映司/アンク
【触手と病院と黒いシャツ】
アンクはメダルを握りしめたまま歯噛みしていた。
敵と対峙している映司にメダルを投げたいが、届く前にヤミーの腕で払いのけられるか、飲み込まれるかするのが目に見えている。
「く……っ」
その映司は、戦っているという状況ではなかった。まだオーズにもなれず、一方的に攻撃を受けている。
巨大な水生動物を模したヤミーは、無数の黒い腕で映司を縛り上げていた。一本一本は細いその腕が、服を引き裂き、肌の上を蠢いている。……だけならまだよかったが。
「ぐあ……っ!」
苦悶の呻きだけがあたりに響きわたる。
服の中に入り込んだ触手が映司になにをしているか、直接は見えなくとも動きで想像はつく。
戦うどころではない。映司はあのヤミーに「犯されて」いる。生き物ですらない怪物に。
せめて変身さえできれば……あれに勝てるコンボはわかっている……そう思いながら、アンクは何度も三枚のメダルを握りなおすことしかできない。
「なにやってんだ、映司!!」
苛立ちのまま怒鳴ったとき。
銃声とともに、ライドベンダーが突っ込んできた。触手に阻まれバイクは飲み込まれたが、すんでのところで逃れた乗り手はアンクの前に転がってくる。
あと数歩前まできたら、ヘルメット頭を蹴り飛ばしていただろう。
「遅いぞ!!」
「すまん!!」
メットを外した後藤はアンクの理不尽な怒声にも律儀に謝り、ベルトを装着する。変身用のメダルを取り出したとき、ヤミーの腕に抱かれたままの映司が再び悲鳴を上げた。
「火野!?」
バイクからは角度的に見えなかったらしい。後藤はようやく把握した現状に一瞬怯む。
アンクが後藤に再び怒鳴ろうとした瞬間、別の方向から銃声がした。容赦ない攻撃はヤミーの黒い腕を何本か落とす。
「なにやってるんですか、後藤さん」
戦闘には向かないパンクな服装で現れた女は、片腕でバースバスターをかまえながらもう片腕でスーツケースを開け、バース用のメダルとカンドロイドをぶちまけた。
「さっさと終わらせちゃってください」
「わ、わかった!」
それからは、アンクの出る幕などなかった。後藤と里中は完璧なコンビネーションとテクニックで映司に当たらないよう攻撃を仕掛け、それほど時間もかけずに敵を撃破した。
ヤミーの大きさにふさわしい量のメダルが、雨となって降りそそぐ。だがその雨を浴びているひまは、アンクにはなかった。
宙へ投げ出された映司を、片腕の本体を飛ばして捕まえる。あちこち無残に破れた服はすぐに布地が裂けてしまいそうで、仕方なく腕を掴んだが、気を失って力の抜けた身体はひどく重く、せめて両腕があればと意味のないことを考える。
映司を地面に下ろすと、後藤と里中が駆け寄ってきた。
「火野……」
後藤は映司の傍らに跪きはしたものの、陵辱の痕も生々しい身体に触れることもできずにいる。そんな彼を押しのけるように、里中が自分の上着を脱いで映司の身体に掛けた。下着姿同然になった彼女は、自分の部下に厳しい目と言葉を向ける。
「なにぼさっとしてるんですか、車両を運んできてください。火野さんを病院に連れていかないと」
「あ、ああ」
後藤はまだ動揺を収められずにいたが、指示が出て安心したのか全力で走っていく。
人の身体に戻ったアンクはなんの感想も持たず、ただその光景を眺めていた。
病院まで映司を送り届けた里中は、映司が目覚めるまで残ると言い張る後藤を「仕事があるから」と半ば引きずって帰っていった。
帰り際、里中がベッドサイドのアンクに「火野さんのフォローお願いします」と頭を下げた意味は、アンクにはわからない。比奈には伏せておいたほうがいいという忠告の理由も。
もとよりバース組や比奈のことなど、アンクにとってはどうでもよかった。問題は、敵に深手を負わされたかもしれない映司のほうだ。あれほど一方的にやられたことはほとんどなく、今後の戦いに影響してもおかしくはない。そうなっては都合が悪い。
「くそっ……いつまで寝てる……」
白いベッドに横たわる映司の顔もまた白く、わけもなく不安にかられる。
苦痛をこらえる声も表情も、厭きるほどに慣れているはずだ。いや、慣れる以前に人間の苦痛などグリードには関係ない。
アンクは降りそそぐメダルの雨を思い出す。結局、抜け目ないバースが一枚残らず持っていった。きっとこの腹立たしさは、そのせいだ。映司さえこうなっていなければ、あのメダルは全てアンクのものになるはずだった……
どれほどそうして映司の顔を見つめていただろうか。
不意に部屋が明るくなる。
「座ったら?」
ふり向くと、さっき映司を診た医者が入ってくるところだった。窓の外を見るといつのまにかずいぶん暗くなっている。
