文秀/灘

2007_新暗行御史,[R18]

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コスチューム・プレイ

文秀は、目の前の肌を無遠慮に撫でた。
灘はくすぐったいと笑い、だが抗うことはしなかった。
新兵の訓練につきあうため、一兵卒の姿に身をやつして鍛錬場にいた灘隊長を、訓練が終わるなり部屋へと引きずっていったのは最高司令官である文秀将軍だった。だから部下の誰一人、その理由を深く考える者などいなかった。文秀将軍と灘隊長、という組み合わせはあたりまえすぎて、注意を払うこともないのである。
将軍が隊長を部屋へ連れ込むや否や床に押し倒しているなどとは、考えの外なのだ。
「まったく、サカる歳でもないでしょうに」
「っせえな……てめぇがそんなカッコしてんのが悪ぃんだよ」
鍛錬場を覗いた文秀が目を留めたのは、灘の兵卒姿だった。肩と背のみを覆い、胸から腰骨の下までを露わにしたその服装は、一ヶ月ほど実戦もなく執務三昧だった文秀の起爆剤になったらしい。
「こりゃあ楽だ」
肌に手をすべらせながらぽつりと呟いた文秀に、灘は思わず噴き出す。だが笑い声を上げるまでに至らなかったのは、まだ汗も乾かぬ肌をきつく吸われたからだった。
「将軍……っ」
さすがに髪を引いてむりやりに目を合わせれば、いたずらっ子そのものといった笑顔が向けられる。
「明日もコレで訓練指導するか?」
「あんたって人は……」
年長者らしく叱ってやろうと思ったが、ばかばかしくなって天井を仰ぐ。こちらの禁欲生活も相手と同じくらいだろう。応じてやるのが忠義というものであり、自分のためだ、と割りきった。
「責任とってくださいよ、将軍殿」
灘は文秀を抱き寄せ、いかにも重たげな衣を脱がすべく手をかけた。

荒い息が、床の上に低く響いている。
夕闇が濃くなりつつある時分で、互いの顔もすでに見分けることができない。年齢も身分も隔てられた二人だが、この行為に臨む姿勢にほとんど差はなく、ただ相手に触れることで得られる快楽のみを追い求めていた。
「……っ」
威厳に満ちた着物を無残に乱し、文秀は獣のように灘を喰らおうと躍起になっている。一方の灘は、ただ下肢を剥かれただけだったが、もとから露出している肌には艶かしい傷がつけられ、とても平素の状態とは言いがたい。
「!」
文秀が身を震わせ、低いうなり声ととともに達した。灘は思わず苛立ちのため息をつく。
「……ちょいと急ぎすぎじゃありませんかね……そんなにこの姿がお好みなら、幽霊部隊総出でかわいがってさしあげてもよろしいが……」
苦しい息の下から不敬極まりない憎まれ口を叩く部下を見下ろし、文秀は笑みを浮かべる。頬を伝う汗をぬぐいながらも、その表情は満足げだ。
「てめぇこそ、いい歳してナニ興奮してんだよ…ほしがりすぎじゃねえのか」
勃ち上がったままの自身を指先で弾かれ、灘は首を反らして呻いた。焦らされるのも、言葉で嬲られるのも嫌いではない。だが、あまりに一方的なのもつまらない。
「ええ……ほしがってますよ、恥ずかしながら。将軍殿の口にむりやり突っ込んでやったら、どんな顔で泣くだろうって。考えただけで涎が出るってもんです。上でも下でもアンタの口は、具合がいいですからねえ……」
文秀の顔から余裕の笑みが消え、眉間に皺が寄る。そんなときの文秀は、いつもより若く……幼く見えるのだ。
「……まだ、足りねえようだな、灘」
文秀は呻くと同時に、乱暴に口づけてきた。
その荒々しい舌を受けながら、腰に押しつけられた熱が再び硬くなるのを感じて、灘はひそかに笑った。

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