翔んで埼玉を所沢で観た話。

こんにちは、テレビ神奈川は入らないけどテレビ埼玉と千葉テレビは観られるエリアの住民、ニッケルです。
最初に映画の予告を見かけたのはもちろんテレ玉でした。千葉テレビではどうだったのかなあ。千葉も準主役だったけど。

地上波ノーカット放映ということで、当時出しそこねた感想をどさくさにまぎれて出しておきます。ちょうど一年前ですね。

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ネタ的に埼玉の友人といっしょに観たほうが楽しそう、と軽い気持ちで誘ったら、めちゃくちゃノってくれたのはうれしいんだけどなぜか当然のように(彼女の出身地の)所沢で観ることになっていて、いや池袋あたりでいいんじゃないかな……ってみんなが思いながら、「新所沢レッツシネパーク」まで観にいってきました。
5人で行ったけど埼玉出身者含め全員都内在住だからね。全員所沢遠いからね。調布からはるばる来たメンバーにはホント申し訳ない。「駅出たらすぐ高い建物あると思ったのになんもなくて思わず調べちゃったよ!」「パルコが4階建てとか思わないじゃん!」と叫んでて、やっぱり東京と埼玉のあいだには深い格差があるんだなと思いました。

たださすが映画の舞台というか、舞台挨拶時のサインや舞台衣装が展示してあるし、なんか愉快な写真撮影コーナーまであるし、公開後3週目の週末とは思えないテンションでした。所沢市民全員観なきゃいけない義務があるんじゃないんだろうか。

BOX席っての取ったんですけど、スクリーンの真ん前で靴脱いでクッションにもたれてゴロゴロしながら観られるっていう席で、5人だと一人1600円なんでむしろ割安で最高!!って全員絶賛でした。いいな、所沢……

千葉で観たらまた反応ちがうらしいよと聞いて興味がわいたんですが、千葉の友人を誘うと……船橋とかかな……映画観るより交通費のほうが高いな……

ちなみに、原作は未読(概要はあとから友人たちに教えてもらった)。ほぼオリジナルストーリーってことだしいいかなって。
自分が上京するまで神奈川千葉埼玉の違いもわかんなかったし、埼玉と千葉の微妙な対立関係も今ひとつ理解できてないし、この監督も自分的に当たり外れがあるので、どこまで楽しめるか多少不安ではあったんですが、まあそんなこと関係なくおもしろかったよとっても!!
実写なのに不意打ちで魔夜峰央要素がぶっ込まれてくるのもよかった。パタリロの舞台版観れてないんですけど、映画は絶対観たいです。

以下、ネタバレというほどでもないけど、観てない人はまっさらな気持ちで観ていただきたい。

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まずいきなり捕まってる埼玉出身の青年!
間宮は都会出身のはずなのに、群馬とか埼玉とかどうして田舎者っぽくなるんだろう……

百美さまが完璧に魔夜ワールドの美少年!
あの世界の美少年って、限りなく美少女なんですよね。あと快楽に弱い(笑)。のでなにかとキスをねだる。
麗にオチた直後の「セーターを編んであげる」っていうセリフとか言い方が最高に「そう、これ……!」ってなってました。

それより完璧なのが麗!
リアルバンコラン!!
どう見てもGACKTなのに魔夜ワールド! って思ったけどマリスミゼルって限りなくそっち側だよねって気づいて納得しました。我に返っちゃいけないからね、最初から最後まで真顔でヘンな格好してヘンなキャラを貫く仕事だからね。

登場時から心に(銛で)爪痕を残したのは、亜久津。
彼がスクリーンに映るたびにずっと笑ってたよあんたって隣の友人が後で教えてくれました。
だっておかしいもの!!
一分の隙もない「都会的な」執事姿からの、大漁旗まとって「ようこそおもしろ半島ちばへ!!」ってなる落差が最高に最高でした。
わたしわりと伊勢谷好きなんですけど、ただひたすらクールにストイックでシリアスな役だとなんかあと一歩……って思ってて、足りなかったのはこのアッパーなヘンタイ性だったんだ!と今回気づきました。私の中では亜久津が伊勢谷の完全体。
ムダなお色気海女コンビと三人でいると、ああもうダメだわ千葉つよいわ……ってなります。ターレーかっこいい。

お色気海女の若いほうが、亜久津並みに鼻高くてやっぱり出るたび笑ってた。
昼ドラで鍛えた真珠のくどい芝居は、二時間サスペンスでさえ濃すぎると思っていたのですがここだったんですね!! もう遺憾なく真珠!って感じで。ということは隣のお姉さんもご同類ということですね!!

あと、原作に出てないはずなのに魔夜絵のキャラが思い浮かんでしまったのが埼玉デューク……
いやいるだろ、絶対アレは魔夜キャラだろ。髪型も服装も目バリもなにもかもだろ。シルエットだけでパタリロと会話してるの想像できるもん。京本政樹の絵柄が魔夜峰央なんだとこの歳になって知りましたよね。

デュークのお付きの青年二名は、タマネギ的ポジションってことでいいですか。
最終決戦直前の唐突なキスが、ここまでで完全に魔夜ワールドに馴らされてるからものすごく自然に「ああそうなのね」って受け入れられました。
パンフ見て初めて気づいたけど、わたしこの二人どっちも知ってるわ。一人はレッドバスター(仮面ライダークイズ)で、も一人は舞台版キルヒアイスだわ。でもあのメイクだと誰だかわかんなくなるのがまさにタマネギ……

