麒麟がくる年間感想

こんにちは、自称長谷川博己ファンのニッケルです。
大河主役と聞いて「一年つき合うのめんどくさいなあ……」と思ってしまうタイプのファンです。それはファンじゃない。推しというほど積極的にアピールしてないしな。

なんだかんだと一年観ました。途中飛び飛びになったとこもあるけど。
最終的な印象としては、「客観的におもしろかったのでたぶん良作」だったと思います。個人的に乗り切れなかった部分はあるけど、それは私のせいであってドラマのせいではない。

ていう総括感想。一年分だからそれなりの長さです。
長すぎてページ分けちゃったよ……
前半が「観ててよかった、おもしろかった」部分の感想、後半が「正直観なきゃよかったかも」という感想です。
情緒がジェットコースターなので、不安定な人は巻き込まれないよう気をつけてね☆


最終回、よかったです。
私のTLではネガティブな意見のほうが多かったけど、みんなそれぞれ期待があったから不満も出るのだと思います。
私は円満に完結してほしいとしか思ってなかったから、希望あふれるよきラストだと思いました。
本人が出てこなくて会話の中だけで存在が語られる、っていう構図が好きなのもある。

あと明智光秀物語における本能寺って、三国志でいう赤壁の戦いみたいなもんでさ、元からそこがクライマックスでいいんじゃない?って思ってたので、個人的にはそんなに裏切られてないんですよ。
いっそ「敵は本能寺にありー!」「おー!!」完!!→麒麟紀行でもぜんぜんOKでした。本能寺に至るまでのルートを描く物語なのだなと思ったから、本能寺までは求めてなかった。人の死に方にさほど興味がないのかも。

いや、実際あの静かな本能寺の余韻のあと、無慈悲な秀吉に数秒のダイジェストで無惨に散らされる明智軍見たい? 藤孝殿にも順慶殿にもシカトされてさ、帝や将軍はなにもしてくれないのわかってんじゃん。後味考えたらアレでいいよ。
ただ天海ルートではないと思ってる。あの時点で家康のとこにいないってことはさ。ていうか曲がりなりにも大河ドラマでさすがに天海はないだろwwwって思うし。言うのはタダだけどさすがに大河ドラマの品性は残しといたほうがいいとは思う。天海は「おもしろネタ」ではあっても考証重ねた大河でやることではないよね。

まずセリフじゃなくナレで「天下とった」って言われてる時点で、十兵衛自身の意志が重要じゃなくなってるんですよね。麒麟呼ぶ宣言も、駒ちゃん本人じゃなく太夫へ伝言の形にしたのも、それが本心かどうか曖昧にするためだと思うし。

そんなんだからさ、みんなで落ち延びて山奥で新しい「明智荘」作って幸せに暮らしましたとさ、って一話に戻る感じでもいいじゃない。家臣団を3人に絞ったってことは、全員生き残ってるよ。楽しく隠れ里農村ライフしてるよ。
生死不明は「麒麟にの・る」のラストにも通じて好きです。「光秀の麒麟」は一回死んで、彼の遺志を継ぐ者が天下泰平をもたらすんだよ。

ていうか50話を44話に削られた時点で、心のハードル下げとこうって気になるじゃん……
エリカやコロナで災難つづきだったけどお疲れさまでした。長谷川さんちょっと休ませてあげて。


せっかくなので、麒麟おもしろかったよね~っていう感想から。

まずいちばんおもしろかったのは、アルカリがいきなり見ず知らずの武将/俳優に転がり落ちたことでしょうか……

横で見ててすげえおもしろかった。いや、横見るともういないの。知らないうちに足踏み外して谷底に落ちてんの。しかもまだ放映始まってない時点で。びっくりしたわ。
ワンシーンでも出番があるだけで行間読みまくって騒がしいし、イラストやマンガがどんどん増えていくし、人が正気を失っていくさまをただただ眺める一年間でした。
普段ならこちらから拝み倒しても絶対にめんどくさがって描かない鎧とか武器とか、自主的に描きまくってたので本気だなと。

まあ、アールワークス的にはダイレクトに支障が出るんですけども……なによりも伝吾関係を優先させるので、作業に響くんですよね。いつものことながら。
あと、あの人なにかに没頭すると日常生活とかも全部どうでもよくなるタイプなので、マンガ描きはじめるたびにイロイロ心配してました笑
今は最終回後の総決算中らしいです。アールワークスの作業に影響が出ています。テキレボの宣伝画像を作ってもらわないといけないのに……(自己都合)