「そんなに心配?」
この医者は伊達の旧い知り合いで、こちらの事情もほぼ理解しているという。そのせいか、妙に訳知り顔で接してくるのが気に入らない。
「こいつが戦えなくなると困るからな」
アンクは鼻で笑って、暗くなった窓に歩み寄った。
「……で、どうなんだ。安静にしてろとか言うなよ」
「してほしいって言っても聞かないじゃないか、きみたちは」
だれかにそっくりだ、と呟いて、医者は苦笑する。
「怪我自体は大したことはない。……としか言いようがないな、外科医としては」
「……どういう意味だ」
「きみもその場にいたんだから……」
わかっているはずだ、と医者が告げる前に、別の声がした。
「……だいじょうぶですよ」
「映司!」
いつのまにか映司は目を開けていた。まだ起きられないのか、まっすぐ天井を見つめている。
「いつもと同じです……ちょっと手強かったってだけで」
淡々とした声は、次の手やこれからの状況に考えを巡らせているしたたかさすら感じさせる。いつもの映司だ、とアンクは自分では気づかずに安堵の息をついていた。
「でもきみは……」
医者のほうは患者の強がりを鵜呑みにするわけにはいかないらしい。
「そりゃまあ、内側をやられるとダメージ大きいですけど」
「ぁあ?」
怪訝そうな顔のアンクを見て、映司は力なく笑った。
「皮膚を切りつけられるより、ぐさーって深く刺されるほうが致命傷になるよね、っていう話」
ナイフを持つ手真似までして説明されても、わかるようでわからない。
医者は二人を見てため息をつき、白衣を翻す。
「病室は明日まで使っていいよ。なんなら夕食と朝食もつけるけど?」
「いえ……ほんと、だいじょうぶですから。ありがとうございます」
身を起こす映司はどこか苦しそうではあったが、再びベッドに倒れ込むようなことはなかった。彼は手早く病院服を脱いで着替えはじめる。
「おい、映司……」
「おなかすいちゃった。早く帰ってごはん食べようか」
その表情はほんとうに普段どおりの映司で、アンクは毒気を抜かれて立ちつくしていた。
あれから約一週間。次のヤミーは出ていない。
アンクはアイスをかじりながら足りないメダルを数えてすごし、映司はクスクシエでのバイトに勤しんだ。
なんの変化もない退屈な日常。
暇すぎて、アンクは時折思い出す。普段は冷淡な会長秘書や、赤の他人といっていい医者が、妙に気にしていたことを。
だが映司に異常は見られない。本人の「だいじょうぶ」があまりあてにならないことは知っていたが、かといって目に見える異常や変化があるわけではない。
かすかな引っかかりを覚えながら、アンクはずっと映司を観察していた。昼も夜も、ずっと。
変わらぬ笑顔の裏に、なにがあるのかわからないまま。
営業時間はそのときの店のコンセプトしだい……という気まぐれな店は、このところ平常よりも遅くまで開いていたが、今日だけは少し早めに店を閉めた。
急な雷雨で予約のキャンセルが相次ぎ、店主の知世子本人も帰宅できるかという空模様になってきたためだった。映司は店の片づけを全て引き受け、笑顔で知世子を帰らせた。バスが止まって来られなかった比奈にも連絡を入れた。
人のいなくなった店内に、映司とアンクの二人だけが残される。
雨が叩きつける屋根の真下の部屋はうるさすぎて、アンクはカウンターの指定席でひとり遊んでいた。
「なにやってんの……」
モップを手にした映司が覗き込んできて、そしてすぐにため息をつく。
「……トラ?」
「パンダだ」
「ぜんぜん見えない。ていうかムリあるよ、それでパンダ作るの」
アンクがパズルのピース代わりに並べているその正方形は、避妊具のパッケージだった。
「全部バラバラにしちゃって……ちゃんと自分で片づけろよ」
そう言い置いて、映司は掃除に戻る。
来週までイタリアンフェアだとかで、店内はバール風の内装、映司は黒いカッターシャツにギャルソンエプロン姿だった。ぼさぼさの髪は撫でつけられ、前髪も真ん中で分けて両側へ流しているから、表情も普段より大人びて見える。
いつものばかげた仮装よりは動きやすいのか、明日が定休日だからか、彼はそのままの格好で片づけをしていた。
あまり見かけない黒ずくめの映司を眺めながら、アンクはぼんやりと考えを巡らせ……ぎょっとして背筋を伸ばす。
一瞬、映司があの黒い触手に捕らわれている姿が頭をよぎったから。
「……映司」
思わず立ち上がって彼の名を呼んだことに、意味などない。ただ衝動的に、アンクは映司を呼んだ。
「ん?」
映司は小上がりのローテーブルを下ろしたところだった。
「なに?」
