キング/ノッさん

2013_キョウリュウジャー,[R18]

『どうしてそういうことを口に出すの』


シャワーを借りるついでに浴室の掃除も済ませて、火照りもすっかり冷めた状態で部屋にもどる。
先に風呂を使ったダイゴは、毛布も掛けずベッドに横たわり、目を閉じていた。
ノブハルは静かにドアを閉め、物音を立てないようベッドに歩み寄る。今日はかなり働いて、その合間にかなり戦った。疲れが出たのだろう。
自分はリビングのソファで寝たほうがいいだろうか。それとも、こっそり帰ってしまおうか。あれこれ考えながら、毛布を取って彼に掛けようとした。
「行かないでくれよ」
不意に開いた目から、視線を逸らしそこねる。
「なあ……」
この目に、いつも心の裏側まで見透かされている気がして、迂闊なごまかしができなくなるのだ。
「うん……」
彼に嘘はつけない。でもそれは、本心を口にすれば必ず伝わるということでもある。
「どこにも行かないよ」
毛布から手を離し、その代わりに彼の手を取った。赤ん坊のように握り返してくる手を両手で包み込んで、身をかがめ唇を重ねた。
「ん……っ」
うたた寝していたのはまちがいないらしく、応えてくる舌の動きも緩慢で、母親を求める幼児にも似た無心さを感じる。
「ぅん……」
目覚めた子供は、しだいに本来の荒っぽさを思い出し、舌に歯がぶつかるようになる。長い腕で首を抱き寄せられ、ノブハルは彼の上に倒れ込んだ。
誰もが認める「キング」の肉体は、予想以上に細かった。だが決して折れたり潰れたりしない。
筋肉を覆う皮膚は硬くて強靱で、そのくせ瑞々しくなめらかで、つい指をすべらせたくなる。ノブハルが遠慮がちに鎖骨のあたりをなぞると、彼は小さく笑い声を上げた。
薄い肩から伸びる腕は、実際のところ傷だらけだった。それでも遊び盛りの子供にしか見えなくて、悲壮感は全くない。絆創膏も剥がれた擦り傷の名残や、色が薄くなった痣を、そっとなぞっていく。
胸と腹にはもう少し派手な裂傷の痕が残っている。
傷がなかったら、もっと美しい体なのかもしれない。しかしダイゴはそんな自分は認めないだろう。どんな傷も、彼にとっては勲章ですらない。あたりまえに存在する、自らの一部だ。
傷つくことをおそれつづけてきた男には、その無頓着さこそが強く美しいものに思えた。
「は……」
口づけの合間にダイゴが切なげな息を洩らした。長い脚が絡んできて、露骨に催促している。
その気になれば、自分から「上」のポジションをとることもできるはずだが、今はそういう気分ではないのか。それとも、ノブハルの気分をそれとなく悟っているのか……ダイゴは明らかに、ノブハルを「待って」いた。
どちらかといえば、求められるまま受け入れるほうが性分には合っていたけれど、時には素直な欲求に従うのもいいかもしれない。最初に惹かれたのも、欲しいと願ったのも、こちらが先なのだから。
遠慮がちにワークパンツに手をかけると、ダイゴは自分で下着ごと脱いでしまう。こちらのシャツもひっぱって脱ぐようにせがむから、半ば開きなおって全て脱ぎ捨てた。なにも隠すことはできないのだとわかっていたはずだ。
