【SS】充瑠と為朝「うたた寝」
#リプもらった番号のワードを使って文を書く
13.向日葵
「嬉しい」「暖かい」「太陽」
キラメイジャー/充為
つき合ってない二人。スポンサーもついている現状、コンプライアンスという壁が為朝の前に立ちはだかる…!
ピクブラに出すほどでもないな~って感じなので、現状こことTwitterにしかないカプです…充瑠が高校卒業したらキラメイGOできるんですが!!
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うたた寝
日差しが眩しい。
あたり一面に咲く大輪の黄色い花に囲まれ、暖かな気持ちになる。
ずっとここにいたいなあ。ねえ……。
「……!」
いつのまにかうたた寝をしていたようだ。
充瑠はページに指を挟んだままの漫画を見下ろして、それからここが為朝の部屋だと思い出した。彼の広いベッドに寝転んで漫画を読んでいるうち、窓からの日差しが気持ちよくて寝入ってしまったらしい。
充瑠のベッドの二倍はありそうなそれは寝心地も抜群で、一人暮らしの部屋には似つかわしくない気もする。だが常に万全の実力を発揮するためと思えばコスパは最高、睡眠を含めた健康管理も仕事のうち、なのだそうだ。
ふと傍らを見ると、さっきまでPCに向かっていたはずの為朝が横になっている。そういえば昨日は遅くまで起きていたと言っていた。充瑠が部屋に入るなり、眠くなったら寝るから!と宣言されたくらいだ。
漫画を脇に置いて、その寝顔を眺める。
「……タメくん」
こっそり呼んでみるが、起きる気配はない。
それでも、休みの日に充瑠と過ごすことを許してくれた。特別になにかイベントがあるわけでもないけれど、同じ部屋で別々のことをして過ごして、たまに腹へったかとか気にかけてくれて。眠くなってもすぐ隣で無防備にやすんでくれる。そんな距離感の相手は、充瑠の周りには今までいなかった。
「タメくんの夢見ちゃった」
見渡すかぎりの向日葵畑。眩しくて暖かい、太陽のような……彼のような。きっと、この部屋にいるからだろう。
「ふふ、変かなあ?」
「……変だよ」
熟睡しているはずの為朝が、目をつぶったまま答えた。
「あっ、え!?」
驚いて身を引くと、彼は眉を寄せてがりがりと頭を掻く。怒っているのか困っているのか。
「ったく、おまえは……」
のっそりと起き上がりざま、為朝のほつれた髪が充瑠の頬をかすめ……。
「嬉しいに決まってんだろ」
低い呟きの直後に、ひたいへ柔らかい唇が触れた。
「……!」
なにが起こったかすぐには飲み込めず、彼の唇が触れた場所を押さえていた。為朝はといえば、こちらに背を向けてベッドから立ち上がろうとしている。
「さーてと、眠気覚ましにコーヒーでも入れてくるかなあ……」
このまま部屋を出ていかれたら、彼はきっと何事もなかった顔で戻ってくるにちがいない。
「待っ、今の、きっ、ききき……」
「サルか! 偶然当たっただけだよ気にすんな!」
言い訳にしても苦しすぎる。はぐらかせてなるものかと充瑠は為朝の腰にしがみついた。
「びっくりしすぎてよくわかんなかったからもう一回!」
「もう一回ってなんだ!」
「じゃあ、オレにやらせて!」
「何言ってんの!?」
必死の顔で縋りつく充瑠と、耳まで赤くなった為朝の攻防はしばらく続いた。
*