文秀/灘
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跪く
「ぅん……っ」
無意識に相手の衣をつかんで、文秀はあごをそらす。自分の衣はすでに両肩からずり落ちていたから、相手もそうしてやろうと思ったのかもしれない。
首筋に音を立てて唇が押しつけられ、鎖骨や胸へと降りていく。だが痕はつけられないということを、文秀はわかっていた。
「そんなに締めつけんでくださいよ」
どこかのんびりとした低音が、文秀の肌をくすぐる。
「うるせえな……狭けりゃてめぇで広げろよ」
ため息半分、息切れ半分でそう言うと、片ひざを持ち上げられてぐっと突き込まれた。
呼吸が止まりそうになって、相手の首を乱暴に抱き寄せる。抽送がくり返されるたびに嬌声が上がりそうになり、必死に噛み殺して息だけを吐き出す。
「声……出してもいいんですよ……?」
囁きかけてくるその声は、あきらかにおもしろがっていて、文秀の体温をさらに上げた。
「てめぇ……本気か?」
「こんなとこでヤりたがったのは将軍殿でしょうが」
そう、ここは将軍の執務室。窓の外の空は白く曇ってはいるが、昼下がりの気怠い時間だ。不得手なデスクワークにうんざりしていた文秀は、いかにも手持ち無沙汰な風情で報告書を届けに来た灘を、強引に部屋の隅へと誘った。
「そっちだって、すぐ乗ってきたじゃねえか……ぁっ!」
ここには寝台などないし、外から見えても都合が悪い。だから、文秀は立ったまま灘を窓の横の壁に押しつけて迫った。最初は文秀が上になるつもりだったのだが、いつのまにか逆転して今に至る。まあ、よくあることだ。そんなことより今は……
「っ!!」
触れてもいない熱が弾け、上等な生地の内側を汚していく。
「あーあ……今日はずいぶんとお早いことで……」
からかうように囁く声が憎らしくて、つながったままの部分に力をこめて思いきり締めつけてやった。
「うわっ、ちょっ……」
引き抜こうとするのも間に合わず、灘は文秀の中に放ち、あわてて抜いた瞬間に残滓を散らす。
「ほぉ……将軍様の着物に、大したことしてくれたなあ?」
乱れた衣を直しもせず、文秀は気怠い笑みを浮かべて唇を舐めた。ことさらに舌を見せつける文秀に、灘は肩をすくめて苦笑する。
「はいはい、俺が悪うございました」
灘は自分の衣を直してさっと裾をさばくと、後始末をすべく将軍の前に跪いた。
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