痩身がベッドの上でもつれ合う。ノブハルは彼の肌の感触に酔いしれ、ダイゴは手っ取り早く腰を押しつけようとして、それぞれに相手の性感を探った。
「ノッさん……」
ダイゴが息を荒くしながら、呼びかけにつなげて誘いの言葉を囁く。言われたほうは赤面したが、拒む理由はない。
いつも持っている手荒れ用の軟膏を……それしかなかったので……潤滑剤の代わりにすることにした。彼の表情を窺いながら、慎重に塗り込んでいく。
「はっ……ぁん……」
洗いざらしの髪を乱し、ダイゴは声を上ずらせた。くすぐったげに笑いかけたかと思えば、鼻にかかった喘ぎを洩らしてノブハルを動揺させる。締めつけられる指の感触だけで、すでにダイゴを犯している気になっていた。
「……いい?」
「おう……」
不敵な笑みだけは変わらない。彼は自ら大きく脚を広げ、相手を受け入れようとする。気遣いというよりは傷つけるのが怖くて、ゆっくり腰を進めた。
「く……」
彼を襲う最初の圧迫感は知っている。本能的に拒もうとする力は、それだけでこちらの精を絞り出してしまいそうで、強すぎる快感をやり過ごすにも必死になる。
根本まで収めて一息つくと、彼が苦しげな表情でにやっと笑った。
「ノッさんが全部おれん中入っちまった」
「そういう言い方やめて……」
ノブハルが顔を赤らめるようなことを、ダイゴはためらいもなく口にする。こればかりはどうにかならないものかと本気で思いながら、彼の腰を抱いて再び突き入れた。今度は、少しばかり強引に押し入ったかもしれない。
「……ぁああっ!」
派手な悲鳴を上げて、ダイゴが欲望を迸らせた。腹の中にはノブハルを受け入れたままで。
驚いたノブハルの視線を受け、彼はめずらしく決まり悪そうに笑う。
「悪ぃ……中こすられんの、気持ちよすぎて……」
「だから、きみはどうしてそういうことを口に出すの」
文字どおり「引くに引けない」状態で、正面から向き合っているノブハルはがっくりとうなだれる。しかしダイゴは悪びれる様子もない。
「おれさぁ、ノッさんが恥ずかしがってる顏、けっこう好きなんだ」
「ちょ……」
「感じてんの、知ってるぜ?」
「……っ」
反応してしまう部位がダイゴの中にあるのだから、隠しようがない。
詰っても諫めてもむだだと悟り、無言で彼の口をふさぐ。キスをしているときだけは、さすがの彼もおとなしかった。
再び彼のひざを持ち上げ、腰を進める。
「ぁっ……」
唇が離れた、と思ったら、彼が全身を反らせたせいだった。
二人の腹のあいだで力を失っていた屹立が、改めて硬くなりはじめる。ダイゴのそれを自分の腹に押しつけるようにして、ノブハルは彼の腰を抱え突き上げた。
「ぁうっ、やば……そこイイ、もっかい……んんっ」
このまま実況されてはたまらない。またしても口づけで黙らせようとすると、向こうからノブハルを抱き寄せ唇を重ねてくる。
「ぅん……っ」
何度も息が止まり、それでも互いにやめない。そのうちダイゴが縋るように指を絡めてきたから、握り返したその手をシーツに押しつけた。
指を組み合い、鼓動も激しい裸の胸を重ね、口づけをくり返しながら、二人は相手の存在だけに没頭していた。

