銀時/全蔵
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自分の気持ちって案外よくわからない
男か、女か。そんなことは知らないし、興味もない。
だが銀時の中には、まちがいなくだれかを想う心がある。
とくにそんな相手もいない全蔵には、まぶしいだけの他人事だった。いつもなら。
はじめは、銀時にもそんなつもりはなかったはずだ。
その気配を感じはじめたのは、この関係が半分慢性化してきたあたりだった。
銀時がそれほど親しくもない全蔵相手に、ある種の感情をぶつけてくるようになったのは。
他のだれかの代わりに全蔵を誘い、遊び、甘え、犯し、嬲る。
そんなときの銀時は、ひどくまっすぐで真剣だ。真剣に全蔵を抱き、徹底的に痛めつける。残忍な笑みを浮かべるのも、甘い囁きで懐柔しようとするのも、別のだれかを思い出しているとき。
そして終わったあとは、気の抜けた様子で全蔵本人をいたわってみたりする。
わかっていて知らぬ顔でつき合っている自分も、相当だろう。
銀時はバレていないと思っているか、むしろ自分でも気づいていないかもしれないが、肌を重ねるだけで自ずとわかることもある。
だれかを強く想ったことのない全蔵には、飄々とした銀時のそんな一面が新鮮でもあり、面映ゆくもあった。素知らぬふりをしているのは、その気まずさもあるだろう。茶化したり相談に乗ったりするほど近しくはない。
それでも時折、銀時を見ていると息ができないほど苦しくなることがある。
それはたぶん悔しさだ。
代替品にされているのが許せないのではない。
粗雑なあつかいに憤っているのでもない。
ただ、銀時の切ない表情をどうにもできない自分が、悔しくてたまらないのだ。
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