彼が重ねて訊いてくるが、理由も用事もないのだ。内心で動揺しつつ、アンクはカウンターの上のパズルに目を留める。そういえば、しばらくこれを使っていない。
「……ヤらせろ」
「なにを?」
「ナニをだよ」
コンドームを数個掴んで突きつけると、映司はあっけにとられた顔でこちらを見た。
「……掃除終わったらね」
ほうきを手に背を向けようとするのが気に入らなくて、口からでまかせだったにもかかわらずなんとしても押し通そうと決めた。
「今ここでだ。上は雨がうるさい」
「なにその理由……」
映司が肩をすくめたとき、大きな雷鳴がとどろいた。
「雷もうるさい」
「あのねえ、ここはお店……」
もう一度雷が鳴り響き、映司の言葉を遮る。
しばらく黙って雷を聞いていた二人は、雨音だけになってまた目を合わせた。睨みつけるアンクから、映司はふと目を逸らして呟く。
「……いいよ」
自分で言い出しておいて、アンクは耳を疑う。どうやったら映司をねじ伏せられるか、作戦を考えはじめたところだった。映司の性分からいって、ほぼ不可能に等しい要求のはずなのに。彼はテーブルとクッションをどかせた場所へ腰を下ろしていた。
「アンクが上になるなら、してもいいよ」
そうつけ加えられた一言が、混乱したアンクの神経を逆なでする。
「してもいいだと?」
なぜ映司に許しを得るかたちになるのか。
アンクは自分の思い通りにしたいだけで、映司も自分がしたくないときにはどんな理由をつけても拒む。拒まないということは、映司も望んでいるということなのに。いつも映司はアンクを「受け入れる」かたちでしか、この行為に参加しない。
「なにもかも俺のせいにするな! それとも、おまえはあのヤミーのおかげで欲求不満が解消されたってわけか!!」
映司の顔から表情が消えたのを見て、地雷を踏んだことに気づいた。
この一週間、なにひとつ見せなかったくせに。
ストレートに感情を出さない映司も、さっきから心にもないことばかり口にする自分にも、ついでにこの雷雨にも腹が立って、アンクは大股に映司に歩み寄り、その肩を突き飛ばした。
「うわっ……」
倒れそうになった映司は、後ろに手をついて踏みとどまる。その腰の上に跨がって黒シャツの襟を掴んだ。
「いつも欲なんかねえって顔しやがって!! じゃあ俺とヤってるときのおまえはなんだ!? こいつ押っ立ててよがってんじゃねえか! みっともない顔で泣いて俺を欲しがってんじゃねえか、ぁあ!?」
「……………」
最初こそ驚いたように目を丸くしてアンクを見つめていた映司だが、すぐに目を逸らす。
そして、かすれ声で囁いた。
「そうだよ……おまえが欲しい。だから、抱いてよ」
「!!」
初めての言葉に、表情に、総毛立った。
アンクは映司の胸ぐらを掴んだまま、その顔を見つめる。
なにか企んでいるのなら、まっすぐこちらを見返してくるはずだ。嘘を真実にするために、自分の意志を通すために。
だが映司はアンクと目を合わせようとしない。羞恥とまではいかないかもしれないが、今の映司には葛藤が見える。欲望に揺らぐ心が。
アンクは乾いた唇を舌で湿し、映司のあごを掴んで仰向かせた。
「忘れるなよ……欲しいって言ったのはおまえだ」
「わかってる」
映司がこちらを見上げる。
意志の強い瞳。目的を持った視線が、アンクを射抜く。握りしめたままのアンクの手から、コンドームをそっと奪う。
見誤ったのかもしれない、とアンクは思った。
だがもう遅い。
なにかあるとわかっていても、目の前の誘惑からは逃れられない。
アンクはあごを掴んだまま、映司の口に噛みついた。
「んっ……」
あごから首筋へ、指先に力を入れながらゆっくりと下ろしていく。締め上げはしない。ただ、おまえの命は俺が握っているぞと主張するために。
二人の口元から、どちらのものともわからない唾液が伝い落ちる。
「んぅっ……」
鎖骨に細い指が食い込んだとき、映司は小さく震えた。アンクはシャツの襟にせき止められた手を、今度はシャツの中へと差し入れる。鼓動を感じる、左胸へ。
映司が手探りでシャツのボタンを外した。広がる襟元へ誘い込まれた右手は、彼の心臓の上に爪を立てる。鍛えた筋肉が大きく喘ぎ、アンクを昂ぶらせた。
「ぁ……ふっ」
何度も顔の角度を変え、舌が犯す場所を変えながら、アンクは映司の口をふさぎつづける。シャツの内側の肌を探り、映司の体温を上げていく。
唇は離さず、重みをかけて映司を押し倒した。だが腰へ手を伸ばしたところで、その手を掴まれる。
「……なんだ?」
「脱ぐの、面倒でしょ。後ろからしたほうが楽だから」
相変わらず目を合わせずに、映司は勝手に身体をひねってうつぶせになる。真意はわからなかったが、わざわざ引きずり戻す理由もない。