衝動の嵐が過ぎて、茫然と余韻の時が訪れる。
いくらか落ちついたところで、ノブハルは起き上がって座り込んだ。見下ろすと、仰向けになったダイゴが身を震わせながら、まっすぐこちらを見ていた。
余裕もなにもない、不安げにすら見える表情に、王者の貫禄はない。年相応の、恋人を求める青年の顔だ。
少し微笑ましい気持ちになって、顔に張りついた前髪を払ってやる。唇がわずかに開いたので耳を寄せると、笑いを含んだ声が囁きかけてきた。
「すっげえ、気持ちよかった……」
ノブハルは懲りもせずじわじわと赤くなる顔を彼から逸らし、背を向けて寝転がった。

嘘をつくのは悪いことだと思う。
だましたり隠したりせず、正直に生きていきたい。
とはいえ、そうもいかない場合が意外に多いのもよくわかっていて、胸を痛めながら生きていかなければならないのが現実というものだ。
今もノブハルは、夕食を共にしている実の妹に、二つの大きな秘密とそれに付随するいくつかの小さな嘘を抱えている。
一日仕事だったノブハルとダイゴは、別の仕事に行っていた優子と留守番の理香も呼び、タイガーボーイで食事をしていた。
スタミナ丼を驚異的な速度で腹に収めながら、ダイゴは目の前の少女に話しかける。
「なあ理香、今夜ノブおじちゃんがおれん家泊まってもいいか?」
優子がノブハルを見た。
どういうタイミングでどう切り出していいかを考えていたノブハルは、いちおうの苦笑を返してからステーキ定食の肉が切れないふりをする。
「おとまり? けんかしない?」
「するもんか」
「キングは、ひとりでねれないの? 理香はねれるよ?」
「真っ暗なジャングルの奥でも独りで寝てたさ。でも、ホントは独りじゃないほうがいいに決まってる。理香もそうだろ?」
隣で聞いているだけで冷や汗が噴き出しそうな会話を、二人は真顔でつづけている。
「じゃあ、キングもおじちゃんとねていいよ」
「サンキュー!」
一連の会話にノブハルが内心で神経をすり減らしているところへ、妹の怪訝な目つきが追い打ちをかけてくる。説明しろという表情だ。
「というわけで……このあと御船さんのお宅を片づけて、おっとお泊まりってことで……」
「ああ、例のお屋敷ね」
イアンの家についての依頼は優子も承知している。「まるふく」は彼女のものだから、そこを飛ばすわけにはいかない。
「たまにはいいんじゃない? でも飲みすぎには注意してよ」
明日は急な依頼さえ入らなければ、ノブハルは実質休日といってよかった。それもあってか、優子のきつい目元がふっとゆるむ。
「……二日酔いはサケます」
男が友人の家に泊まってすることなど、一般的にはたったひとつだ。そんな妹の思い込みに縋ることにした。
「キングは、ノブおじちゃんのことすき?」
「おう、大好きだ」
彼はなにも隠していないし嘘もついていない。それが許される、希有な存在だった。羨ましくはあるがとても真似できない生き方だとひそかにため息をつく。
同じ問いを姪から投げかけられたら、自分は彼女の目を見て正直に答えられるだろうか?