てことでまあ「長谷川光秀目当て半分」「藤田伝吾って誰だよ半分」で見はじめたニッケルですが。

最初に目を引いたのは画面の鮮やかさですね。
みんな覚えてる? 目に痛いとかすごい騒がれてて、私は純粋に映像が鮮やかでキレイ!って思ったので、見えてるものが違うのかしら……皮肉交じりに思ったんですけど。
後日そのへんに詳しい友人から聞いたところ、テレビのメーカーによって4K→ハイビジョンの変換方法が違うとかで。詳しいことは全く理解できてませんが笑、うちのSONYは発光を抑える方向の変換をしてたタイプということで、逆に発光が強調されるタイプのメーカーはホントに眩しかったようです。
リアルに「見えてるものが違う(=視聴環境が各ご家庭によって異なる)」のだと思い知りました。4K8K時代の過渡期を感じますね。
視聴者が慣れたのか制作側で調整したのか、すぐに誰も言わなくなりましたけど。

個人的には、石田三成アカウントが4Kで観てるらしいというのが地味にツボでした。さすが治部殿……戦国ドラマに賭ける意気込みが違う……

OPのいきなり本能寺風なカットもよかったんですが、暗がりでなにかを訴えるようにじっとこちらを見つめる農民の皆さん、というショットが妙に好きで。アレ、演劇っぽくて盛り上がりますよね。あえてのカメラ目線。曲と相まってめちゃくちゃかっこいい。

そんでアクションのかっこよさ!
最初から全力で走りまわる明智十兵衛光秀に、返り血浴びてる明智十兵衛光秀、借金返済のために妖怪くびおいてけになってしかもちゃんと腰から大将首提げてる明智十兵衛光秀、走るし跳ぶし斬りかかるし銃も撃つし、ぜんぜん飽きない!
あとたまにマンガみたいなアクションがあって最高でした。三好さま救出劇とか、今川さま戦死とか、義輝さま暗殺とか、すっごい盛り上がった。
合戦シーンがどうしてもカット対象になってしまっていたようなんですが、私個人としては個々にフォーカスされるほうが盛り上がるので、とくに問題なかったです。合戦クラスタには申し訳ないけども、むしろ帰蝶プロデュースの信長行列とか、絶対強い今川勢とか、本能寺に向かう明智軍とかの「行軍」が迫力あってよかった。

4Kというのを差し引いても(うちは普通のハイビジョンだし)、映像というか画面の美しさが印象深いです。
色遣いと構図が絵みたいに決まってて、どこ切り取っても美しい。家や人物ごとにカラーが決まってて、今はなんの場面だなってわかりやすいのに、ぜんぜんわざとらしくない。
私は色についてあんまり難しいことはわからないので、どこまでも印象なんですけど、場面を思い出そうとするとまずそのシーンの色がばーんと蘇るんですよね。構図も、あんまりかっこよすぎて話やセリフが思い出せないくらい笑
若い監督さんたちが、NHKの技術と伝統に支えられてどんどん新しい表現をしていくんだなあ……と思ったらグッときた。

あ、前に人から聞いた知識を再掲しておきますね。
映画会社で撮ってる人は「監督」、テレビ局で撮ってる人は「演出」と表記される。やってることは同じ。
だからNHK大河ドラマのクレジットは「演出」、東映印の仮面ライダーでは「監督」。
龍馬伝の大友啓史は「演出」、るろ剣の大友啓史は「監督」。
「へえ~!」って思ったから何度でもシェアする……


長谷川さんはもう遠慮なく余すところなく360度男前でした。
あの乾いた声と立て板に水!みたいなハキハキとした口調が大好きなので、シン・ゴジラはご褒美だったんですけども、十兵衛も毎回聞いてて気持ちよかった。とにかく歯切れがいい! それだけでだいたい許せる!