アンクは濡れた口元を乱暴に拭い、映司の腰を後ろから抱き寄せた。
客が座る絨毯の上に、コンドームが散らばっている。それを場違いだと感じる程度には、アンクも人間社会に慣れてきていた。
エプロンの結び目が前にあると気づいて、それを外すことは瞬時にあきらめる。映司がベルトをゆるめるのもそこそこに後ろからウエストを引っぱり、下着の中に手を突っ込んだ。
触れようとしているのは、あのヤミーが侵入した場所。
あれからアンクは映司を誘っていない。なぜかはわからないが、その要求をすることがひどくためらわれた。今夜も妙な勢いさえなければ、寝るまで暇つぶしのパズルをやっていただろう。
医者は「怪我」は大したことはないと言ったが、内側まではわからない。万一にも傷などあっては面倒だから、指先で確かめながら念入りにほぐしていく。
「ぅんん……っ」
四つん這いになっていた映司は、その感覚に耐えきれなかったのかすぐに肘をつき、顔を両腕にうずめた。
アンクは指の長さの限界まで映司の奥に差し入れ、ポイントを探す。
「ひ……っ」
映司の肩がすくめられた。手応えを感じて、アンクはその場所を執拗に弄る。
「ぁっ、んんっ……」
必死に声を抑えようとしているが、アンクの指を締めつけ、もの欲しげに揺れる腰つきは、悦んでいるとしか感じられない。
アンクは映司の背中に寄り添い、指を動かしながら囁きかける。
「はっ、もう感じてんのか」
嬲るだけの言葉に返事はなく、従順にアンクの愛撫を受け入れている。その姿に嗜虐心をそそられ、アンクはきつくなってきた自分の前を開けた。
熱を持ちかけた自身を映司の太腿に押し当ててやると、彼は中に入ったままの指をさらにきつく締めつけた。
「欲しいか? 映司……」
彼に懇願させるのも悪くない、と考えたアンクの脳裏に、あのときの映司の姿が明滅した。
耳に残るのは、ヤミーに侵入され苦痛をこらえる呻き声。
今ここで、あの声が上がったら……
アンクは不愉快になる気分を必死で振り払い、映司の前へ手を伸ばす。硬くなっているそれを下着から解放してやり、根本から握り込む。
「ぁあっ、アンク……」
その声も、手の中の映司も、苦しんでいる様子はない。
先端がエプロンの裏側をこすったことに呻きながらも、映司はおぼつかない手で自身にゴムを着ける。アンクもそれに倣った。悔しいがこれだけは映司の脅しをはねつける術を知らない。
再び、ヤミーの黒い腕が頭の中で蠢く。
あれはただの腕だ。生殖器官などではない。直接突っ込まれても、この行為とはつながらない。
アンクは覚悟を決め、映司に自身を押し込んだ。
「ぁあん……っ!!」
背中を反らした映司が、口を押さえる。
その後ろで、アンクは思わず笑みを浮かべた。昂揚したその感情の正体は、自分でもよくわからなかったが。
映司の中心に手を添えたまま、腰を揺らしはじめる。
「んはっ、ぁあっ、ぁんっ……」
そのたび、鼻にかかった喘ぎ声が映司の口から洩れ、彼の欲望は質量を増し、アンク自身も勢いづいて映司の中を押し広げていく。顔が見えれば、映司がどう感じているかもっとよく知ることができるのに。
もどかしくて映司を後ろから抱きしめ、シャツの襟元に鼻先を突っ込んだ。
「感じてんだろ……いいって言えよ……」
耳を舐めながら囁けば、映司は言葉の代わりに甘い嬌声で答える。
他のことは大概器用にこなす男だが、色事に関しては徹底的に弱かった。嘘や芝居どころか、あっさりと弱みを晒してしまう。おかげで、どこを責めればすぐに落ちるか、あるいは解放させずにぐずぐずと長引かせられるか、アンクは知り尽くしている。
今は、すぐに終わらせたくない気分だった。奥まで押し込んで動きを止め、抱きしめる腕をシャツの中に差し入れて熱い肌をまさぐる。
「やっ、アンクぅ……っ」
耐えきれずに自分で揺らそうとする腰を、がっちりと抱え込んだ。
「どうしてほしいか言えるよな……俺が欲しいんだろ? 映司……」
「!」
催促するように握り込んだ先端を撫でてやると、映司は絨毯の上で拳を握りしめた。
「ぅ、動いて……もっと激しく……もっと、おまえをくれよ!」
床を叩きヤケクソのように叫ぶ。その姿を見たアンクはにたりと笑い、思いきり引いた腰を打ちつけた。
「あぁ……っ、ぁはっ、アン……」
どこかうれしそうな声で、映司がすすり泣く。決して苦悶の呻きではない。その声を聞きたくて、アンクはひたすらに映司が望む刺激を与えつづけた。
「くぅ……っ!!」
「ぁああっ……」
達したのはアンクが先だった。
少し遅れて、手の中の欲望が弾けるのを感じる。なにも着けていなければ、ギャルソンエプロンの内側を盛大に汚していただろう。
