キングオージャー第一章感想

家電量販店の玩具コーナーにオージャカリバーが置いてあって、ちょっと触ったらあの曲が流れはじめて止まらなくなり、パニックになったニッケルです。
5か所操作しないと変身完了しない=サウンドが止まらないなんて聞いてないよ……

以来、たまに脈絡なくあの曲が脳内に再生されます。問題は、だれに変身するか決めていないので終わりがなくずっと回りつづけることです。デーンデデデデーンデーン♪

26話で「第一章」が終わりました。最終回かと思った。
この半年、毎回リピートしちゃうくらいおもしろかった。
気になってる人はこの記事読む前に配信で観たほうがいいです。
デーンデデデデーンデーン♪


6話くらいから感じていたんですが……
キングオージャーって、「スーパー戦隊」じゃないです。

ドンブラザーズ・ゼンカイジャー、ちょっと前だとルパパトとかキュウレンとか、そういう「異色の」「実験的な」戦隊はいくらかありました。これまでの戦隊のお約束を踏襲しつつ、あえて型を破ったりセルフパロディしてみたり。既存イメージを裏切る要素を入れてみたり。
でもキングオージャーは、そういうパターンじゃないんです。
戦隊モノを知らない人が作ってるんじゃないの?というくらいに、何十年も守られてきたフォーマットを無視している。

例えば「キングオージャー」は5人のチーム名じゃない。彼らの力で動かす合体ロボの名前だった。しかも正式に「キングオージャー!」と全員で名乗ったのはまだ2回かな。そんなことある??
さらに、「王様戦隊」にも正式名称の略称であるというエクスキューズがつく。○○戦隊の部分ってほぼメタなんですよ。どこからともなく冠せられる。それを、わざわざ理由づけしてみせたのは、「戦隊って何?」ってフラットに思える人がいないといけない。
私たちは「暴太郎戦隊」でさえ受け入れてしまうほど思考停止してるから……

そして完全な「連続ドラマ」なんですよね。大河ドラマ並みに。
戦隊って、大筋の縦軸はあっても一話完結を基本としているので。その中で敵が出て戦って巨大戦があって、っていうフォーマットがあったわけで。いわゆる水戸黄門的な構成だった。でも今回はせいぜい変身ノルマがあるくらいで、しかも全員ではない。
だってやっと「日常回」めいたものが来たの、20回過ぎてからなんだもの笑

キャラクターもなんか二次元寄りというか、「アニメやゲームが原作の2.5次元ドラマ」っていう雰囲気。周辺キャラの配置も、定型から大きく外れている。
もともとライダーよりはアニメ(2次元)寄りとはいえ、基本的に「実写ドラマ」として作られていた今までの戦隊とは、基本設計が違いすぎて戸惑いまくっています。

しかもそれが全部うまくいっちゃってるの。
私もちゃんと観てるのここ20年くらいだけど、新しいことをやろうとして当たらなかったのを何度も見てるから。
特撮ファンからの期待値を込めた人気もすごくて、ちょっと引くくらい。
そういう奇跡に今立ち会っているんだ……!という感慨を毎週覚えています。スタンスが重すぎる視聴者。


なにもかもが新しいので、働き方改革にも繋がってるんじゃないのかな、どうなのかな……いいかげんちゃんとしてほしいな△には……

まずヤバいのが「アセット」「スクリーン撮影」の取り入れ方。
ここ数年の大河ドラマにも使われてて、わりと違和感なく受け入れてきたんですけど。
NHKよりも大きくて湾曲してるスクリーンだから、スケールが違う。朝に戦隊観て夜に大河観ちゃうと、あっNHK負けてるな、って思うくらいにはすごい。いや、スクリーンに限った話ですけども。

実は巨大ロボ戦にわりと飽きてしまうタイプなんですが、今回はしっかり楽しんでる。
フルCGだと、ちょっともの足りないと思ってしまったりもするんだけど、今回は実写との合わせ技がいい感じで。
リュウソウジャーのときに始まった青空セットが思いっきりいい仕事をしています。
ファンタジーの世界にもなじむ青空セット。

