ホームズ/ワトソン

2010_SherlockHolmes,[R18]

3_100507sh16_r18
3_100507sh16_r18

暖炉前で

腹の中をホームズが押し広げていく感覚に、ワトソンは身を震わせた。
ラグの上での軽いじゃれ合いが、本格的な行為に発展するとは考えていなかった。しかも、自分が女のように腰を振る側に回るとは。
その経過を思い出す余裕はワトソンにはなく、ただ声を殺して相手にしがみつくしかできなかった。
「ぁあ、ホームズ……」
耳に吐息を送り込むように彼の名を呼んだが、返事はない。いつもそうだ。ホームズはワトソンを抱くときにはとたんに無口になる。抱かれているときにはやかましいくらいに喘ぎ騒ぎ立て、ワトソンにも紳士的でない言葉を吐かせたりするくせに、自分が男役のときには名前すらめったに呼ばない。
なんのつもりかわからないが、ワトソンにはそれが不満だった。
「はぁ……っ」
ホームズの手が、浮きかけた腰を抱き寄せる。身を沈めるたびにそれは硬さと質量を増していて、ワトソンは何度でも息を止めた。彼のかたちがはっきりと感じられ、自分のどこまで入っているのかを思うと、全身が熱くなる。
息苦しさから逃れようと腰を浮かせては、すぐに引き戻される、そのくり返し。労りの言葉も、甘い睦言さえない。
それでいて、その愛撫はひどく優しいのだ。ワトソンの奥をむりやりに押し広げたりはしない。二人がともに快感を得られる場所を、常に探しているようだった。
しかし、だから愛を語るひまなどないというのか。
「きみはいつもそうやって……んんっ!」
腰を揺らすたびにホームズの腹を突いていたワトソン自身が、重なる刺激に耐えられず弾ける。のけ反った拍子にホームズも角度が変わり、低く呻きながらワトソンの中で達した。口にしかけた不平は宙に浮いてしまった。
肩で息をして虎の頭にもたれかかるホームズは、疲れたように目を閉じた。事実、疲れているのだろう。
ワトソンはこわばった身体をむりやり動かし自らの始末をして、動かないホームズを真上から覗き込む。
結局、彼はなにも言葉を発しなかった。いいとも悪いとも、この身体に満足しているとも愛しているとも、なにひとつ。
「……なにか言ったらどうなんだ」
ホームズは上目遣いでワトソンを眺めていたが、やがて真顔で呟いた。
「少し、太ったようだね?」
「……………」
聞きたいのはそんな言葉ではないと、その超人的な頭脳はなぜ理解しないのか。
深いため息をついて、ワトソンはホームズに全体重をあずけた。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!