「はっ……」
二人は大きく息をついて身体を離した。
不意に雨が強くなった気がしたが、意識に入っていなかっただけかもしれない。雷もまだ遠くで鳴り響いている。
床に伏せる格好だった映司は、肩で息をしながら身体ごとこっちを向いて、上目遣いにアンクを睨んだ。
「……ノリすぎ」
「はっ、そっちこそ」
アンクも見下ろして凄んでみせる。
「俺とあんなヤミーを比べてんじゃねえよ、バカ」
「……気づいてた?」
「おまえの考えは底が浅いんだよ」
始める前に気づくべきだったとは思うが、どちらにしろ映司は自分のしたいようにしただろうし、アンクも言い出したことを収めはしなかっただろう。
「で、どうだ? 触手のほうがよかったか?」
アンクの乱暴な問いにも、今度は表情を凍らせたりはしない。映司はため息混じりで汗に濡れた髪をかき上げただけだった。
「おまえも一回同じ目に遭ってみるといいよ」
だがやはり苦しい記憶なのか、自然と険しい顔つきになる。
「すっごく痛かった。痛くて苦しいだけで、ぜんっぜん気持ちよくなかった。他の攻撃とおんなじ、撃ち込まれり刺されたりみたいな、ああいうダメージ……だから、あのときは気持ち持ってかれることはなかったんだけど……」
里中が、後藤が、医者が、それぞれに案じていた、映司のダメージ。
乾ききって自分さえ捨てた男には、その気遣いも無用に思えた。だがひどくわかりにくい状態で傷は残っていた。
「怖かったんだ。また痛いだけだったらどうしようって」
映司は笑いながらも、両手で顔を覆う。
「おれ今、ちゃんと感じて、ちゃんと楽しんでた……」
それを確かめたくて、迷いながらもアンクを誘い、あえて普段とちがう状況も拒まなかった。それに途中で気づいたアンクは、無抵抗につけ込んで映司を嬲ることにしたのだった。それさえも、映司にはあまりこたえていないようだったけれど。
「つき合わせて悪かったな。でもおまえが言い出したんだから、連帯責任だと思うよ」
たしかに、とっさの思いつきとはいえ、最初に要求したのはこちらだ。しかしうまく乗せられた結果になってしまったのはおもしろくない。
「……ふん」
鼻を鳴らし、アンクは再び映司の腰の上に乗りかかる。
「ア、アンク!?」
「今のはおまえが欲しがったぶんだろ。ここからは、俺のぶんだ」
はだけたシャツから覗く左胸をわしづかむ。ここにある曖昧な気持ちとやらのおかげで、この自分が利用されたと思うと腹立たしい。
「ヤミーに持っていかれる心配するくらいなら、最初から俺に預けとけ」
「……っ」
映司の肩がひくりと震えた。
戸惑いの表情は一瞬で消え、目を伏せたやわらかい笑みへと変わる。それから、遠慮がちな腕がアンクの腰を抱き寄せた。
「ん……それはどうかな……おまえよく落とすし……」
「よくじゃねえよ」
「すぐ自分のものにしちゃうし」
「なにが悪い?」
悪びれないアンクを見上げ、映司は笑った。
「まあ、それもありか……」
首筋に噛みついて痕を残すと、映司が「うー」と不満げな声を上げる。そういえば見えるところには痕を残すなと言い渡されていた気もするが、つけてしまったものは仕方がない。
「今度は俺が『女』だ。優しくしろよ」
頬に唇を押しつけてそう囁くと、映司は困った顔でアンクを覗き込んだ。
「いいけど……また後ろからでいい? あんまりここで服脱ぐのは……」
今さらだと思うのだが、脱ぐのが煩わしいというその言葉には一理ある。アンクはおとなしく映司のひざから降りた。
絨毯に上がるアンクを、映司が背中から抱きしめる。さっきと逆の図だが、映司はアンクを押し倒しはしなかった。細い身体に腕をまわし、肩に頬を押しつけて動かない。
「おい映司!」
「ああ、うん……」
焦れて怒鳴ると、映司はゆっくり背中に重みをかけてくる。前に倒れるかたちになったアンクに、黒い服が覆い隠すようにのしかかってきた。
「!」
瞬間、またあの光景がよぎった。
黒い腕。犯される映司。黒に飲み込まれていく彼に、アンクは手を伸ばせない。
「や……」
今、黒に抱かれているのはアンクで……手を伸ばしても、映司には届かなかった。
「いやだ……!」
思わず叫び、自分を縛っている腕を必死に振りほどく。実際にはその腕はアンクを拘束してなどいなくて、黒はあっさりアンクから離れた。
肩で息をしながらふり返ると、映司が真剣な顔でこちらを見つめていた。
「映司……」
「今夜はやめようか。明日でもいいよ。アンクがその気になったらでいい」
「なっ……」
どうしてそんなことを言えるのか。さっきは自分から誘うほどに求めていたくせに。なぜこちらの求めには応じない。いや、自分はなぜ今、映司を拒んだ……?