衣装が服飾学校のコンペっていうのもすごい。
選ばれた学生さんの名前は、ちゃんとデザイン担当としてクレジットされてる。
こういう体験って一生モノだと思うんですよね。他の学生さんたちも衣装協力で入ってて、まあ予算的な都合もあるのかもしれないけど、ここから未来の服飾デザイナーが生まれるわけだし。
デビューはキングオージャーの○○の衣装でした、って語るのを後々聞きたいな。


メンバー全員ちゃんと好きなのもうれしい。
様子見~とかじゃなくて。

やっぱり総長がいちばんかっこいいな……
でも住みたいのはイシャバーナ。ヒメノさまの国がいい。
リタさまはあんまり顔が見えないから親しみわきにくいなっていうのと、カグラギ殿は設定がややこしそうでまだちょっと把握しきれてない。

ギラ/シュゴッダム
私の記憶にあるかぎり、一人称「ぼく」のレッドっていなかった気がするんですよ。
断言はできないけど、Gロッソの前のスカイシアターの前の後楽園ゆうえんちのときから、「ボクと握手!」をキャラのまま言える唯一の人物なんじゃないかと。それだけでちょっとした革命です。
芝居の拙さを、「ほんとうにヘタクソな芝居をしている」という設定にしてるの革新的。長ゼリフとかはやっぱりキツそうだけど、そのキツさを「ヘタな芝居」として物語に取り込もうって考えた人すごくない?

でもシュゴッダム、国としてはあんまり住みたくないな……養護園は恵まれてなさそうだし、兵士も強権的だし。なんかやたら声大きい国民いるしさ……

ヤンマ/ンコソパ
あんな見た目で変身前最弱。あんな見た目で叡智担当。
そしてギラ大好き。
ロジカルなのとギラを信じることが矛盾しないの、とてもいいです(力強く)

どう見ても賢く見えないのに、誰よりも論理的に考えて最短で答えに辿りつく。
シュゴッドたちに対する「機械だろ」って割り切った上でポテンシャルを引き出そうとする姿勢が、めちゃくちゃエンジニアだなあと思いました。
ああいうタイプがギラを信じるとしたら、自分の主義や理屈に反して……ってなるのが普通なのに、ヤンマは「ギラはラクレスの敵」「シュゴッドを動かせる」などなどの事実から、味方になることを選んでるんですよね。
そしてあの「仲間になってくれるのか!?」「……ハァ!?」のくだりね。戦隊史上に残る赤青エピソードだったと思うわ。もうアレだけでずっと生きていけるわ。
と思ったら、毎回毎回何かしらギラへの矢印を向けてくれるんですよ。わーありがたい。

そういえば、ああいう「人間と機械の関係」ってもしかしたら、ゼロワンで大森Pがやりたかったけどできなかったことなんだろうかと少し思ってみたり。ゼロワンでモヤモヤしてた部分を見事にヤンマが言語化してくれたことに、軽く感動しました。
そうそう、私もそういう展開が見たかった。単純に人間と機械は共存できるとかではなくて。

ギラがいちばん懐いてるのは総長だし、ジェラミーが一緒に悪戯できるのは総長だし、ヒメノがいちばん通信してるのは総長だし、カグラギと絶妙な信用関係築いてるのも総長だし、映画では揺らぐリタをも引き戻す総長だし、ラクレスが虐げてたのも総長だし、もうヤンマ・ガストがチキューの中心じゃない?
個人的には、大半から雑に扱われてたり敬遠されてるくらいのキャラが好きなんだけど、総長はみんなの総長だから仕方ないよな……
総長大好きです!!

シオカラ、なんかアニメっぽすぎる造形だしウザ絡みしてくるタイプで正直あんまり好きじゃないんですけど、あの絆はズルイ。ヤンマといちばん近いからこその叱咤激励。ヤンマが最も信頼しているというのが各エピソードから伝わってくる。アレはもうしょうがないよね。

ヒメノ/イシャバーナ
ヒメノさまが想像以上に最高すぎた。
いわゆる女の子が憧れるタイプのお姫さまだけど、お医者さまでもあって、戦士でもある。
かわいいし美しいし凛々しくてかっこいいし荒々しい。
いちばん血の気が多いのはギラじゃなくヒメノなんだよね。他人に刃を向けるのにためらいがない。やたら敵将の首を欲しがるのはもちろん脅しなんだけど、事と次第によっちゃ本気だから。しかも自分の手で切り落としたいタイプだから。