青年期の、すぐキレる十兵衛がなんか地味にツボで笑
あのさ、舞台演劇ならまだしも、解像度を4K8Kにグレードアップしといて、40過ぎのおっさんを「今ハイティーンですから!」って主張するのムリだから。そこはぜんっぜん変換できない非協力的な視聴者だから。
というのは仕方ないとして「いい歳なのに」道三のムチャ振りとかにキレてる十兵衛がおもしろかった。

それから、主人公なだけあって一瞬たりとも立ち止まらない。越前編までノンストップだったんじゃないかな。というかこれだけ光秀目線に終始しといて、ちゃんと室町末期の時代背景その他を描いてるのはすごいですね。

あっこれ見たことある、って連想したのは、タンタンでした。ベルギーの。
タンタンってずっと動いてる。教養があって機転もきくし礼儀正しいけど、言うことは言うし、頼まれれば引き受けるし、わりにけっこう短気なとこもあるし、アクションはお手の物だし。
脳みそフル回転でためらわず走りつづける姿が、十兵衛と重なったのでそういう絵も描きました。でも伝わったかな~タンタンの知名度もよくわかんないしな~。

https://twitter.com/shiro_rwks/status/1247808787810906114?s=20

長谷川さんは一回薄汚れさせる決まりが出演契約に入っているのだと思いますが、越前でのくたびれた感じも大変によろしかった。ごちそうさまでした。
こちらの非協力的態度により、おっさんにしか見えなかったことはさておき、それでも毎回見惚れておりました。
顔がというより表情が、所作が、佇まいが美しい。
ファンだからここは譲りませんよ。美しい。
「騎乗姿が美しい大河主役ランキング」があったら第一位はやっぱり堺雅人の真田信繫かなと思ってるんですが、長谷川光秀も三位内には入れるんじゃないかと思ってます(雑な主観です)

何を着ててもシュッとした感じになるのさすが。不必要にコスプレ三昧だったのは、素材を活かしていこう!っていう感じだったのかな。庶民から公家付までいろんなところに潜入する、っていう設定がよかったですね!
衣装も色味がキレイで、ありがたいかぎりでした。NHKの圧倒的有利な点として、コントレベルでも大河クラスでも衣装がちゃんとしてる!ってのがあります。ただただ眼福。

あとまあdocomoがやたらキリン推しなのがよかったですね。いっしょに楽しんでる感がよかった。

https://twitter.com/c_cosmof/status/1358385020369592322?s=20

ラスト、長谷川さん的には十兵衛は生きてると思いたいとか続編希望とか言ってて、まあ座長としてのリップサービスだとは思うんだけども、心のどこかでそういう気持ちもあるんだとしたら、やっぱり「中の人」から見ても大幅に「削られて」「抜かれて」たんだなと。
あと、本人的には明るくさわやかに走り去っていくよりはボロボロになって追いつめられてみじめに死ぬことを望んでいたのかなとも勝手に感じました。

ま、続編とか番外編とか希望していいのは中の人だけですからね。
視聴者がぐだぐだ言ってんじゃねえぞってこと。
池端先生が描き切ったとおっしゃるならそれが正しいのだと思いますよ。


池端先生は……昔からわりと嫌いじゃないんで……笑

いい意味で妄想たくましいというか、史実とか細けえことよりこいつとこいつの関係を掘り下げるんじゃあ!っていう割り切りが好き。
あと今回、都度都度いろんなことを切り捨てなきゃいけなかった状況ではものすごく適任だった。ライダー毎年観てて思うけど、だれにでもできることじゃないんですよね。朝ドラなんかでも散らかっちゃう人はいるし。キャリアもあるけどそもそもの向き不向きが大きい。
もちろん数々の考証が入ってるし一人で書いてるわけじゃないけど、最終的に「光秀と信長の関係」に絞り込んだのはさすがの手腕ですよ。あれだけ大量の魅力的な人間が登場する物語を、たった二人に帰結させるってやってのけただけでもすごいんだよ。

ちなみに私は、NHK古代史三部作が好きです。徹底的に萌えしか感じられなくて最高。
若いモッくんガチ耽美だからみんなNHKオンデマで観て。


キャストの皆さまも魅力的で。
新しいキャストが発表されるたびにわくわくしてましたね。この人がこの役を?っていう意外性なんかも含めて。

駒ちゃん、けっこうおもしろい立ち位置でわりと初期から楽しんでました。
彼女が「麒麟」なのかと思っていたけど、なんやかやあって「最後の将軍」とくっつくという衝撃展開。そのときは秀吉・家康と渡り歩いていくのかなって思ってたけど、そこまでナンパじゃなかったよ駒ちゃん。
ただの小娘だった彼女が、十兵衛・いろは太夫・東庵先生との私的なつながりから、戦国時代のメインストリームに食い込んでいくという痛快さ。男じゃダメだったんでしょうね。女の身だからこそ階級の狭間に入り込めた。
十兵衛が決して成しえることのない真の下剋上を遂げたのは駒だったんじゃないかしら。初回からの引きで、彼女目線で終わったのもまとまりがよかった。とにかく伏線としての役割がよかったです。