混乱したアンクは金髪を振り乱し、映司を引き寄せてしがみつく。
「いやだ、いやだ……!」
逃がさない。
このわけのわからない恐怖に振り回されて、映司がこの手から逃げおおせるのを黙って許すことなどできない。
映司は指を食い込ませて縋りついてくるアンクの背中をさすりながら呟いた。
「ベッドに行こう……ここだと背中が痛くなるから」
絡みつく腕をそっと引き剥がして立ち上がる姿を、アンクは座り込んだまま呆然と見上げる。
「先上がってて。おれ、電気消してから行くよ」
映司の笑顔は、今にも消え入りそうだった。
思ったほどに雨の音はうるさくない。
屋根裏部屋へ戻ったアンクは、汗ばんだ服を脱ぎ捨てた。裸になったところで肌寒さを感じて、映司のベッドに上がり、毛布を引き寄せる。
そのタイミングで部屋に入ってきた映司は、準備のいいアンクを見て苦笑した。
エプロンを外して服を脱ごうとするのを、むりやりベッドに引っぱり込む。見慣れない黒い服でも、正面から見ればいつもどおりのバカ面だ。
不安と恐怖で息が詰まりそうな、あの感覚はなんだったのか。だが不愉快なことはできるだけ考えないことにして、アンクは映司を引き倒した。
「ん……っ」
映司の唇が肩に触れ、アンクは喉を反らす。押しつけられるだけの口づけは、なにかを確かめているようだった。
熱い息が裸の胸に当たる。丁寧に、真摯に。
普段と変わらない行為。パニックに陥る要素はなにもないはずだ。
なのに、なぜあの黒い腕が頭をちらつくのか。
アンクは幻影を振り払うように、映司の首にかじりつく。高めの体温と、優しい腕。ここにいるのは映司だ。なにを怯えることがある……
大きな手が、そっとアンクの髪を撫でた。
「だいじょうぶ……」
囁きかけてくる言葉の意味がわからない。なにが? なにも異常なことなどない。なにも、怖がってなどいない……
「ぁんっ……」
胸の小さな突起を舐め転がされて喘ぎながら、アンクは懸命に考える。
さっき、映司は弱々しい声で告白した。
『怖かったんだ……』
だれが? 映司は、だれのことを言っていた?
混乱しながらも、アンクは手探りで映司のシャツをたぐり寄せ、残りのボタンを外していった。黒いズボンも一度開けたから戸惑うことはない。手に触れた映司の中心はまだ起きていなくて、アンクは催促の意味で自分の腰を映司に押しつけた。
「ぁっ……」
「んは……っ」
アンクと同時に呻いた映司は、薄い胸に頬を押しつけて襲い来る感覚をやり過ごそうとする。荒い呼吸に濡れた肌を刺激されて、アンクは甘い声を上げた。一度交わって敏感になっている身体には、些細な接触でも大きな刺激になる。
そうだ、これでいい。
いつもとなにも変わらない。
映司が肩で息をしながら顔を上げる。アンクが見やると、映司は自分で自分の指をくわえたところだった。唾液で指を濡らし、アンクの中を慣らそうというのだろう。
「ふっ……」
目を伏せて指を舐めている映司をなにもせず眺めていることに耐えられなくなり、相手の首を抱き寄せ、指ごと唇に噛みつく。
「……!」
映司が驚いて身を引こうとするのをむりやり押さえつけて、映司の口の中にある指へしゃぶりついた。指と、舌と、唇と。二人の唾液が音を立てて絡み合い、下になっているアンクのあごを伝い落ちていく。
その奇妙な口づけを終えたころには、映司もアンクも顔を上気させていた。
「……入れるよ」
妙に真剣な声で、映司はアンクのひざに手を置く。
「早くしろ」
自分でひざを広げたアンクの後ろに、濡れた指が触れた。
「ひ、ぅ……」
思わず腰が浮く。映司は少しずつ指を差し入れながら、アンクに顔を寄せてくる。
「ん……」
頬に唇を受け、アンクは目を閉じた。高い鼻筋に、下ろされたまぶたに、優しい口づけが降ってきて、最後に唇が重なる。アンクは舌をねじ込んで濡れた音を立ててみせ、映司を煽った。今は二人のあいだにある腕がじゃまをしているが、表情から見て映司もかなり飢えているころだろう。
「もういい……っ、指じゃ足りねえ……」
目を開けてそう訴えると、映司は真剣な顔でうなずいた。
「怖かったら言って……」
「……っ」
先ほどの言葉が、再びよみがえる。
『怖かったんだ……また痛いだけだったらどうしようって……』
いやだ、とまたしても叫びそうになる衝動をこらえ、アンクは奥歯を噛みしめた。