イシャバーナ、ヒメノさまのお気に入りになりたいです。
医療技術と芸術の恩恵を受けたいです。

カグラギ/トウフ
動いてるとこ初見では、和じゃなくて中華だなって。
とにかくでかい、迫力がある。あと色数が多いから存在感がすごい。あの体躯で全ての情報量を支えてるんだなとしみじみしてしまいますよ。
嘘つきのレベルがどのへんまでか底知れないけど、表情だけで「この怒りは本心」ってわかるのが演技の力だなと。もう今後も必ず三十路枠入れてほしいわ。安定感がハンパないわ。
ラクレスのことが好きじゃないんだろうな……ギラのことはそこそこ気に入ってるんだろうな……でもまだよくわかんないな……
と未だに気持ちの寄せ方がわからない人です。このまま一年終わるって可能性もある?

こっから、中身のない△会議妄想ね。
「殿」って、領主とかせいぜい将軍レベルで、王じゃないので変だなと思ったんですが。でも将軍の上って帝なのよね。国の大きさからしても皇帝(エンペラー)。でも実際「ミカド」は使えないじゃん。日本で穏便に「王様」を表現するの難しいから、「王殿」っていう造語になったんだろうなって。
ここまで。

つい叫んでしまったのが、スズメ姫。
妹がいるなんてニチアサ的にはありがちすぎる設定でちょっと引いたし、それならもうトウフいらないわ……くらいにはなりかけていたんですが。
あれ、この子どこかで見たことある? OPでキャスト名確認してみよ……姫神結!! 鉄神ガンライザーの姫ではないですか!!
それはもう応援せざるをえないよね。受け止めるわ。と思って見たら、ラクレスを圧倒するパワフル姫だったのでおなかいっぱいです。
トウフ、国ごと推していきます。

リタ/ゴッカン
リタは、もしかしたら今の子のほうが感情を読み取れるのかもしれない。顔がほとんど見えないキャラというのにしばらく戸惑いっぱなしでした。
でも片目しか見えず感情も抑えたキャラをちゃんと成立させてる役者さん、実はいちばんすごいことしてるのかもしれない。クールキャラはただでさえ棒読みになりがちなのに、私たちはリタをリタとして受け入れてるもの。実はよく練られたキャラなのかも。

もっふんマニアな設定、もっふん一筋だし「かわい~!」って乙女反応するんじゃなく、テンションは変わらないとこがまあギリいけるな、と思ってたんですが。
リタが5歳で王になったこと、もっふんが幼いヒメノのために作られたキャラというのが明らかになって、やっと飲み込めた感じです。

モルフォーニャ、なんかアニメっぽすぎる造形だしメガネの陰険キャラって正直あんまり好きじゃないんですけど、あの絆はズルイ。もっふん越しにリタと本音をぶつけ合う、あんな不器用な関係応援せざるをえない。

ジェラミー
なんだこいつ……って思ったけど、すぐ好きになってましたよね。
だってまず見た目が最高じゃん……顔もいいしスタイルもいい……
あのビジュアルで「おまえさん」「おふくろ」って口調のギャップも、脳を揺らしてきますね。「するってぇとなにかい?」とか言いそう。長屋の住人か。
個人的には、それぞれの個性がある五王国、にも入れない「狭間」の存在を示して、それをならず者ではなくそのまま受け入れようとする世界観がすごくいいなと思いました。完全理想主義でもない、でも絶望するにはまだ早すぎる、絶妙なリアルさ。

最終回(便宜上)なんてもう彼が主役だった。バグナラクと人間のあいだを取り持とうとして、ついにバグナラクの王からその座を譲られる。あの流れは完璧でしたよ。
でも今までの差別や偏見はすぐになくなるわけじゃない。ギラとジェラミーの国づくりはそれぞれここからなんだ、という終わり方がステキ。
ジェラミーの戦いはこれからなんだよね。


でも現時点で、ちょっと戸惑ってる部分もけっこうあるんですよ。

話……難しくない?