熙子は、個人的にはちょっとおもしろみに欠けたかなあ……
友達いなさそうな計算高い女だなって思ってました。真田丸の梅ちゃんタイプ。
後半どっかで「実は結婚の約束などしていなかったのです」「十兵衛さまはわたくしの策略にかかったのでございますよ」ってあのきれいな顔でおかしそうに言ってくれたら惚れたのに。そこで「本当は怖くてたまらなかった」ってあのセリフに続いたら百万点。
って表アカでぽろっと言ったら「わかります、煕子じゃないですよね私も駒ちゃん派です!」ってリプがついたんだけどそゆことじゃねんだわ。十兵衛がたった一人愛した女としてそれくらいのキャラづけがほしかったってだけなんだわ。
結局最後まで「理想の奥方さま」だったので、そのブレなさはいっそすがすがしかったです。

帰蝶さまは代役とは思えぬ貫禄でしたなあ。
信長をがんがんプロデュースしていくのかっこよかった。こっちも昔は父親に振り回されるだけの小娘だったのになあって思うと、下剋上女子かっこいいなあって……ホントはもっときつめの、信長を裏で操る悪女っぽいキャラだったのかもしれない。でも役者さんのおかげでかわいいのにしたたか、したたかだけどホントはさびしい女の子、という複層的なキャラになってて結果大成功でしたね。

ただ大河ドラマって、女性はあんまり老けメイクしないじゃないですか。十兵衛だけが年を重ねていくのに女性陣が若々しい顔立ちのままで、お約束とはいえなんか違和感~とは思ってました。
太夫はね……いいの、芸能関係者は年齢不詳という大河ルールがあるから。これは絶対だから。サキさまとの関係が予想外でよかった。サキさまが公家とは思えない身軽さであちこちに出没するのも楽しかった。最後なんてめちゃくちゃ働いてるじゃんね。あんな働きたくなさそうな人なのにね。近衛前久って名前すら聞いたことなかったけど、あんなどストライクな本郷奏多の使い方あるんだなって。

全体的に、ハブとなる人物の配置が上手いなと思ってました。駒ちゃん、いろは太夫、東庵先生、菊丸。思わぬところに思わぬ人が現れるたびに、十兵衛くらい素直に驚いてた。
いちおう実在の人物の名前を使ってるドラマに、架空の人物を出すからには、それ相応の意味がなくてはならないわけですよ。じゃないとただの夢創作になっちゃうから。
武将でも公家でもない人々が、身分を超えて縦横無尽に動きまわるという展開に、無理がなくて毎回感心してた。
いやまあ、ただの町医者の東庵先生がどうして帝と双六してんのかだけはわかんなかったけど!! でも前半の情報戦とかを丁寧にやってくれたから、東庵先生の神出鬼没感が浮かなかったんでしょうね。

オリジナルキャラクターが魅力的っていうのはレアだけど不可欠な要素かも。
それだけで大成功だと思いますよ。


名前のある武将の皆さん走馬灯。
でも多すぎてもう思い出せない……

伝吾、はアルカリさんにおまかせするからいいとして……笑 なりゆきとはいえSS数本書いたのでそれなりに愛着はあります。
左馬助、間宮祥太朗の出世ぶりになんか感無量で……こいつ、もう大河レギュラーになっちゃったよ、って。伝吾が「十兵衛のHOMEを守る」役目だったのに対して、左馬助は「十兵衛の片腕として生きる」ことに徹底してましたね。なんだかんだで十兵衛にこき使われてたけど、智略派光秀の諜報活動をメインでしてたのは左馬助だから、相当有能だったんだと思うよ。
あと斎藤利三の須賀貴匡。端正な顔に傷までつけての直情ワイルド系。なんでこの役きたんだ?とは思ったけど、終盤の駆け込み参戦にしては出番もセリフも多めでうれしかったです。彼も初大河は座ってるだけのお内裏様だったので、なんだか感慨深い……

