魁利/透真

2018_ルパパト,[R18]

【口封じ】

声を出すな、と透真は汗ばんだ顔をしかめ、魁利の口を手でふさいだ。
「……んんっ!」
無茶言うな、と睨みつけるが、今その手をふりほどく余裕はない。自分はどうなんだとばかりに、腰を掴んで奥まで突き入れた。
「……っ!」
透真が目を伏せ、唇を噛みしめる。それでも喉の奥で呻き声を殺しているのが憎らしい。片腕で魁利の頭を抱えるだけならまだしも、顔の半分ほどをたやすく覆う大きな手は、必要以上に力がこもっている。正直、暑いし痛い。
「離せよ……っ」
その腕を引き剥がし、頭を振ってむりやり逃れ、大きく息をついた。両腕をベッドに押さえつけられた透真も、荒い息に裸の胸を上下させている。そのビジュアルだけで寒気がするほど魁利を煽るが、同時に歯がゆさも募っていた。
「なんだよ、自分ばっかり……」
力任せに勢いで責め立てても、完全に受け入れられていないような、肝心な部分で拒まれているような気になる。体はつながったままだというのに。
「おい……休むな」
「……休んでねえし!」
どうして文句を言われなければならないのか。というより、女役の分際でなぜそんなにえらそうなのか。昂ぶる感情に名前もつけられないまま、魁利は腰を叩きつけた。
「……ぅうっ!」
禁じられた喘ぎが洩れそうになり、とっさに相手の肩口に顔をうずめる。首元に噛みつくと、喉が震えて声にならない呻きが上がった。
「ん、ぁっ……」
かすかに、だが普段の落ちついた低音ではない、透真の声が聞こえる。それを飲み込もうと必死にこらえているのが無性に焦れったくて、魁利はなおも激しく揺すり上げた。腹の下から透真の欲望が押し返してくるのも、この行為に等しく耽っているという証のはずだ。
「ふっ……ぅんっ……」
透真の肌に噛みついたまま、魁利は彼の中で果てた。いつもそうだ。自分だけがいつも先に……
事が終わった室内はいつもあっけないほどに静かで、テンションとのギャップが未だに慣れない。
「……おーい、生きてるかぁ?」
見下ろして声をかけると、伏せられていたまぶたがむりやり持ち上げられた。
「……殺すな」
無言でタオルを要求するから、風呂上がりに使っていた生乾きのタオルを拾って、べたべたになった肩口に押しつけてやる。
「いつも歯形残しやがって……」
「だって声出すなって言うから」
悪びれずに肩をすくめてみせると、透真は苛立たしげにため息をつき、用済みのタオルと魁利をベッドから放り出した。


送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!