マーベラス/ジョー
ご機嫌ナナメ
天使に出会った。
大きな翼と強靱な意志を持った、五人の天使。
その中でもひときわ大きな翼の青年が、マーベラスのいちばんのお気に入りだ。
「あんなちっちゃいくせに、羽根だけはこんなにでかいんだぜ」
自分の腕を広げて、その大きさを再確認している。
だがまともに相づちを打つ気にはなれなかった。ジョーだって彼らの翼は見ているし、だいたいマーベラスが彼の話をするのはこれが初めてではない。むしろ聞き飽きたくらいだった。
「おい、聞いてんのかよ」
「聞いてる」
聞かざるをえない。二人きりでいるこの状況では。
いや、二人きりの今だからこそ、そんな話をしなくてもいいだろう。
普段よりも寡黙なジョーの様子にようやく気づいたらしいマーベラスは、考え込むように暫し沈黙してから、顔を覗き込んできた。愉快そうな笑みを浮かべて。
「もしかして、妬いてんのか?」
「妬いてない」
即答するジョーの声には迷いも躊躇いもなくて、マーベラスも鼻白んだかに見えた。
そうだ、嫉妬などあるはずがない。相手は天使で、マーベラスはその出会いにただはしゃいでいるだけなのだから。ただちょっと、彼が一人で盛り上がっているのがなんとなくおもしろくないだけで……
「ジョー」
名前を呼ばれて反射的にそちらを向く。
思ったよりも近くに顔があることに驚いたとたん、唇を重ねられた。
「……妬いてんだろ?」
再びの問いが、今度は全くちがって聞こえる。
「……そうみたいだな」
さっきまでくすぶって煙が立ちこめていた心が、いつのまにか一筋の霞さえなくなってすっきりと晴れている。見えてしまえば、不機嫌の原因など大したものではない。
「アラタ、また会えねえかな」
独り言のように呟きながら、マーベラスはジョーの肩にもたれかかってきた。
「あっちには羽根がある。ガレオンがどこにいたって飛んでくるだろ、あいつらは」
答えて、相手の頭に自分の頭をあずける。
「きっとまた会えるさ」
「ああ……」
いつのまにかジョーも、あの白く大きな翼を再び見たいと思いはじめていた。
ジョーさんはマーベラスが他の男とヤっても気にしないけど、
他の男の話をするのは気に入らないのです。ジェラ嫉妬。
★★★
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