アンティークというには重厚すぎる佇まいのサイドテーブルには、コンドームの箱と軟膏が置かれていた。
脈絡もなく、飲みすぎないでという妹の忠告を思い出して、ひとり苦笑する。酒には酔っていない。酔わされているとすれば……
ベッドに横たわったままぼんやりと箱のシルエットを眺めていると、背後から長い腕が巻きついてくる。
「ん……」
向きを変えようとする前に、肩に唇が押し当てられた。ダイゴはついばむように口づけては、時折軽く噛みつく。不規則な呼吸と、濡れた唇や舌が背筋に当たって、ノブハルはつい笑い出す。
「くすぐったいよ……」
返事はない。愛撫に熱中しているらしい。
しだいに荒くなる呼吸と接触に煽られ、否応なしにノブハルも再び熱を昂らせていく。
「ぁ、キング……」
胸にまわされていたダイゴの手が、脇腹から下腹部へすべる。その先を予想して勝手に芯が疼いたが、手は肝心な場所には触れず、硬い腿の内側を掴んだ。そしてひざまでなぞるようにして、ノブハルの脚を開かせる。
「……っ!」
羞恥以上にノブハルの顔を熱くしたのは、広げられた足のあいだに反り返った屹立が押し込まれたせいだった。
ダイゴの雄は、勃ちかけていたノブハルのそれを後ろから突き上げていて、敏感な場所へ直接的な刺激を与えてくる。セックスの真似をして腰を揺らすわけではないが、彼が身じろぎするだけでも当たってこちらの熱を煽るのだった。
揺すり上げこすりつけてくるなら、まだわかりやすい。だが彼は大して動かず、もう一方の手をノブハルの胸の上に置く。今のノブハルは、背後から押さえつけられているように見えるだろう。
「キング、どうしたいの……」
「わかんねえ……」
答えは半分上の空だった。彼自身、ただ衝動のままにノブハルを味わっているだけらしい。
心臓の真上で鼓動を感じていた手が、移動を始める。手は喉仏の上を通りすぎ、ひげの濃くなったあごをなぞって、唇に辿りついた。長い指が唇の隙間に這い込むが、むりやり侵入してくることはない。
与えられるだけの感覚に焦れったさを覚える。今までそんなことはなかった。
ノブハルはその指に自分からしゃぶりついた。妖しく動いて唇を優しくこじ開けるそれが性器にも思えて、ひどく昂ぶるのを止められない。飲み込みきれない唾液が彼の指を伝っていくのを感じながら、なにも考えずに口の中へ入ってくる2本の指を、根本まで舐めつづけた。
「ぁ、ふっ……」
不思議な快楽に頭の芯が痺れて白くなりかけていたところへ、不意に耳の端を甘く噛まれた。
思わず彼の指に歯を立てそうになり、息を飲んだ瞬間に低い声が囁く。
「やっぱ……中でイきてえ」
「はっ……」
ぞくぞくと背筋を駆け上がる震えを止められなかった。欲しがっているのだと自覚するまでに少しかかった。
指が、透明な糸を引いて舌先から離れる。
「いいよ、来て……」
「ん……」
濡れた指が後ろへ這わされ、少し焦った様子でねじ込まれた。
「ぅんっ……」
最初の声はなんとか飲み込んだ。しかし、長い指が中を押し広げていくにつれて、努力は無意味なものとなる。
「やっ、ぁん……あ……」
彼は背後にいて縋れないから、シーツを掴んで異物感に耐えた。一度でも反応した部分はしっかり覚え込み、彼は的確に内側の弱点を探り出す。
「もぉ……ダメ、ぁ、キング……」
言いたいことも言葉にならず、ただの喘ぎにしかならない。
ダイゴはノブハルのひざを抱えなおすと、広げたそこへ先端を押し当てた。
「んぁ……っ!」
彼がノブハルを欲しがっている証が、中で脈打ちはじめる。それだけでも刺激的すぎるのに、横抱きにされた状態では身体が思うように動かず、彼の動きに身を委ねることになる。
「あっ、ああっ、あ……」
片足を抱え上げられたまま、後ろから激しく突かれた。往き来するたびにダイゴの欲望は硬さと大きさを増し、ノブハルの中を極限まで広げていく。
「すげ……もっとキツくしてもいいぜ……」
熱に浮かされたような声と言葉で嬲られて、たまらずに自分の熱を握り込んだ。羞恥など意識から飛んでいて、このせっぱ詰まった快楽から解放されればなんでもよかった。ダイゴの動きに合わせて自身をしごく。
犯されているのか犯しているのかわからなくなったあたりで、やがて頭の奥が白くなった。
「ああぁっ……」
今まで押さえつけられていた感覚や感情とともに全てを吐き出す。
「おぉっ……ぅああっ!」
直後、最奥でダイゴの熱が弾けた。熱くて苦しくて、しかし泣き出したくなるほどの感情は、そんな身体の苦痛からではない。

腹の中からダイゴが引き抜かれ、わずかに名残惜しさを感じる。
それ以上の思考を巡らすより先に、ダイゴが肩に頬を寄せてきた。
「あー……もぉ大好き……」
息を切らしながら、彼は満足と愛情の深さを同時に伝えてくる。自分と相手の両方を満たすすべを、本能で知っているようだった。
こんなに大きなギフトを、ただ受け取るだけでいいはずがない。
「キング……」
腰にまわされた手を握り、自分の胸に引き寄せる。
「ぼくも……気持ちよかった」
そんなことを口にするのは初めてで、声が震えて耳が熱くなった。
だが答えの代わりに思いきり抱きしめられ、彼がそれを求めていたことを確信する。だから、今まで伝えそこねていた言葉も言えると思った。
「……大好きだよ」