ちなみに、藤田伝吾・明智左馬助・斎藤利三、全員はじめましてでした。いやたぶん過去にお会いしてるんでしょうけど記憶にないので……今回覚えた。徳重、間宮、須賀。

そうそう、我らがリュウソウレッド! セリフなしで2,3カットとはいえ、人物紹介に「すぐ死ぬ」と書かれてたとはいえ、いきなり大河デビューですよ。誰のバーターか気になって(ゲスい)研音見に行ってみたら……ありがとうございます帰蝶さま。
NHK好きする顔つきだから、次は朝ドラとか来られるといいね! すがっちのパターンもあるし!

なんか若手俳優(がベテランになるまで)見守りすぎている自分もどうなのって気持ちになってきました。20年後くらいに一ノ瀬颯が大河ドラマ準レギュラーくらいで出てるのを見届けるまで死ねないな。

将軍三代は印象が全くなかったので、新鮮な気持ちで見てました。
だって教科書に載ってるのはラストの15代義昭ってだけだもの。イメージも何もないもの。
義輝さま、ものすごい儚くて美しかった。でも剣は強いwww なにそれかっこいいwww 実際は、あんまりちゃんとした人ではなかったみたいですね。形骸化した室町幕府の象徴としての、脆い美しさ。
義昭さまはこの時代にそんなに重要な人だと思ってなくて、なんならすぐ死ぬのかなと(知識がない)……駒ちゃんをゲットして最終回まで生き延びるというミラクルにびっくりしつづけてました。途中かっこ悪くなるけど、最後はいい印象で終わるって得だな……鯛、たまには釣れてるといいね。

前半でいうと、高政がオイシイというかおもしろいキャラでした。
十兵衛が主役のハーレムものと考えたときに(?)、後半の悪役令嬢がメンヘラヤンデレ信長とすれば、前半の悪役令嬢はコンプレックスまみれの高政なんだよね。信長と違って社会性があったために、十兵衛を束縛しきれなかった。
前半だけの登場だろうなとは思いつつも、きっと報われないんだろうなと思いつつも、十兵衛に正面からフラレるたびになんだか最下位のチームに肩入れする気分で見てたんですが。最後まで重ねてフラレてたときには、逆にオイシイなって……「なんでも言うこと聞く」って言った十兵衛が結局「なんにも言うこと聞かなかった」あたりで、わりと不憫キャラだなとは思ってたんですけど。
まあ結局はロイヤルなプリンセス義輝&義昭に持ってかれるんですけどね。

そうそう嫌いじゃなかった、朝倉さま。
戦嫌いに悪い人はいないよ……越前編、それなりに楽しかったです。なんか、そこまで緊張感なくて。貧乏十兵衛にいい着物用意してくれたし、家族も面倒見てくれたし、十兵衛の野心さえなければ仲良くできたんじゃないか。ムリか。
ユースケは前から好きだけど、よく大河に連れてきたなあって感心しちゃった。言うこと聞く感じしないじゃないですか。って思ったら榎木さんの山崎さまがどっしり押さえててくれて、朝倉家強いなあって……「越前」というワードにかぶせて映るでかいカニの画がものすごく印象的でした。

あとは信長のパパ、イメージなかったけどすごく「そのへんの戦国武将」っぽくてよかった。一般的な(?)戦国武将ってこういう感じなのかなって。高橋克典って主要な役柄のせいもあってあまり好きな俳優さんではなかったんだけど、今回は素直にかっこいいなって思った。良すぎず悪すぎず強すぎず弱すぎず怖すぎず、愚痴も弱音も吐くおじさんってのがよかったです。
あと木村了が地上波であんなにくり返し「美しい」と言われつづけるドラマ、最高だなって……ありがとう、ありがとう織田家。死に際まで美しい。

信長家臣団は、顔で選んでる感がすごかった。
いや、あんなかわいらしい柴田勝家いる!? ネタ系やヒネり系しか摂取してない私でも、まだ「こんな斬新なイメージの柴田勝家ありなんだ!」と思えるのすごい。キャンキャンしてて犬っころみたいでした。画面に出るたび「かわいい」って言ってた。
佐久間殿は初め軍議にしかいなかったので、目開けたまま居眠りしてそうとか勝家見てニヤニヤしてるとかいきなりキレ出すとかおもしろい感じの人なのかと思ってたら、後半からぐっとセリフが増えて重臣っぽさアピールしてきて、総括するといいポジションの人でしたね。
ちょうど炒飯のまげガールに「さくもっこり」がいたから同一人物だと思い込んでて、でもさくもっこりは「佐久間盛政」、麒麟の佐久間殿は「佐久間信盛」で親戚くらいの距離感だと後半になって知りました。うっかりうっかり☆

