士/ショウイチ
事後
荒い息が部屋の中に響く。
肌がぶつかり合う音もそれに伴う淫らな嬌声もすでになく、だが二人はまだ呼吸を整えられないでいた。
「……抜いて、くれよ」
ショウイチが喘ぎながら呟いた。
「……いやだ」
士も呼吸の合間に言葉を返す。自分でも余裕がなくて怒っているように聞こえたから、懐柔のつもりでつけ加えた。
「まだあんたの中にいたい」
「っ……」
一瞬言葉に詰まったショウイチは、大きく息を吐き出して士の髪に頬を押し当てる。
「そういうこと……軽々しく、言うもんじゃない」
「なぜ?」
「狼少年の原理だ……信用されなくなるぞ」
士は少しむっとして、相手の身体にまわした腕に力を込めた。
「俺が、だれにでも言ってると思ってるのか?」
今度も不機嫌そうに聞こえただろう。だがそれは気のせいではない。
ショウイチが、この関係に対してなんらかの躊躇や罪悪感を抱いているのは知っていたし、彼の常識の範囲内ではむりもないことだと納得はしていた。一回り以上も歳の離れた同性を、しかも時空を超えてまでわざわざ求めにやってくる理由など、ショウイチには思いつかないのだろう。
「……ちがうのか?」
おそるおそる尋ねてくる声は、戸惑いと不安と、そして期待に揺れていた。士は意地悪く笑って、答えないことに決める。
「さあ……どうかな」
抗議するように、彼の頭が軽くぶつけられた。
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