朝食はダイゴに任せて、ノブハルはベッドを直していた。
恐ろしいことに洗濯機もないこの家では、シーツは持ち帰るか近くでコインランドリーを探すしかない。家では優子に説明するのが面倒だから、やはりコインランドリーか。そんなことを考えながら洗い物をまとめていると、廊下の向こうから大声で呼ばれた。
「メシ、できたぜぇ!」
この家にはもちろんダイニングルームもあるが、広めの台所には大きな調理台が作りつけてあって、二人程度の軽い食事なら台所だけで充分足りる。幸い、そんな横着をしても咎める人間はいない。
「ありがと、今行くよ!」
ノブハルも人並み以上に料理はするが、器用さではダイゴに敵わない。レパートリーの多さでいけば、ダイゴの引き出しはほぼ無尽蔵だ。昨日買ってきた食材でどんな朝食を作ったのか。期待しながら台所に向かった。
ダイゴは廊下に出て待っていて、ノブハルがやってくると両腕を広げる。抵抗してもむだだとはわかっていたので、おとなしく抱きつかれるままにまかせた。
「ああ、いい匂いだね」
彼の腕の中で向きを変える。後ろからノブハルの肩にあごを乗せ、ダイゴは自慢げに説明してくれた。
「スペイン風オムレツ作ってみた。スープは地中海っぽくして、ピザトーストもつけたぞ」
「相変わらずグローバル……」
香りに誘われるまま台所に入ろうとしたが、ダイゴが動かないので進めない。
「キング?」
「んー……」
曖昧な返事とともに、ほうっと満足したようなため息が洩れる。
頻繁にではないけれど、ダイゴはこうして過剰に甘えてくるときがあった。なにか不満があるわけではなく、平素の反動というわけでもなく、彼がそうしたい、そうしていいと判断したときだけの行動らしいのだが、だからこそ引き剥がすのは難しい。
もっと難しいのは、それが決して嫌ではないからだ。
「もう、メニューだけ言って食べさせないなんてひどいよ……」
苦笑しながら言いかけた。
だが次の瞬間、ドアがきしむ音に体が跳ね上がりそうになる。
すでに閉まりつつある重い玄関扉の前に、黒ずくめの男……即ちこの家の主が、驚きに眉をひそめて立っていた。
「いっ、イアン!?」
「ああびっくりした……来てたのか」
思わず声がひっくり返ったノブハルとは対照的に、イアンは普段より低い声で呟く。不機嫌というわけではないらしいが……
「よぉイアン! おかえり、おはよう!」
「ただいま、おはよう……血圧高ぇな……」
ダイゴのテンションに文句をつけながらも、きちんと挨拶を返すあたりが律儀な男だ。廊下に立ちつくすノブハルがダイゴに抱きつかれている件に関しては、とくに気にしていないらしい。
「朝メシ食うか? おれが作ったんだ、スペイン風オムレツ」
「いや、せっかくだから二人で食えよ……」
「なんだよ、いっしょに食おうぜ! みんなで食ったほうがうまいって!」
「気持ちはありがたいが、二時間だけ寝かせてくれ……デーボスが出たらいつでも起きるから……」
「そっか、残念だな。ゆっくり休めよー」
どこか気の抜けた会話が交わされているあいだ、ノブハルはなんとかダイゴの腕から円満に逃れようと悪戦苦闘していた。自慢の剛力も、仲間相手では発揮できない。
「じゃあノッさん、メシにすっか!」
ようやくダイゴから解放され、穴があったら入りたいレベルの決まり悪さを抱えながら、イアンに「おやすみ」と声をかける。
彼は力なくうなずいて階段に向かったが、ノブハルとすれ違いざま肩を叩いた。
「ノッさん、キスマーク隠れてねえ……」
「ええ!?」
いったん血の気が引いて、そのあとすぐに血が上り顔が熱くなる。シャワーを浴びたときも着替えたときも、そんなものは見当たらなかった。
「どこ!? ねえキング、どこ!?」
ダイゴが「どれどれ」と覗き込み、首の後ろに近い場所についているのを見つける。
「あー、こりゃ何日かは消えねえな」
「キングがやったんでしょ!?」
ダイゴはとりあえずといった軽さで謝り、しかし笑いながら台所に逃げていく。こんなに騒々しくてイアンはちゃんと眠れるだろうか。
「もー、しばらく理香とお風呂入れないよ……」
また小さな秘密がひとつ増えた。


赤「キスマークを消すには、馬刺しを当てるといいらしいぞ!」
黒「このsweetな状況でよくそんな生臭い発言ができるな…」
赤「うーん、じゃあ…あっためてからレモン乗っけるってのはどうだ!」
黒「バーカ時間かかるだろ…あ、コンシーラー貸そうか?」
青「二人ともフケツ! 自分のことじゃなかったらソウジくんに言いつけたい!」

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