クセの強い秀吉、冷徹だけどクレバーで嫌いじゃなかった。
駒ちゃんに懐いてると見せかけて、再会した彼女の立ち位置をすごく冷静に見てるとことかゾクゾクした。ガチで頭いい人だわーって。十兵衛に対してもすごくビジネスライクで、なんか会社でこういう中途で同期で気が合わないみたいな人いるよなーって。
ラストでせっかく官兵衛出たのに、自分で「よっしゃ中国大返し」みたいなことを言いはじめて、あれこの人に有能な家臣なんていらないんじゃないのと最後の最後で思いましたよね。自分が有能すぎる。

あ、唐突に登場した秀吉の弟?まさかの加藤啓……先にパクった「麒麟にの・る」のキリンさんが、キリンつながり?で本家に登場ですよ。殺されちゃったけど役名もセリフあったしね。一番のサプライズだったかも。ちょうどこの日の放映直後にるひまが「DVD出るよ!」ってキリンさんの画像付きでツイートしてたのが、狙った感満載で最高でした。

重要な人といえば藤孝殿、後半にいくにつれて今ひとつ立ち位置というか十兵衛に対する役割がよくわかんなくなっていって、死に場のあった兄上のほうが印象強かったんだけどさ。
最後でナチュラルにサキさまとの距離感をチラ見せして、そしてスッと秀吉に寄っていくとこで「うわ~かっこいい~!」ってなりました。義輝さまより三好側へ、十兵衛より秀吉へ。そりゃ生き残るわこの人。命預ける相手を顔で選ばないんだぜ笑
十兵衛と対立はしてないけど対極の選択をしていく人、という立ち位置だったんですね。かっけー。ヤンデレオッキーのお父さんくらいの認識でごめんなさい。なにその苔みたいな変なヒゲwwwとか言っててごめんなさい(それはフツーに悪口)
おっさんずラブは牧武派で、ちょうどおじカワも観てたせいで、ちょっと冴えないイメージが残ってたけど、藤孝殿は常にキレッキレに冴えてた。三渕さまが見た目冴えすぎてて気づかなかったごめんなさい。大河のせいでしばらくうたコンの谷原さんを「兄上」と呼んでたけど、よく考えたら(考えなくても)藤孝目線だな……

そんで忘れちゃいけない松永さま!!
完全に「爆死する人」くらいの知識しかなかったけど(雑)、なんかすごくステキなおっさんだった。
親戚のおっちゃんくらいのノリで十兵衛をかわいがってくれて、要所要所で話をスムーズに進める役目をはたしてくれて、出るたびにちょっとおもしろ方向のインパクトを残していって、最後に平蜘蛛でどーん!だもの。ずるいよなあ、かっこいいよなあ。
春黒エンドのおっさんずラブ目線が残ってたせいで、なんだか十兵衛とのやりとりもたまにそわそわしました。松永さまが十兵衛気に入るのは大人の酔狂かなって思うんだけど、十兵衛が松永さまのこと思ったよりも好きで、うわあ春黒じゃん!って笑 平蜘蛛のあたりなんか「好きになってもいいですかー!?」のノリだったじゃないですか。
順慶は、まげガールのタイムリーなネタがなかったらスルーしてた気がする……でも大河と炒飯でちゃんと覚えましたぞ。松永さまに負けまくってた人。

後から後から人が出てくるのに、ちゃんと交通整理されてて「誰?」ってことも少なかったし、初めて名前覚えた人もいるし、人間関係が愛憎や利権絡めてわかりやすく描かれてました。

すごいと思うのは、基本的に「割愛」で済ませていること。時間が削られたからといって「路線変更」はしてない。ここを抜いたんだろうな~というのはだいたい想像ができるけど、大筋に影響は出てない。押しの出番が少ないとか勝手な話は聞きませんよ、この作劇はすごいことなんだってば。

と持ち上げまくって次のページにつづく……