「アンク?」
「うるせえ、さっさとやれ!!」
映司は一瞬息を止め、それからゆっくりと侵入してくる。
「ぃ……っ!!」
いつもとなにも変わらない、はずだ。
映司のやり方も、その大きさも。
なのに、どこかちがう気がする。こんなに硬くて凶悪なまでに大きかったか。こんなに奥まで……
「ぁ、ん……っ」
腰を浮かせて逃げたがるアンクを、映司は両腕で抱き込んで、薄い肩に唇を押しつけた。
「だいじょうぶ……だいじょうぶだから……アンクはなにもされてないよ……」
あたりまえのことを、映司は大切な事実のようにくり返し囁く。
アンクはなにもされていない。
そんなことはわかりきっている。
黒い腕に犯されていたのは映司で、傷ついたのも映司だけで……
「……!!」
唐突に、アンクは理解した。
映司が癒したかったのは、自分の傷ではない。
「おまえ……っ」
「……なに?」
思わず睨みつけるが、こちらを見返す顔は行為に必死で、互いのどんな感情を差し挟む余裕もない。
あのとき、手が出せない敵に恐怖していたのは映司だけではなかった。凌辱される映司をただ見ているしかなかったアンクの心にも、黒い触手は恐怖を植えつけていった。だから映司を抱くのをためらった。抱かれることを拒絶した。
最初から気づいていたのだろう。
自分の血を止めるより先に、目の前で血を流している者を助ける。火野映司とはそういう厄介な男だった。
「バカか……」
アンクはあの黒い腕に触れてもいない。そんなことはわかっている。犯されたのは映司だ。
だからこそ、怖かった。
映司の言う「気持ち」を持っていかれそうになったのは、アンクのほうだった。
犯されたのが自分なら、これほど苦しくはない。息もできないほど苦しくて、前が見えなくなって……
「アンク!?」
映司がぎょっとした顔でアンクの髪をかき上げた。
「どうしたの!? どっか痛い!?」
「知るか……」
わかるはずもない。突然あふれ出して視界をふさぎ、頬を伝うものの正体など。
泣くという感覚を、この身体で初めて知った。
耐えられないほどの激痛、身を裂かれるような屈辱、抑えきれない快感……さまざまな刺激で涙は出てくるけれど、今自分が泣いている理由は知らない。
あえて名前をつけるなら、歯がゆさだろうか。
アンクは涙も拭かず映司の首を抱き寄せ、その耳に叫んだ。
「俺にはおまえ以外とヤるなって言ったくせに! 自分がヤミーなんかにヤられてんな、バカ!!」
喉が詰まってうまく言葉が出ない。
苦しいのは、きっとつながっているせいだ。まだ途中だからだ。
アンクは映司の脚に自分の脚を絡め、背中を叩いて要求する。映司はためらいながらも、再び動きはじめた。
「ぁあうっ……んぁっ、ぁは……んっ」
揺さぶられる感覚がひどく快い。もっと激しく揺すって、くだらない気持ちなど全て振り落としてしまえばいいのに。映司の無用な遠慮がいつも腹立たしかった。
「ぁん……俺が欲しいって、言ったのは……嘘か?」
映司は首を横に振る。汗が飛び散るほどに大きく。
必死な顔を眺めながら、アンクは自嘲の笑みを浮かべた。バカな質問をしたものだ。この答えが嘘かどうか、どうやって確かめるというのか。
不意に、屋根を叩く雨音が激しくなる。
一時は聞こえなくなっていた雷鳴も、再び近づいていた。
外の騒音に負けないよう、声を張り上げる。
「じゃあもっと俺を求めろ! 俺を食い尽くせ!!」
「アンク……」
「俺はグリードだ! もっと欲しいんだよ!! なにもかも忘れさせるくらいの……おまえの全部、よこせ!!」
映司の顔が泣き出しそうに歪んだ。
「わかった……」
片ひざを抱え上げられたかと思うと、一気に深く突き込まれる。
「ぁ……っ!」
それは、今まで映司が決してよこさなかった感覚だった。
情けない顔と声で喘ぎながら、頑丈なベッドが軋むほどの荒々しさで、腰を叩きつけてくる。
「くぅっ、あっ、ああっ……」
自制を解き放った映司はやはり不器用で、しかしアンクのほうも映司を嘲笑う余裕などなかった。
「ぁんっ、あ……映司……っ!」
原因不明の涙は、今は激しい快感という明確な理由で流れつづけ、アンクの頬を濡らしている。
怖がってなどいない。
欲しいだけだ。
こんな激しさを隠していた映司も、きっと……