前述のとおり完全連ドラスタイルで、人間関係や展開がけっこう複雑。
五王国それぞれが別陣営で、ラクレスとバグナラクがいて、和平交渉や水面下での共謀や各人の秘密があって……
ちょっと流し見してたらすぐ置いていかれそう。
というか、よい子のみんなは大丈夫? 「かっこいい!」「かわいい!」「すごい!」ってテンションだけでなんとかなってる?
いつもの戦隊枠として眺めてたらすぐ脱落しそうな気がする。
カグラギが怖がられてないかも心配。

ラクレスって何?

実は「いつもの戦隊じゃない」って思ったのはこの人の存在からなんだよね。
どうしても登場人物の立ち位置を既存のテンプレに当てはめてしまうのが、オタクの悪い癖なんですが。
スーパー戦隊の通年レギュラーにこういうポジションの人、いないじゃない?
改心してどうこうっていうには、序盤かなり悪い感じに描かれてたし。ネタキャラ枠っぽくあるけど、いやいい人なんだろうなーって場面もあるし。
さらに変身できるしシュゴッド(?)も動かせるし、追加戦士並みの扱いでグッズも出てる。メイン以外のグッズなんかファイナルライブでやっと追加される程度じゃないですか。

いろいろ伏線を張ってはいるけど、回によって扱いが違うから未だに掴めない。
どうも、「若者たちに嫌われているウザいおじさん(イジっていい)」「信念のために本当の意味で邪悪の王を演じる人格者(イジっちゃダメ)」「ンコソパのクソクライアント(イジっていい)」「ギラの優しいお兄さん(イジっちゃダメ)」っていうキャラが、制作内でも錯綜してる感じするのよね。
たぶん演者の方が「ウザいおじさん」としてはチャーミングすぎて、話を進める前に人気が出てしまったから、あちこちで齟齬が出てるんじゃないかなあ。
一回退場させてちょっと置いておくのか、すぐに戻すのか。なんにも読めなくてハラハラしています。第二章でどう出てくるのか。


蛇足ながら、カップリング話など。

基本的に主従は大好物なんですけど、今回はあんまり引っかからない……No.2に好みのタイプがいなかったなー残念。

まずギラとヤンマね。
上でもけっこう語ったけど、もうセット売りだよね。
こんなの戦隊じゃないって言いながら、今まで見てきたどの戦隊よりも「赤青」でびっくりしています。いや、全話赤青じゃん。一話から徹底的に赤と青のエピソード入れてくるじゃん。ノルマなの? メンバー全員フラットに仲良くという先入観がないからこそ、ここまで赤と青で仕上げてくるの?と逆にビビりまくっています。

ンコソパ、2000年前も英雄5人だし、国として紋章はあるから、最初は対等な五王国だったけど途中でシュゴッダムに侵略されたかなんかで王がいなくなったのかな。長いこと植民地化されてたのをラクレスから取り返したのがヤンマで、五王国同盟の関係性まで持ってったのかな。
ヤンマの世代にはンコソパは元々シュゴッダムの一部として機能してたから、ヤンマがギラを王として導き、サポートするのは国同士の関係としても理にかなってる。
つまり二人がつきあっても外交問題にならない……おお……約束された赤青……(うるさい)

あとヒメノとリタ。
こちらもたぶんセット。
リタとモルフォーニャの関係性は強固だと認識した上で、好みの問題でヒメリタ……
ヒメノさまがぐいぐい詰めていくのかと思ったら、わりと引き際をわかっていてお互いにそれなりの距離を保っているのが、意外ながらもよいです。
リタは性別不詳ということで、生々しい肉体関係は想像しづらいんだけども、気持ちは近づいてほしい。

あと、カグラギ殿には豊穣の擬人化みたいな裸体を晒してほしいと念を送ってはいます。
それとは別に、ジェラミーの顔とスタイルがよすぎて気が散っています。
つまりヤンジェラのラフな感じも、ヤンカグの妙な信頼関係も捨てがたい……困った……一番困っているのは、ヤンマがあきらかに童貞なことですね(決めつけ)

それ以前に王様たちも展開も忙しいから、どこにもエロいことする隙間がなくて手詰まりなんですけど……困った……