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そういえば、BLのこと。
百美を女の子設定にしなかったあたりで、これはと思ったんだけど。

あたりまえに麗が百美にキスをして、ごく自然に百美が麗に恋をする。
麗を拷問(?)する亜久津が、そのまま濃厚なキスシーンになだれ込む。しかも不必要にエロい。
埼玉解放戦線の最前列で、青年二人が(おそらく死地へ向かう覚悟の)キスをする。話にはなんの関係もない。
全部べつにいらないっちゃいらないですよね。つーか百美以外は完全に悪ノリですよね。

悪ノリはともかく、百美と麗に対して埼玉娘が「ボーイズラブじゃん」って突っ込むシーンで、ああもうそれでいいんだ、と思いました。
なんの説明もなしに「ボーイズラブ」って単語が出てきて、映画観てる人全員がわかる時代なんですよね今さらだけど。

実際には、アレはBLと呼べるものではない。やおいでもなければJUNEですらない。美少年だけど「少年愛」でもない。
もっと不穏で過激なジャンルなんですよ。
でも「ボーイズラブ」っていうわかりやすい概念が定着したおかげで、そのへんを隠すこともごまかすこともなく、善良な一般市民も「ああそうかこれがボーイズラブなのね」って安心させられるから、こういう映画が作れたんでしょうね。もう10年前だったら絶対ムリだった。
ちょっと絵面がエグい亜久津と麗の絡みが夢オチっていうのも、ギャグとして成立させるギリギリの手だったのかもしれない。

男同士をネタにするのでもバカにするのでもなく、こういう世界だからっていう前提で見せてくるのがうまいなって思ったんだけど、それって魔夜峰央のマンガだよね。
ベースに耽美と背徳と猟奇があって、その上にきわどいギャグが乗っかってるのが魔夜峰央だと思うんですよ。パタリロとラシャーヌくらいしか読んだことないけど。

個人的には、美しいけどしっかり四十路の男二人が、漁師小屋で鼻にピーナッツを詰めるのなんのというやりとりから、脈絡なく濃厚チッスにぶっ込むくだり、いいもん見たな!と清々しい気持ちにすらなりました。どっちかが若くても弱くても小さくてもダメなんだよ、あれだけ強そうな男がガチで絡んでるのがいいのよ、よくわかってる!
伊勢谷もGACKTも攻めすぎて選べないからリバでいい。今度は埼玉で深谷ネギを穴という穴に突っ込むとかなんとかいうプレイをしてほしいと思います。
ていうか、麗と亜久津の関係ってかなりアレだったよね、ボーイズラブくらいわかりやすく言うとブロマンスかしら。百美を女優にしたぶん、男同士のエロスもちゃんと狙ってやってると思う。

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あ、耽美じゃなく埼玉ディスの映画だった。

所沢で観たので、やっぱり所沢が舞台のあたりは盛り上がってましたね。
学園のE組は「田無、八王子」のあたりもウケがよかった。埼玉県内の微妙な力関係もあるあるだったんでしょうね。

最後、浦和出身の婚約者がレッズのタオル握りしめてたのが地味にウケた。
以前は埼京線ユーザーだったので、埼玉といえばレッズでありこばとんなのですが、こばとんは大宮には来てくれないとアルディージャファンが言ってたので、そりゃあ浦和と大宮は仲悪いよなと。

ターミナル駅の中ではいちばん池袋が身近なので、池袋の描写がものすごくツボりました。あの微妙にダサいネオトーキョー感に、「SEIBU」「TOBU」「PARCO」「ビックカメラ」っていう看板が入ってくるのズルイ……
あと西葛西は私も千葉だと思っていた。

「おもしろ半島ちば」は本当におもしろかった……
自分が埼玉寄りに住んでるせいか千葉のことあんまり知らないんだけど、むしろ埼玉よりも興味わいたぞ。なんでそんなに海を強調してくるんだ……あと名前に東京入れてくるの自分で言った……
東京ドイツ村は「千葉なのにwww東京とドイツwww」ってずっと思ってたから今回改めて本気で行ってみたくなりましたよね(笑)。
亜久津のインパクトもあるんだけど、熊谷のお父さんにいきなりキレる千葉のお母さんwww やっぱヤンキーなんじゃんよ千葉www
デコトラとデコバイク並べて最前列にターレー(そして亜久津と海女コンビ)……よくそんなバカみたいな画思いつくね!?と本気で感心しつつ。
クライマックス、流山橋から亀有を突破して都庁まで……走ってきたの!?さすが埼玉&千葉だね!?と妙に納得しながら驚いてました。

神奈川は、神奈川県知事っていうか横浜市長だった? でも神奈川県より横浜市のほうが権力持っててもおかしくないと思わされる部分もある。
ひょうちゃんよく貸し出したな……崎陽軒が神奈川ディスに全面的に使われてたけど。
茨城は納豆ディスられてましたけど、栃木がほぼノータッチだったのはかわいそうでしたね。ここまできたら一都六県全部ディスってほしかったですね。
群馬でプテラノドンが飛んでるとこなんか、マンガのコマが思い浮かんだもの。「群馬県――」って書いてあるコマに、立入禁止の看板と断崖絶壁とプテラノドン。原作にないらしいけど(笑)。

見終わって、埼玉ポーズは実在すると思っていたメンバーに所沢出身者が「いやねーから!」と必死に否定するなどという一コマもございましたが、とにかく埼玉を全身で浴びた一日でございました。埼玉のキャンパス通ってたときもここまで埼玉に浸ったことなかった。
トータル、いい時代になったなあ。