「アンク、おれ……っ!!」
互いを求める声は、雷鳴と雨音に飲み込まれていった。
目を覚ますなり、アンクは飛び起きた。
映司のベッドに一人きり。隣には人が寝た痕跡すらない。
窓の外が黒から灰色に変わっている。雨はまだやんでいないようだったが、ずいぶん静かになっていた。雷も聞こえない。
あわてて服を引っかけ、階段を駆け降りる。厨房だけに明かりがついていて、水音から洗い物をしているのだとわかる。
「あれ、アンク。もう起きたの?」
こちらに向けられる笑顔はいつもどおりの屈託のなさで、あの黒い服ではなく明るい色柄の普段着を身にまとっていた。ほっと息を吐き出したが、その感情がどういうものなのかは自分でもわからなかった。
「……………」
カウンター越しに店内を見渡すが、すっかり開店前の状態になっている。映司が乱れていた場所もクッションまで元通りで、あの時間の痕跡はどこにもない。
「映司、おまえどこまで……」
「なに?」
どこまでが嘘で、なにが真実なのか。
問いつめようとしたが、その前に無意味さに気づく。
映司は目的のない嘘はつかない。強固な意志に支えられた嘘は、時に真実より揺るがない。嘘も欺瞞も真実として通す、その傲慢こそが、火野映司の強さだった。
彼が真実と決めた以上、その境界を問うてもきっと答えは返ってこないだろう。
「……いや」
映司は傷ついた自分の心を取り戻すためにアンクを求めた。アンクはそれを利用して自身の欲望を満たした。それが、それだけが今夜の真実だ。
冷凍庫を開けてアイスを取り出す。
「それ、今日これからのぶんにカウントするからね」
「ふん」
映司の言葉を無視してアイスキャンディをかじった。
それから厨房をうろついて、そういえば定休日だったと思い出す。あのうるさい女は来ないが、比奈は学校が終わりしだい押しかけてくるだろう。アンクの、というよりは兄の様子を見に。
「朝ごはんはまだだよ」
「わかってる」
見慣れた狭い厨房ですることなどなくて、アンクは調理台に尻を乗せ、仕事をしている背中を眺めた。
目覚めたときに映司がいなくて焦ったのはなぜなのか。今、少しだけ気分がいいのはこのアイスのせいで、目の前に映司がいるからではない。それでも、アンクがいるべきだと思ったところに映司はいるべきなのだ。
すさまじく自己中心的な結論に至ったアンクは調理台から降り、引き寄せられるように映司の背中に手を伸ばす。
「アン……ッ!?」
後ろから抱きしめられ、映司は皿を取り落としそうになった。突然のことにどうしていいかわからず、そのまま固まっている。映司を驚かせたことに気をよくして、その首筋に舌を這わせた。
「冷た……」
肩をすくめて、しかし振り払うでもなく、映司は皿洗いを再開する。
離れるタイミングを失ったアンクは、そのまま映司の背中に張りついていた。
「……ねえ」
数分は経っていただろうか。洗い桶の中を覗いているふりをして、映司の体温を感じていただけのアンクは、身じろぎでその呼びかけに答える。
映司は手を止めずに言った。
「しばらく、おまえに預けといていいかな」
「ぁん?」
唐突にそんなことを言い出した横顔を見つめる。彼は穏やかな表情で手元から目を離さず、言葉をつづけた。
「気持ち。……落とすなよ?」
「……………」
アンクはアイスの棒を舐めながら、暫しその意味を考える。
ヤミーに持っていかれる程度のやわな心など、最初から持ち合わせていないくせに。これもなにかの企みだろうか。
「……いいのか? 『すぐ自分のものにする』俺に預けても」
映司がこちらを向こうとして、二人の頬がぶつかった。苦笑した映司はそのまま頬を押しつけてくる。
「それはそのとき考える」
「……はっ」
笑うしかない。
実体もなにもない「気持ち」などという曖昧なものを、預けるも横取りするもない。このやりとり自体が無意味な言葉遊びでしかない。
自分では気づかず上機嫌になったアンクは、映司の首元に顔を突っ込んだ。ちょうどそこに、昨日自分がつけた噛み痕を見つける。
「ちょっ……」
冷たいと騒ぐ映司にはかまわず、その痕をさらに濃くしてやった。
このバカで、嘘つきで、くえない男を、少しでも困らせたくて。
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