の機会を見送るほど人間ができている自覚もない。
もの欲しそうな腰を掴んで体の位置を入れ替え、男二人には狭いベッドに沈めてやる。
「コーヒーは自分の部屋で飲め。いいな」
「I see」
組み敷かれた狩崎が、うれしそうな舌舐めずりとともに見上げた。

 *

結局二人でコーヒー飲みました。なんなら朝ごはんも食べました。グダグダです。
最中書かないんじゃなくて書けないんですよ…狩崎が要求する高度なプレイが思いつかないので当面ネタ切れです。

余談:
アマゾンズ観ました。優次郎は怖い顔のおじさんなのに、中の人もカタギ感薄いのに、フクさんはなんで儚げ美人なんですか?若さ?